
「勉強しなさい!」。お子さんに、ついこの言葉をかけてしまうことはありませんか?子どもに勉強してほしい、将来のために頑張ってほしいと願うからこそ出てくる言葉です。
しかし、この「勉強しなさい」という言葉は、多くの場合、子どもの学習意欲を高めるどころか、かえって低下させてしまいます。
本記事では、「勉強しなさい」が逆効果になってしまう理由と、その代わりに保護者ができる3つのこと(伝え方を変える・過程をほめる・待つ)を解説します。さらに、子どものタイプに合わせた関わり方や、中学生・高校生それぞれの保護者が気をつけたいポイントも紹介します。
執筆:坪田塾 上本町校 校長 南條優司
目次(クリックで開閉)
・「勉強しなさい」は逆効果?
┗「勉強しなさい」と言われて、やる気が出た経験はありますか?
┗人は「やらされる」と、やる気をなくしやすい
┗「勉強している」の基準は、親と子どもで違う
┗繰り返すうちに「勉強=嫌なもの」になってしまう
・「勉強しなさい」の代わりに親ができる3つのこと
┗1. アプローチ(伝え方)を変える
┗2. 結果よりも過程をほめる
┗3. 待つ
・「勉強しなさい」以外にも気をつけたいNGな関わり方
┗ほかの子やきょうだいと比べる
┗勉強している様子を監視する
┗テストの点数だけで判断する
・子どものタイプに合わせてアプローチを変える
┗子どもの性格によって、響く言葉は違う
┗子どもの声に耳を傾ける
・中学生・高校生の保護者が気をつけたいこと
┗中学生:勉強の習慣づくりを一緒に考える
┗高校生:本人の判断を尊重し、相談相手になる
・中高生のみなさんへ:「勉強しなさい」と言われないために
・よくある質問
┗「勉強しなさい」と言わないと、まったく勉強しません
┗どれくらい待てばいいのでしょうか?
┗ほめても反応がそっけないのですが、意味はありますか?
┗勉強しているのに「していない」と言われてつらいです
・まとめ:「勉強しなさい」をやめて、子どもの成長を一緒に見守ろう
「勉強しなさい」は逆効果?
まずは、なぜ「勉強しなさい」という言葉が子どものやる気を奪ってしまうのか、その理由を一緒に考えていきましょう。
「勉強しなさい」と言われて、やる気が出た経験はありますか?
保護者のみなさんにも、子どものころに「勉強しなさい」と言われた経験があるのではないでしょうか。そのとき、「はい、勉強します!」と前向きな気持ちになったでしょうか。
「勉強か、嫌だなあ」「やっているのに、なんでそんなこと言うの」「どれだけやれば勉強していることになるの」。そんな嫌な気持ちになった思い出のほうが多いのではないでしょうか。私自身も、「勉強しなさい」と言われると、やる気が出るどころか、むしろやる気がなくなるタイプでした。
子どもの気持ちを考えるときは、自分が子どもだったころの気持ちを思い出してみることが、大きなヒントになります。
人は「やらされる」と、やる気をなくしやすい
人には、自分の行動は自分で決めたいという気持ちがあります。そのため、他人から「〇〇しなさい」と指示されると、反発したくなったり、やる気がしぼんだりすることがあります。心理学では、自由を制限されたと感じたときに起こるこうした反発を「心理的リアクタンス」と呼びます。
「今からやろうと思っていたのに、言われたらやる気がなくなった」という経験は、まさにこの反応です。特に中学生・高校生は、自分で決めたいという気持ちが強くなる時期なので、指示の言葉は逆効果になりやすいのです。
「勉強している」の基準は、親と子どもで違う
もう一つ考えていただきたいのが、「勉強している」と判断する基準です。お子さんが何分、何時間勉強したら「勉強している」と言えるでしょうか。30分でしょうか、3時間でしょうか。
実は、「何時間以上なら勉強している」という明確な基準はありません。たとえば、昨日は勉強時間が0分だったお子さんが、今日は10分勉強したとします。お子さんにとっては、昨日より確実に前進しています。それなのに、その姿を見て「もっと勉強しなさい」と言われたら、どう感じるでしょうか。
きっと、「頑張ったのに認めてもらえない」と感じ、やる気を失ってしまうはずです。「勉強しているのに、していないと言われる」と悩む中高生は少なくありません。
繰り返すうちに「勉強=嫌なもの」になってしまう
こうした経験が積み重なると、子どもの中で「勉強=嫌なもの、つらいもの、怒られるもの」という印象ができあがってしまいます。一度ついたこの印象は、なかなか消えません。
ここで誤解しないでいただきたいのは、保護者のみなさんの教育が「間違っている」ということではまったくない、という点です。お子さんに幸せになってほしいという思いがあるからこそ、「勉強しなさい」と伝えているのだと思います。大切なのは、その思いが子どもに届く伝え方を見つけることです。
「勉強しなさい」の代わりに親ができる3つのこと
では、お子さんが勉強していないとき、どうすればよいのでしょうか。難しく考える必要はありません。大切なのは、次の3つだけです。
・アプローチ(伝え方)を変える
・結果よりも過程をほめる
・待つ

1. アプローチ(伝え方)を変える
たとえば、ボールを投げて的の数字を打ち抜くゲームで、真ん中の5番を狙ったとします。1回目は力が入りすぎて、上にある2番に当たってしまいました。2回目も、1回目とまったく同じ力、同じフォームで投げるでしょうか。きっと、力を弱めたり、腕の振り方を変えたりして、投げ方を修正するはずです。
料理も同じです。肉じゃがを作って味が濃すぎたら、次は調味料を控えめにしますよね。うまくいかなかったら、やり方を変える。私たちは普段、自然とアプローチを変えています。
では、「勉強しなさい」と言ってもお子さんが勉強しなかったとき、次にまた「勉強しなさい」と言うのは、アプローチを変えているでしょうか。同じ伝え方をくり返しても、結果は変わりません。「勉強しなさい」が響いていないのなら、伝え方そのものを変える必要があるのです。
2. 結果よりも過程をほめる
伝え方を変える具体的な方法としておすすめなのが、ほめることです。少しでも机に向かっている姿を見たら、単語帳を見ていたら、学校で習った知識を話してくれたら、すかさず声をかけてあげてください。
「よく勉強しているね」「頑張っているね」「そんなこと、いつの間に覚えたの?」
ポイントは、テストの点数などの結果ではなく、勉強に向かう過程や努力をほめることです。過程を認められると、子どもは「やればできる」と感じ、少しずつ勉強へのやる気が育っていきます。やがて勉強時間が少しずつ伸び、勉強することが習慣になっていきます。ほめ方の例を表にまとめました。
| 子どもの様子 | ほめ方の例 | ポイント |
|---|---|---|
| 少しの時間でも机に向かっている | 自分から机に向かっているね | 時間の長さではなく、始めた行動を認める |
| 昨日より勉強時間が長い | 昨日より長く集中できているね | 他人ではなく、過去の本人と比べる |
| 学んだことを話してくれた | そんなこと知っているんだ、教えてくれてありがとう | 興味を持って聞くことがほめ言葉になる |
| テストの点数が上がった | 毎日コツコツ続けてきた成果だね | 点数そのものより、努力とのつながりを伝える |
| テストの点数が下がった | ここまでよく頑張ったね。次はどこを見直そうか | 責めずに、次の行動を一緒に考える |
ご褒美やほめ方について詳しく知りたい方は、勉強のご褒美は逆効果?成績が伸びるあげ方もあわせてご覧ください。
3. 待つ
子どもの教育や成長で何より大切なのは、「待つこと」です。伝え方を変えても、1分後、1時間後、1日後に、子どもの行動が急に変わることはほとんどありません。これは子どもに限らず、大人も同じです。今までしていなかったことを急に始めるのは、だれにとっても大変なことです。
子どもの成長は、長い目で温かく見守り、小さな変化(=成長)に気づいて、その過程をほめてあげることが大切です。すぐに結果が出なくても、焦らずに待ちましょう。
待つといっても、何もしないわけではありません。勉強しやすい環境を整える、子どもの話を聞く時間をつくる、小さな変化を見逃さないよう様子を見守るなど、待つ間にできることはたくさんあります。そして、同じアプローチをくり返しても変化がなければ、次は別の方法を試すという「柔軟な姿勢」も大切です。
「勉強しなさい」以外にも気をつけたいNGな関わり方
「勉強しなさい」と同じように、子どものやる気を下げてしまいやすい関わり方があります。思い当たるものがないか、確認してみてください。
ほかの子やきょうだいと比べる
「〇〇さんはもっと勉強しているよ」「お兄ちゃんのときはもっとできたのに」といった比較の言葉は、子どもの自信を奪います。比べるなら、ほかの子ではなく、過去のお子さん自身と比べて、成長した点を伝えてあげましょう。
勉強している様子を監視する
勉強中に何度も部屋をのぞいたり、「ちゃんとやってる?」と確認したりすると、子どもは「信用されていない」と感じてしまいます。勉強中はある程度任せ、終わったあとに「今日はどんなことをやったの?」と話を聞く形にしましょう。
テストの点数だけで判断する
テストの点数が悪かったときに、結果だけを見て叱ってしまうと、子どもは点数を隠したくなったり、「どうせ頑張っても意味がない」と感じたりします。点数よりも、テストまでにどんな努力をしたのか、次にどうすればよいのかに目を向けることが大切です。
子どものタイプに合わせてアプローチを変える
同じ伝え方を繰り返しても子どもの行動が変わらないなら、別の方法を試してみる柔軟さも大切です。子どもの性格によって、響く言葉や関わり方は大きく異なります。
子どもの性格によって、響く言葉は違う
たとえば、自分で決めたい気持ちが強い子には、指示するよりも「どうしたい?」と選択肢を委ねるほうが動きやすくなります。人から認められることがやる気につながる子には、小さな頑張りをこまめにほめることが効果的です。不安を感じやすい子には、「大丈夫、一緒に考えよう」と安心感を与える言葉が響きます。
坪田塾では、教育心理学をもとにした9つの性格タイプに合わせて、一人ひとりへの声かけや指導の仕方を変えています。性格タイプについては、坪田塾の9タイプ別性格診断とは?で紹介しています。性格による関わり方の違いを、一般的な例として表にまとめました(坪田塾の9タイプの分類とは異なります)。
| 子どものタイプ | 響きやすい関わり方 | 避けたい関わり方 |
|---|---|---|
| 自分で決めたいタイプ | 「今日は何から始める?」と本人に選んでもらう | やることや順番を一方的に決める |
| 認められたいタイプ | 小さな頑張りに気づき、こまめに言葉で伝える | できていない点ばかりを指摘する |
| 不安を感じやすいタイプ | 「大丈夫、一緒に考えよう」と安心感を与える | 「このままで大丈夫なの?」と不安をあおる |
| マイペースなタイプ | 本人のペースを尊重し、始める時間だけ一緒に決める | 急かしたり、他の子と比べたりする |
| 目標があると頑張れるタイプ | 小さな目標を一緒に立て、達成を一緒に喜ぶ | 目標を高く設定しすぎる |
子どもの声に耳を傾ける
どのアプローチが合っているかを見つけるために、何より大切なのは、子どもの声に耳を傾けることです。お子さんが今、何を考えているのか、何に困っているのか、何を必要としているのか。話をしっかり聞くことで、分かることがたくさんあります。
子どもへの関わり方は、植物に与える水や栄養、日光のようなものです。適切に与えれば花を咲かせますが、多すぎても少なすぎても枯らしてしまうことがあります。その加減は難しいものですが、子どもの声を聞くことが、ちょうどよい関わり方を見つける手がかりになります。
中学生・高校生の保護者が気をつけたいこと
子どもの年齢によっても、適した関わり方は変わります。
中学生:勉強の習慣づくりを一緒に考える
中学生は、まだ勉強の習慣が十分に身についていないことも多い時期です。「勉強しなさい」と言う代わりに、「何時から始めると集中しやすい?」「定期テストまでの予定を一緒に立ててみようか」と、習慣づくりを一緒に考える姿勢が大切です。
勉強する時間を本人に決めてもらい、決めた時間に机に向かえたら、その行動をほめてあげましょう。自分で決めて実行できたという経験が、勉強の習慣につながります。
高校生:本人の判断を尊重し、相談相手になる
高校生になると、進路や勉強の進め方を自分で決めたいという気持ちがさらに強くなります。保護者があれこれ指示するよりも、本人の判断を尊重し、困ったときに相談できる存在でいることが大切です。
「何か手伝えることはある?」「必要なものがあったら言ってね」と、サポートする姿勢を伝えておきましょう。見守られている安心感が、高校生が自分の力で勉強を続ける支えになります。
中高生のみなさんへ:「勉強しなさい」と言われないために
ここからは、中高生のみなさんへのメッセージです。「勉強しなさい」と言われてやる気がなくなる気持ちは、よく分かります。でも、保護者の方も、あなたのことを心配しているからこそ言っているのです。
おすすめなのは、自分が勉強していることを「見える化」することです。勉強した時間や内容を記録して、ときどき家族に見せてみましょう。「今日はこれだけやったよ」と自分から伝えれば、保護者の方も安心でき、「勉強しなさい」と言われることも減っていくはずです。記録のつけ方は、ライバル設定で勉強のやる気を伸ばす方法でも紹介しています。
よくある質問
「勉強しなさい」と言わないと、まったく勉強しません
言わないと勉強しないのは、勉強の習慣がまだ身についていないからかもしれません。まずは、1日10分など短い時間から、本人が始める時間を決めてもらいましょう。始められたらほめる、をくり返すことで、少しずつ自分から勉強できるようになっていきます。
どれくらい待てばいいのでしょうか?
子どもの変化にかかる時間は、一人ひとり異なります。数日で変わる子もいれば、数か月かかる子もいます。大切なのは、大きな変化を待つのではなく、小さな変化に気づくことです。昨日より5分長く机に向かった、自分から宿題を始めた、といった小さな変化を見つけて、ほめてあげてください。
ほめても反応がそっけないのですが、意味はありますか?
中学生・高校生になると、ほめられても照れくさくて、そっけない態度をとることはよくあります。反応が薄くても、言葉はきちんと届いています。大げさにほめるよりも、「頑張っているね」と短く、さりげなく伝え続けることが大切です。
勉強しているのに「していない」と言われてつらいです
保護者の方には、あなたが勉強している姿が見えていないだけかもしれません。勉強した内容や時間を記録して見せたり、「今日は数学の問題を20問解いたよ」と自分から話したりしてみましょう。伝え方を変えると、保護者の方の受け取り方も変わってきます。
家庭だけで勉強の習慣づくりやモチベーションの維持が難しいときは、外部の力を借りるのも一つの方法です。坪田塾では、一人ひとりの性格に合わせた声かけで、子どもが自分から勉強に向かえるようサポートしています。自宅から指導を受けられるオンライン校もあります。
まとめ:「勉強しなさい」をやめて、子どもの成長を一緒に見守ろう
「勉強しなさい」という言葉は、多くの場合、子どもの学習意欲を高めるどころか低下させてしまいます。最後に、ポイントをおさらいしましょう。
・人は指示されると反発したくなり、「勉強=嫌なもの」という印象ができてしまう
・「勉強している」の基準は親と子で違う。小さな前進を認めることが大切
・親ができるのは「伝え方を変える」「過程をほめる」「待つ」の3つ
・子どもの性格に合わせて柔軟にアプローチを変え、子どもの声に耳を傾ける
お子さんには無限の可能性があります。その可能性を開花させるのは、周りの大人の関わり方です。お子さんの変化を待ち、柔軟に見守りながら、一緒に子どもの成長を支えていきましょう。「勉強しなさい」と言うのは、今日で終わりにしてみませんか。
映画『ビリギャル』でおなじみの個別指導塾!坪田塾とは
坪田塾は中学校1年生~高校3年生、高卒生(浪人生)を対象にした個別学習塾・予備校です。首都圏(東京・神奈川・埼玉・千葉)、名古屋、大阪、兵庫に26校舎、日本全国に指導を提供するオンライン校を加えて全27校舎を展開しています。
坪田塾では、学力や学校のスケジュールに合わせて勉強できる個別プログラムに加え、教育心理学に基づく9つの性格タイプに合わせた指導・声掛けによって、子ども一人ひとりを支えて寄り添う、「子」別指導に力を入れています。
この科学的に証明された学習法により、多くの受験生の偏差値を短期間で大きく上げて、難関校合格へと導いています。料金も1時間1,640円~と、通いやすい料金体系です。
「ビリギャル」でおなじみの坪田塾に興味がある方は、ぜひ無料体験授業を受講してみてください。
◆坪田塾の校舎一覧はこちら
