
「どうすれば知識が身につくんだろう」「成績が良い人は、何か特別な勉強法を使っているのでは?」。そんな疑問を持ったことはありませんか?
実は、知識をつけたり能力を伸ばしたりする方法は、とてもシンプルです。それは「量をこなす」ことです。
本記事では、9か国語を話したといわれるクレオパトラの例や、学習時間の差がどれほど大きな差になるのかという計算をもとに、勉強量の大切さを解説します。さらに「勉強は量か質か」という疑問への答えや、高校生・中学生が勉強量を無理なく増やすための具体的な方法も紹介します。
執筆:坪田塾 千種・赤萩校 講師 村瀬
目次(クリックで開閉)
・知識をつける一番シンプルな方法は「量をこなす」こと
┗9か国語を話したといわれるクレオパトラ
┗毎日触れ続けたから、使えるようになった?
┗身近な例で考えてみると
・勉強時間の差は、1年でどれくらい開く?
┗週1時間と週54時間では、1年で54倍の差になる
┗データでも、学習時間と学力には関係がある
・勉強は量か質か?
┗質は「量」の中から生まれる
┗量を「ただこなすだけ」で終わらせない工夫
・勉強量を無理なく増やす5つの方法
┗方法1:毎日「触れる」ことから始める
┗方法2:すきま時間を学習時間に変える
┗方法3:勉強に集中できる環境を作る
┗方法4:学習時間を記録して「見える化」する
┗方法5:無理のない目標から、少しずつ増やす
・教科別:量をこなす勉強のポイント
┗英語:毎日触れて「英語に慣れる」
┗数学:解いた問題の数が力になる
┗国語・理科・社会:知識を「つなげて」繰り返す
・高校生・中学生、それぞれの量のこなし方
┗高校生:志望校から逆算して、必要な量を決める
┗中学生:毎日の習慣づくりを最優先にする
・量をこなすときの注意点
┗睡眠時間を削ってまで量を増やさない
┗「時間」だけでなく「中身」も振り返る
┗休憩を上手にとり、集中を長続きさせる
・保護者ができるサポート
・よくある質問
┗1日何時間勉強すればいいですか?
┗量をこなしても成績が上がらないのはなぜですか?
┗勉強量を増やすと、すぐに疲れてしまいます
┗部活が忙しくて、勉強時間がとれません
・まとめ:知識をつける近道は、毎日の「量」の積み重ね
知識をつける一番シンプルな方法は「量をこなす」こと
知識をつける方法を考えるうえで、ヒントになる歴史上の人物がいます。古代エジプトの女王、クレオパトラです。
9か国語を話したといわれるクレオパトラ
クレオパトラ(クレオパトラ7世)は、「世界三大美女」の一人としても知られる、古代エジプト・プトレマイオス朝最後の女王です。10代後半で王位につき、エジプトを動かす中心となりました。
そのクレオパトラは、9か国語を話すことができたといわれています。古代ギリシャの歴史家プルタルコスは、彼女が多くの民族と通訳なしで話すことができたと書き残しています。他国の使者と雑談から政治の話、交渉まで、さまざまなレベルで言葉を使いこなしていたと伝えられています。
当時の大国ローマの指導者カエサルが彼女に協力したのも、美しさだけでなく、こうした知性や教養に惹かれたからではないか、ともいわれています。
毎日触れ続けたから、使えるようになった?
では、クレオパトラはどうして多くの言語を身につけることができたのでしょうか。もちろん、好奇心旺盛で学ぶことが好きな性格だったことや、当時の学問の中心地だったアレクサンドリアに、ムセイオンと呼ばれる大きな研究機関や図書館があり、学ぶ環境が整っていたことも考えられます。ただし、実際にどのように言語を習得したのか、その詳しい過程は明らかになっていません。
もしかすると、クレオパトラも日々さまざまな言語に触れ、繰り返し使うなかで、少しずつ身につけていったのかもしれません。一方、言語に限らず、知識や技能を身につけるには、繰り返し学んだり、実際に使ったりする経験が大切です。
では、日常生活の中で何かに触れ続けることには、どのような効果があるのでしょうか。身近な例から考えてみましょう。
身近な例で考えてみると
もし、あなたの家に中国語を話す人がいて、毎日中国語を聞いたり、話したりする機会があったらどうでしょう。最初は意味がわからなくても、繰り返し耳にする言葉を覚えたり、少しずつ意味を理解できるようになったりするかもしれません。
また、プロのサッカー選手と一緒に暮らしていて、毎日サッカーの話を聞く機会があれば、専門用語やルール、戦術について知る機会も増えるでしょう。
このように、知識や技能を身につけるには、学んだことに繰り返し触れたり、実際に使ったりすることが大切です。日々の積み重ねが、理解を深め、できることを増やすことにつながります。
勉強時間の差は、1年でどれくらい開く?
受験勉強も、まったく同じです。勉強の量の差が、1年でどれほど大きな差になるのかを計算してみましょう。
週1時間と週54時間では、1年で54倍の差になる
極端な例ですが、次の2人が同じ勉強を1年間続けたとします。
・Aさん:週に1回、1時間だけ勉強する
・Bさん:週に6日、1日9時間勉強する
Aさんの勉強時間は、週1時間、月に約4時間、1年で48時間です。一方、Bさんは週54時間、月に約216時間、1年で2,592時間になります。単純計算で、BさんはAさんの54倍の時間、勉強していることになります。
ここまで極端でなくても、1日1時間の人と1日3時間の人では、1年で700時間以上の差がつきます。これだけの差が開けば、身につく知識の量も、志望校に合格できる可能性も大きく変わってくるのではないでしょうか。1日の学習時間ごとの差を表にまとめました。
1日の学習時間 | 1週間(7日) | 1か月(30日) | 1年(365日) |
|---|---|---|---|
| 30分 | 3.5時間 | 15時間 | 約183時間 |
| 1時間 | 7時間 | 30時間 | 365時間 |
| 2時間 | 14時間 | 60時間 | 730時間 |
| 3時間 | 21時間 | 90時間 | 1,095時間 |
| 5時間 | 35時間 | 150時間 | 1,825時間 |
データでも、学習時間と学力には関係がある
文部科学省・国立教育政策研究所「全国学力・学習状況調査」では、毎年、中学3年生などを対象に学力と生活習慣が調べられています。その結果では、家庭での学習時間が長い生徒ほど、各教科の平均正答率が高い傾向が見られます。
もちろん、勉強時間が長ければ必ず成績が上がるわけではありません。しかし、学習時間という「量」が、学力を支える土台になっていることは、データからも読み取ることができます。
勉強は量か質か?
「勉強は量より質が大切」という言葉を聞いたことがある人も多いでしょう。では、量と質はどちらが大切なのでしょうか。
質は「量」の中から生まれる
結論からいうと、まず必要なのは量です。なぜなら、勉強の「質」は、たくさんの量をこなす中でしか身につかないからです。
たくさんの問題を解いていくうちに、「この解き方のほうが速い」「この覚え方は自分に合っている」と、効率の良いやり方が分かってきます。最初から質の高い勉強法を探そうとしても、自分に合うかどうかは、実際に量をこなしてみなければ分かりません。量をこなした先に、質が生まれるのです。
スポーツの世界でも、一流の選手ほど、目的を持った練習を長い時間積み重ねてきたことが知られています。どの分野でも、量の積み重ねが土台になっているのです。
量を「ただこなすだけ」で終わらせない工夫
ただし、量をこなすときにも意識したいことがあります。それは、読むだけ、眺めるだけの勉強で終わらせないことです。教科書を何度も読み返すだけでは、時間をかけたわりに記憶に残りにくくなります。
読んだ内容を隠して思い出す、問題を解いて答え合わせをする、人に説明するなど、アウトプットを中心にした勉強を、たくさんくり返しましょう。アウトプットを使った勉強法は、教科書・テキストの覚え方|アウトプットで記憶に残す暗記のコツで詳しく紹介しています。
勉強量を無理なく増やす5つの方法
「量が大切なのは分かったけれど、いきなり勉強時間を増やすのは難しい」と感じる人もいるでしょう。ここでは、勉強量を無理なく増やすための方法を5つ紹介します。
方法1:毎日「触れる」ことから始める
では、勉強を続けるためには、何から始めればよいのでしょうか。まずは毎日少しでも勉強に触れることを目標にしましょう。1日10分でもかまいません。大切なのは、勉強を習慣にすることです。
毎日続けていると、勉強することが特別なことではなく、歯みがきのような当たり前の習慣になっていきます。習慣になれば、少しずつ時間を延ばすのも難しくなくなります。
方法2:すきま時間を学習時間に変える
通学の電車やバスの中、授業の合間、寝る前の時間など、1日の中には意外と多くのすきま時間があります。英単語や古文単語、一問一答など、短い時間でできる勉強を用意しておき、すきま時間を学習時間に変えましょう。
1回10分でも、1日3回あれば30分、1年で約180時間になります。すきま時間の積み重ねは、決してばかにできません。
方法3:勉強に集中できる環境を作る
勉強量を増やすには、勉強を始めやすく、続けやすい環境を作ることも大切です。特に、スマホは勉強時間を奪う大きな原因になります。勉強中はスマホを別の部屋に置くなど、物理的に距離をとる工夫をしましょう。
スマホとの付き合い方は、勉強中のスマホの誘惑を断ち切る方法も参考にしてください。
方法4:学習時間を記録して「見える化」する
毎日の学習時間を記録すると、自分がどれくらい勉強できているかが一目で分かります。「今週は先週より3時間多く勉強できた」と成長を実感できれば、やる気にもつながります。
記録のつけ方は、ライバル設定で勉強のやる気を伸ばす方法でも紹介しています。
方法5:無理のない目標から、少しずつ増やす
いきなり「毎日5時間勉強する」と決めても、長続きしません。今の学習時間に、まずは15分だけ足すことから始めましょう。それが習慣になったら、さらに15分足す。この積み重ねで、気づいたときには大きく勉強量が増えているはずです。1日の勉強時間を積み上げる例を表にまとめました。
場面 | 時間の目安 | やることの例 |
|---|---|---|
| 朝(登校前) | 15分 | 前日に覚えた英単語の確認 |
| 通学中 | 20分 | 単語帳・一問一答 |
| 休み時間・昼休み | 10分 | 授業内容の見直し |
| 放課後・帰宅後 | 90分 | 問題集・過去問などまとまった勉強 |
| 寝る前 | 15分 | 今日覚えたことを思い出す |
| 合計 | 2時間30分 | まとまった時間+すきま時間で量を確保 |
教科別:量をこなす勉強のポイント
量をこなすといっても、教科によって効果的なやり方は少しずつ異なります。主な教科ごとのポイントを紹介します。
英語:毎日触れて「英語に慣れる」
英語は、毎日触れることが何より大切な教科です。英単語は1日に覚える数を決めて毎日繰り返し、長文は毎日1題でも読む習慣をつけましょう。音読やリスニングを取り入れると、目と耳の両方から英語に触れる量を増やせます。
数学:解いた問題の数が力になる
数学は、解説を読んで分かった気になるだけでは力がつきません。実際に手を動かして解いた問題の数が、そのまま実力になります。同じ問題集を何周もくり返し、どの問題も解き方がすぐに浮かぶ状態を目指しましょう。
国語・理科・社会:知識を「つなげて」繰り返す
国語の古文単語や漢字、理科・社会の用語などは、繰り返し触れる回数が多いほど記憶に定着します。ただ用語を暗記するだけでなく、「なぜそうなるのか」「前後の流れはどうなっているのか」とつなげて覚えると、少ない回数でも忘れにくくなります。現代文は、さまざまなジャンルの文章を読む量を増やすことで、読むスピードと理解力が高まっていきます。
高校生・中学生、それぞれの量のこなし方
勉強量の増やし方は、学年や目標によっても変わります。
高校生:志望校から逆算して、必要な量を決める
大学受験を目指す高校生は、志望校の入試科目や出題範囲から逆算して、「入試までに何をどれだけやる必要があるのか」を考えましょう。必要な量が分かれば、1日あたり、1週間あたりにこなすべき量も見えてきます。
量をこなすときも、限られた時間をどこに集中させるかという戦略は大切です。受験戦略の考え方は、ランチェスター戦略で考える受験戦略で紹介しています。
中学生:毎日の習慣づくりを最優先にする
中学生のうちは、毎日決まった時間に勉強する習慣を作ることを最優先にしましょう。部活動で忙しい日でも、短い時間で良いので、毎日机に向かうことが大切です。
中学生のうちに勉強の習慣が身についていれば、高校に入ってから学習内容が難しくなっても、量をこなすことに抵抗を感じにくくなります。
量をこなすときの注意点
勉強量を増やすことは大切ですが、次の2点には注意しましょう。
睡眠時間を削ってまで量を増やさない
勉強時間を確保しようとして、睡眠時間を削るのはおすすめできません。睡眠には、その日に学んだことを記憶として定着させる役割があるといわれています。睡眠不足のまま勉強しても集中力が続かず、かえって効率が下がってしまいます。
量を増やすときは、睡眠時間ではなく、スマホやだらだらと過ごしている時間から確保するようにしましょう。
「時間」だけでなく「中身」も振り返る
勉強時間を記録していると、時間を増やすこと自体が目的になってしまうことがあります。机に向かっている時間が長くても、ぼんやりしていたのでは意味がありません。
時間とあわせて、「何ページ進んだか」「何問解けたか」「何を覚えたか」といった中身も記録し、振り返るようにしましょう。
休憩を上手にとり、集中を長続きさせる
量をこなそうとして何時間も休まずに勉強を続けると、集中力が落ち、かえって効率が下がってしまいます。たとえば「50分勉強したら10分休む」のように、あらかじめ休憩のタイミングを決めておきましょう。
休憩中は、スマホを見るよりも、軽く体を動かしたり、目を閉じて休んだりするほうが、頭をリフレッシュしやすくなります。集中できる時間を何回も積み重ねることが、結果として勉強量を増やすことにつながります。
保護者ができるサポート
お子さまの勉強量を増やすために保護者ができることは、勉強しやすい環境を整えることと、続けていることを認めてあげることです。テレビの音量を下げる、静かに勉強できる場所を用意する、夜遅くまでスマホを使わないルールを家族で決めるなど、家庭でできる工夫はたくさんあります。
また、勉強時間が少しでも増えたときには、「前より勉強する時間が長くなったね」と、その変化に気づいて声をかけてあげてください。量を積み重ねることは地道な作業だからこそ、認めてもらえることが続ける力になります。
よくある質問
1日何時間勉強すればいいですか?
必要な勉強時間は、学年や目標、現在の学力によって大きく異なります。大切なのは、他の人と比べることではなく、今の自分より少しでも量を増やしていくことです。まずは今の学習時間を記録し、そこから少しずつ増やしていきましょう。
量をこなしても成績が上がらないのはなぜですか?
読むだけ、写すだけなど、インプット中心の勉強になっている可能性があります。問題を解く、思い出す、説明するといったアウトプットを増やしてみましょう。また、成績はすぐに上がるとは限りません。努力の成果が表に出るまでには、時間がかかることもあります。
勉強量を増やすと、すぐに疲れてしまいます
急に勉強量を増やすと、体も頭も慣れていないため疲れやすくなります。増やすのは1日15分程度ずつにして、体が慣れるのを待ちましょう。また、難しい問題ばかりに取り組むと疲れやすいので、得意な科目や簡単な問題もはさみながら、メリハリをつけて取り組むのがおすすめです。
部活が忙しくて、勉強時間がとれません
部活で忙しい人ほど、すきま時間の活用が大切です。通学時間や休み時間など、短い時間でできる勉強を用意しておきましょう。毎日少しずつでも続けることで、1年後には大きな量になります。
一人で勉強量を増やし、続けていくのが難しいときは、伴走してくれる人を見つけるのも一つの方法です。坪田塾では、講師が一人ひとりの生活リズムや目標に合わせて、無理なく勉強量を増やしていく計画を一緒に考えます。自宅から指導を受けられるオンライン校もあります。
まとめ:知識をつける近道は、毎日の「量」の積み重ね
知識をつけ、能力を伸ばす方法は、とてもシンプルです。最後に、ポイントをおさらいしましょう。
・毎日触れ続けることで知識は身につく
・勉強時間の差は、1年で何百時間、何千時間という大きな差になる
・勉強の「質」は、量をこなす中で生まれる。まずは量を確保する
・毎日ふれる、すきま時間を使う、記録する、少しずつ増やすことで、無理なく量を増やす
志望校合格の可能性を少しでも高めるために、今日から少しずつ、勉強の量を積み重ねていきましょう。
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