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勉強のご褒美は逆効果?成績が伸びるあげ方と高校生のやる気の育て方

「テストで良い点を取ったら、欲しいものを買ってあげる」。勉強のやる気を引き出すために、ご褒美を約束したことがある保護者の方も多いのではないでしょうか。一方で、「ご褒美目当てで勉強するのは良くないのでは?」と迷う方も少なくありません。
実は、ご褒美そのものが悪いわけではありません。大切なのは、「何に対して」ご褒美をあげるかです。

本記事では、勉強のご褒美が逆効果になるのかどうかを、心理学や教育の研究をもとに解説します。そのうえで、高校生・中学生に合ったご褒美のあげ方や目標の立て方、高校生が自分で自分にご褒美を設計する方法、ご褒美で失敗しやすいパターンも紹介します。

執筆:坪田塾 町田校 校長 神保遼平

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目次(クリックで開閉)

・勉強のご褒美は逆効果?よくある2つの考え方
┗「ご褒美目当てでは、本当のやる気が育たない」という考え方
┗「勉強を始めるきっかけになる」という考え方
・研究から見るご褒美の効果
┗「外からのやる気」と「内からのやる気」
┗ご褒美の「種類」と「あげ方」で影響は変わる
┗「結果」より「過程」へのご褒美がすすめられる理由
・なぜ「過程・努力」へのご褒美が効果的なのか
┗何をすればいいかが明確で、繰り返し取り組める
┗結果が出なくても、前向きに考えられる
・高校生・中学生に効果的なご褒美のあげ方
┗ルールは本人と相談して決める
┗「行動」を基準に、達成しやすい目標から始める
┗ご褒美は「物」だけでなく「認める言葉」も
┗ご褒美は少しずつ減らし、「自分で学ぶ力」につなげる
・中学生と高校生で変えたいご褒美のポイント
┗中学生:短い期間で達成できる目標と、こまめなご褒美
┗高校生:長期の目標と、自分で設計するご褒美
・高校生向け:自分で自分にご褒美を設計する方法
┗小さなご褒美と大きなご褒美を組み合わせる
┗勉強記録とセットにする
・ご褒美で失敗しやすいパターン
┗点数や順位だけを条件にする
┗ご褒美がどんどん大きくなる
┗約束を守らない
・よくある質問
┗高校生にご褒美をあげるのは子どもっぽくないですか?
┗ご褒美がないと勉強しなくなりませんか?
┗お金をご褒美にしても大丈夫ですか?
・まとめ:ご褒美は「結果」ではなく「過程」に

勉強のご褒美は逆効果?よくある2つの考え方

子どもの頑張りにご褒美をあげることについては、昔からさまざまな考え方があります。代表的なのは、次の2つです。

「ご褒美目当てでは、本当のやる気が育たない」という考え方

一つ目は、「ご褒美のために勉強するようになると、勉強そのものの面白さを感じられなくなる」という考え方です。心理学では、もともと楽しんで取り組んでいたことに報酬を与えると、かえって意欲が下がる現象を「アンダーマイニング効果」と呼ぶことがあります。

「ご褒美がないと勉強しなくなるのでは」「いつまでもご褒美を求められるのでは」と心配する保護者の方は、この考え方に近いといえるでしょう。

「勉強を始めるきっかけになる」という考え方

二つ目は、「ご褒美は、勉強を始めるきっかけとして役立つ」という考え方です。勉強の習慣がまだ身についていない段階では、いきなり「勉強の楽しさ」を感じるのは難しいものです。ご褒美をきっかけに机に向かう時間が増えれば、その中で少しずつ勉強の手応えを感じられるようになります。

どちらの考え方にも一理あり、子どもの性格や状況によっても向き不向きがあります。では、研究ではどのような結果が出ているのでしょうか。

研究から見るご褒美の効果

ご褒美がやる気や成績にどのような影響を与えるのかは、心理学や教育の分野で長く研究されてきたテーマです。ここでは、代表的な研究の考え方を紹介します。

「外からのやる気」と「内からのやる気」

心理学では、やる気(動機づけ)を大きく2つに分けて考えます。

・外発的動機づけ:ご褒美や評価、ほめ言葉など、外から与えられるものによるやる気
・内発的動機づけ:「面白い」「もっと知りたい」など、自分の内側から生まれるやる気

「ご褒美は逆効果」という考え方は、外発的動機づけ(ご褒美)が、内発的動機づけ(勉強そのものへの興味)を弱めてしまうのではないか、という心配から来ています。

ご褒美の「種類」と「あげ方」で影響は変わる

海外では、ご褒美が内発的動機づけに与える影響について、多くの実験をまとめて分析した研究も行われています。そうした研究では、もともと興味を持っている活動に対して、「やったら必ずもらえる物やお金」を与えると、意欲が下がる傾向があると報告されています。一方で、努力や成長を認めるほめ言葉は、意欲を高める方向に働きやすいとされています。

つまり、ご褒美そのものが一律に悪いわけではなく、「どんなご褒美を」「何に対して」あげるかによって、やる気への影響が変わるということです。勉強の習慣がまだない段階では、ご褒美が机に向かうきっかけとして役立つことも少なくありません。

「結果」より「過程」へのご褒美がすすめられる理由

アメリカでは、ハーバード大学の経済学者ローランド・フライヤー氏らが、3つの都市の200以上の学校で、生徒にご褒美を与える大規模な実験を行いました。ある都市では「本を読むこと」、別の都市では「テストの成績」や「授業の評定」に対してご褒美が与えられました。

結果として、全体ではご褒美による大きな学力向上は確認されませんでした。その中で、統計的に意味のある効果が見られたのは、「本を読む」という行動にご褒美を与えた都市の一部の生徒だったと報告されています。ご褒美だけで成績が上がるわけではありませんが、少なくとも「結果」より「行動」に結びつけたほうが、何をすればよいかが明確になり、学習の行動につながりやすいと考えられます。

この考え方を家庭に当てはめると、「テストで100点を取ったから偉いね」ではなく、「テストのために10時間も勉強したなんて偉いね」と、努力の過程を認めてご褒美をあげるほうがよい、ということになります。結果と過程、それぞれへのご褒美の違いを表にまとめました。

比べるポイント結果へのご褒美過程・努力へのご褒美
ご褒美の条件の例定期テストで80点以上、模試の偏差値60以上1週間で20時間勉強する、問題集を1冊終える
何をすればいいか分かりにくいはっきりしている
繰り返しやすさ狙って再現するのが難しいだれでも繰り返し取り組める
うまくいかなかったとき「自分には才能がない」と考えやすい「もっと努力すれば伸びる」と考えやすい

結果と過程のご褒美

なぜ「過程・努力」へのご褒美が効果的なのか

結果よりも過程や努力にご褒美をあげたほうがよい理由は、大きく2つあります。

何をすればいいかが明確で、繰り返し取り組める

「テストで〇点を取る」という結果は、狙って達成するのが難しく、「何をしたから〇点が取れたのか」という因果関係も分かりにくいものです。問題の難しさやその日の調子にも左右されます。

一方、「テストのために〇時間勉強する」「問題集を〇ページ進める」といった行動は、自分の努力次第で確実に達成でき、何度でも繰り返せます。「これをやればいい」が明確だからこそ、勉強の行動そのものが習慣になっていきます。

結果が出なくても、前向きに考えられる

結果だけでご褒美が決まると、良い点が取れなかったときに「この点数では怒られるから隠しておこう」「どうしても〇点を超えられない。自分には才能がないんだ」と、ネガティブな考えに陥りやすくなります。

一方、努力や過程を認めてもらい続けてきた子どもは、結果が思うように出なかったときも、「もっと勉強時間を増やせば点数が上がるかもしれない」「やり方を変えてみよう」と前向きに考えやすくなります。心理学の研究でも、能力よりも努力をほめられた子どものほうが、難しい課題に粘り強く取り組む傾向があると報告されています。

高校生・中学生に効果的なご褒美のあげ方

ここからは、高校生・中学生のお子さまにご褒美をあげるときのポイントを紹介します。年齢が上がるほど、保護者が一方的に決めるのではなく、本人の主体性を尊重することが大切になります。

ルールは本人と相談して決める

高校生や中学生は、自分のことを自分で決めたいという気持ちが強くなる時期です。保護者が一方的に「〇〇したら△△をあげる」と決めるよりも、「どんな目標なら頑張れそう?」「達成したら何がうれしい?」と本人と相談しながらルールを決めましょう。

自分で決めた目標とご褒美であれば、「やらされている」感覚が薄れ、責任を持って取り組みやすくなります。

「行動」を基準に、達成しやすい目標から始める

ご褒美の条件は、点数や順位ではなく、勉強時間や問題集の進み具合など「行動」を基準にしましょう。最初は少し頑張れば達成できる目標にし、成功体験を積み重ねることがポイントです。目標と行動の例を表にまとめました。

対象行動目標の例ご褒美の例
高校生1週間で平日2時間・休日4時間の勉強を続ける週末に好きなことを自由にできる時間
高校生共通テスト対策の問題集を1冊やりきる欲しかった本や服など、本人と決めたもの
受験生過去問を1年分解き、解き直しまで終える家族で好きな外食に行く
中学生定期テスト2週間前から毎日1時間勉強するテスト後に友だちと出かける日を作る
中学生英単語帳の範囲を期限までに覚える週末のゲームやスマホの時間を延ばす

ご褒美の内容は家庭によってさまざまです。大切なのは、本人にとって魅力があり、かつ家庭として無理のない範囲にすることです。

ご褒美は「物」だけでなく「認める言葉」も

ご褒美は、物やお金だけではありません。「毎日続けていてすごいね」「前より集中できるようになったね」といった、努力を認める言葉も立派なご褒美です。

特に高校生になると、物よりも「自分の頑張りを分かってもらえた」と感じられることが、次の努力の原動力になることも多いものです。物のご褒美と認める言葉を組み合わせて、努力の過程をしっかり見ていることを伝えましょう。

ご褒美は少しずつ減らし、「自分で学ぶ力」につなげる

ご褒美は、勉強を始めるきっかけや習慣づくりのための「補助輪」のようなものです。勉強の習慣が身についてきたら、ご褒美の頻度を少しずつ減らし、勉強の手応えや「できるようになった」という達成感そのものをやる気の源にしていきましょう。

勉強して知識を増やすことは、本来、人にとって面白い行為です。最初はご褒美のために勉強していても、「もっと知りたい」「この分野をもっと学びたい」と思えるものが見つかれば、自分から学習を進められるようになります。

中学生と高校生で変えたいご褒美のポイント

同じご褒美でも、中学生と高校生では効果的な使い方が少し異なります。発達段階や受験までの期間の違いを意識して、ご褒美の設計を変えていきましょう。

中学生:短い期間で達成できる目標と、こまめなご褒美

中学生は、勉強の習慣がまだ定着していないことも多い時期です。「定期テスト2週間前から毎日1時間」のように、短い期間で達成できる行動目標を設定し、こまめに認めてあげることが効果的です。

定期テストは年に4〜5回あるため、テストごとに「計画を立てる→実行する→振り返る」を繰り返す練習の場になります。ご褒美をきっかけに、この流れを自分で回せるようになることを目指しましょう。

高校生:長期の目標と、自分で設計するご褒美

高校生、特に大学受験を控えた生徒にとっては、受験本番まで1年以上の長い期間をかけて勉強を続ける必要があります。保護者が細かくご褒美を管理するよりも、本人が自分で目標とご褒美を設計し、保護者はそれを応援する形が向いています。

「模試の判定」など結果にこだわりたくなる時期ですが、判定は努力が反映されるまでに時間がかかることもあります。だからこそ、毎週の勉強時間や問題集の進み具合といった行動の目標を立て、着実に積み上げていくことが大切です。

高校生向け:自分で自分にご褒美を設計する方法

ここからは、高校生のみなさんに向けたメッセージです。ご褒美は、保護者からもらうだけのものではありません。自分で自分にご褒美を設計できるようになると、受験勉強のような長い戦いも乗り切りやすくなります。

小さなご褒美と大きなご褒美を組み合わせる

「1時間集中して勉強したら好きな音楽を1曲聴く」「1日の目標を達成したら好きな飲み物を飲む」といった小さなご褒美と、「1か月続けたら欲しかったものを買う」「模試が終わったら友だちと出かける」といった大きなご褒美を組み合わせるのがおすすめです。

小さなご褒美は毎日のやる気を、大きなご褒美は長期的な目標へのモチベーションを支えてくれます。ただし、ご褒美の条件はあくまで「行動」にすることを忘れないようにしましょう。

勉強記録とセットにする

自分へのご褒美は、勉強記録とセットにすると効果的です。勉強時間や進めた範囲を記録しておけば、「今週は目標の15時間を達成したからご褒美」と、客観的に判断できます。記録が積み重なっていく様子を見ること自体も、やる気につながります。

勉強記録のつけ方は、ライバル設定で勉強のやる気を伸ばす方法でも詳しく紹介しています。また、保護者の方とご褒美のルールを相談するときは、まず自分の努力の記録を見せることから始めてみてください。

ご褒美で失敗しやすいパターン

ご褒美は、使い方を間違えると逆効果になることもあります。次のようなパターンには注意しましょう。

点数や順位だけを条件にする

「次の模試で偏差値60を超えたら」「学年10位以内に入ったら」のように、結果だけを条件にすると、届かなかったときに一気にやる気を失ってしまうことがあります。また、点数を上げるために、答えを丸写しするなどの近道に走ってしまうおそれもあります。結果を目標にする場合も、ご褒美の条件は行動にしておくのが安心です。

ご褒美がどんどん大きくなる

最初は小さなご褒美でも、回を重ねるうちに「前回より良いものを」と内容がエスカレートしてしまうことがあります。ご褒美が大きくなりすぎると、家庭の負担になるだけでなく、ご褒美がないと動けない状態になりかねません。最初に上限を決めておき、習慣が身についてきたら少しずつ減らしていきましょう。

約束を守らない

子どもが目標を達成したのに、「やっぱりまた今度ね」とご褒美を先延ばしにしてしまうと、信頼関係が崩れてしまいます。約束したご褒美は必ず守ることが大切です。逆に、達成できなかったときに条件を甘くするのも避けましょう。ルールを一貫させることで、ご褒美が努力を後押しする仕組みとして機能します。

よくある質問

高校生にご褒美をあげるのは子どもっぽくないですか?

大人も、仕事を頑張ったあとに自分へのご褒美を用意することがあるように、ご褒美は年齢に関係なくやる気を支える工夫の一つです。高校生の場合は、本人と相談して内容を決めたり、自分で自分にご褒美を設計したりすることで、主体的に勉強に取り組むきっかけになります。

ご褒美がないと勉強しなくなりませんか?

ご褒美を結果ではなく過程に結びつけ、努力を認める言葉もあわせてかけていれば、ご褒美がなくなったとたんに勉強をやめてしまうことは起こりにくくなります。勉強の習慣が身についてきたら、ご褒美の頻度を少しずつ減らし、達成感をやる気の源にしていきましょう。

お金をご褒美にしても大丈夫ですか?

お金をご褒美にすること自体が悪いわけではありませんが、金額がエスカレートしやすい点には注意が必要です。お金を使う場合は、上限を決める、使い道を一緒に考えるなど、家庭でルールを決めておきましょう。お金の使い方を考える良い機会にもなります。

ご褒美のあげ方や声かけに悩んだときは、専門家に相談するのも一つの方法です。坪田塾では、講師が一人ひとりの性格に合わせて、やる気を引き出す声かけや目標の立て方をサポートしています。自宅から指導を受けられるオンライン校もあります。

まとめ:ご褒美は「結果」ではなく「過程」に

勉強のご褒美は、あげ方次第でやる気を引き出す強い味方になります。最後に、ポイントをおさらいしましょう。

・ご褒美の影響は「種類」と「あげ方」で変わる。努力を認めるほめ言葉は意欲を高めやすい
・効果的なのは、点数などの「結果」ではなく、勉強時間などの「過程・努力」へのご褒美
・高校生・中学生には、本人と相談してルールを決め、努力を認める言葉も添える
・ご褒美はきっかけ。習慣が身についたら少しずつ減らし、自分で学ぶ力につなげる

最終的な目標は、成績アップや志望校合格です。そのためにまず大切なのは、自分から勉強する行動力を身につけることです。ご褒美を上手に使いながら、努力を積み重ねる習慣を育てていきましょう。

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