
テスト前に教科書やテキストを何度も読み返したのに、いざ問題を前にすると思い出せない。そんな経験はありませんか?
テキストの内容を完璧に身につけるコツは、たくさん「読む」ことではなく、読んだ内容を何度も「思い出す」ためのアウトプットをすることです。
本記事では、教科書・テキストを読んでも覚えられない理由と、アウトプットを中心にした4つの覚え方(①読んだ内容を隠して思い出す、②「なぜ?」「どのように?」と自分に問いかける、③架空の生徒に説明してみる、④間隔をあけて復習する)を分かりやすく解説します。教科別のコツや、4つの方法を組み合わせた勉強の流れも紹介します。
執筆:坪田塾 本郷三丁目校 校長 大畑順平
目次(クリックで開閉)
・教科書・テキストを読むだけでは覚えられない理由
┗「わかったつもり」になりやすいから
┗人は覚えたことを時間とともに忘れるから
・アウトプットで覚える!教科書・テキストの覚え方4つ
┗方法1:読んだ内容を隠して思い出す
┗方法2:「なぜ?」「どのように?」と自分に問いかける
┗方法3:架空の生徒に説明してみる
┗方法4:翌日・1週間後・1か月後に復習する
・4つの方法の比較|どれから始める?
・覚えられないNG勉強法|インプットだけで終わっていない?
┗テキストをくり返し読むだけ
┗一晩でまとめて覚えようとする
┗答えを見てすぐに「分かった」で終わる
・教科別|教科書・テキストの暗記のコツ
┗英語:本文を隠して「言えるか」を確かめる
┗数学:解説を閉じて解き直す
┗理科・社会:「なぜ」でつなげて流れで覚える
・4つの方法を組み合わせた勉強の流れ
・保護者ができるサポート
・よくある質問
┗マーカーを引きながら読むのは効果がありますか?
┗ノートにきれいにまとめ直すのは意味がありますか?
┗テキストは何回読めば覚えられますか?
┗思い出せなかったときはどうすればいいですか?
・まとめ:教科書・テキストは「読む」よりアウトプットで覚えよう
教科書・テキストを読むだけでは覚えられない理由
「テキストを3回読んだのに、テストでは全然思い出せなかった」。これは多くの中高生が経験することです。原因は努力不足ではなく、読むだけの勉強法そのものにあります。ここでは、テキストを読んだだけでは覚えられない2つの理由を紹介します。
「わかったつもり」になりやすいから
同じテキストを何度も読むと、文章が見慣れたものになり、「もう理解できた」「覚えた」と感じやすくなります。しかし、それは「見れば分かる」状態であって、「何も見ずに言える・書ける」状態ではありません。
テストで求められるのは、テキストを閉じた状態で答えを引き出す力です。読むだけの勉強では、この「引き出す練習(アウトプット)」がほとんどできていません。だから、読み終えた直後には分かっていたはずの内容が、テスト本番では出てこないのです。
人は覚えたことを時間とともに忘れるから
心理学者のエビングハウスが示した「忘却曲線」で知られるように、人は覚えたことを時間がたつほど忘れていきます。特に、覚えた直後から数日のうちに多くを忘れてしまうのが特徴です。
つまり、一度しっかり覚えたつもりでも、そのまま放っておけば忘れてしまうのは自然なことです。「忘れること」を前提に、忘れかけたタイミングで思い出し直す仕組みを作ることが、テキストの内容を完璧に身につける近道になります。

アウトプットで覚える!教科書・テキストの覚え方4つ
ここからは、テキストの内容を「見れば分かる」から「何も見ずに説明できる」状態にするための4つの方法を紹介します。どれも特別な道具は必要なく、今日からすぐに取り入れられるものです。
方法1:読んだ内容を隠して思い出す
テキストを1ページ(または1つの項目)読んだら、そのページを手や紙で隠して、何が書いてあったかを思い出してみましょう。声に出して言ってみる、白紙に書き出してみる、どちらでも構いません。
「読んだばかりの内容なんて簡単に言えるに決まっている」と思うかもしれませんが、実際にやってみると意外と言えないものです。言えなかった部分こそ、まだ身についていない部分です。もう一度テキストを開いて確認し、再び隠して思い出す、を繰り返しましょう。
思い出そうとすること自体が記憶を強くすることは、心理学の研究でも確かめられており、「テスト効果」や「アクティブリコール」と呼ばれています。読み返す時間の一部を「思い出す時間」に置き換えるだけで、同じ勉強時間でも記憶への残り方が大きく変わります。
やり方のポイント
・1ページ、または1つの見出しごとに区切って行う
・キーワードだけでなく、「何がどうなったか」まで文章で言ってみる
・言えなかったところにだけ印をつけ、次回はそこから確認する
方法2:「なぜ?」「どのように?」と自分に問いかける
内容をより深く理解したいときは、「なぜ?(Why)」と「どのように?(How)」の2つの問いを自分に投げかけてみましょう。
たとえば歴史の勉強なら、Whyの問いは「なぜ江戸幕府は鎖国をしたのか?」、Howの問いは「どのような流れで鎖国の体制ができあがっていったのか?」となります。理科なら「なぜ金属は電気を通すのか?」「光合成はどのように進むのか?」といった具合です。
こうした問いに答えようとすると、単なる用語の暗記ではなく、出来事の前後関係や原因と結果のつながりまで考えることになります。知識同士がつながると、1つを思い出したときに関連する内容も一緒に出てきやすくなり、記述問題や応用問題にも強くなります。
答えに詰まったら、それが理解の抜けている部分です。テキストや資料集に戻って確認し、自分の言葉で答えられるようにしておきましょう。
方法3:架空の生徒に説明してみる
人に教えることは、とても効果的な学習法の一つです。教えるためには内容を整理し、筋道を立てて話す必要があるため、自分がどこを理解していて、どこがあいまいなのかがはっきりします。
とはいえ、毎回だれかに教えるのは難しいもの。そこでおすすめなのが、架空の生徒を想定して説明してみる方法です。目の前に「この単元を初めて学ぶ後輩」がいると考えて、テキストを見ずに説明してみてください。
さらに効果を高めるには、架空の生徒から「なぜそうなるの?」「具体的にはどういうこと?」と質問されたと想定して、答えられるか試してみましょう。方法2のWhy・Howの問いを、生徒役に言わせるイメージです。うまく答えられなかったところは、もう一度テキストで確認します。
実際に家族や友だちに説明してみるのも効果的です。「今日習ったところを説明させて」と頼んで、5分だけ聞いてもらうのも良いでしょう。
方法4:翌日・1週間後・1か月後に復習する
一度覚えた内容でも、復習をしなければ時間とともに忘れていきます。忘れかけた知識を思い出すことで、記憶は少しずつ長持ちするようになります。
理想は毎日テキストに触れることですが、部活や学校の課題がある中で、すべての範囲を毎日復習するのは現実的ではありません。そこで目安としておすすめなのが、翌日→1週間後→1か月後という3回の復習サイクルです。間隔を少しずつ広げながら復習することで、短い時間でも効率よく記憶を定着させられます。
復習するときは、テキストを読み返すのではなく、方法1と同じように「隠して思い出す」形で行いましょう。思い出せた項目は次の復習まで間隔をあけ、思い出せなかった項目は短い間隔でもう一度復習します。
手帳やカレンダーに「〇日:数学2章の復習」のように復習日を書き込んでおくと、忘れずに続けやすくなります。
4つの方法の比較|どれから始める?
4つの方法は、それぞれ得意な場面が少しずつ違います。自分の目的に合わせて選んでみてください。
| 方法 | 手軽さ | 主な効果 | 向いている場面 |
|---|---|---|---|
| 隠して思い出す | ◎ | 記憶の定着 | 用語・公式・単語を覚えたいとき |
| 「なぜ?」「どのように?」と問いかける | ○ | 理解を深める | 流れや理由が問われる単元 |
| 架空の生徒に説明する | △ | 理解の抜けを見つける | 単元のまとめ・テスト直前 |
| 間隔をあけて復習する | ○ | 長期間の記憶 | 定期テスト・受験に向けた積み重ね |
迷ったら、いちばん手軽な「隠して思い出す」から始めてみましょう。慣れてきたら「なぜ?」の問いや説明を加え、最後に復習サイクルに乗せるのがおすすめです。
覚えられないNG勉強法|インプットだけで終わっていない?
テキストの内容がなかなか身につかないときは、勉強のやり方そのものを見直してみましょう。ここでは、多くの中高生がやってしまいがちな勉強法を3つ紹介します。どれも「勉強した気分」にはなれますが、記憶にはあまり残りません。
テキストを繰り返し読むだけ
読み返すたびに内容が見慣れたものになり、覚えた気になってしまいます。読み返すのは1〜2回にとどめ、残りの時間は「隠して思い出す」練習に使いましょう。
一晩でまとめて覚えようとする
テスト前日の一夜漬けでも、翌日のテストまでなら覚えていられることがあります。しかし、短期間に詰め込んだ内容は忘れるのも早く、次の単元や受験のときには残っていません。同じ時間を使うなら、数日に分けて少しずつ復習するほうが、長く記憶に残ります。
答えを見てすぐに「分かった」で終わる
問題集の答えや解説を読んで納得しただけでは、自分で答えを出す練習になっていません。解説を読んだら一度閉じて、何も見ずに解き直してみることが大切です。自力で解けて初めて「できるようになった」と言えます。
教科別|教科書・テキストの暗記のコツ
4つの方法はどの教科にも使えますが、教科によって効果的な使い方が少しずつ異なります。ここでは代表的な教科ごとのコツを紹介します。
英語:本文を隠して「言えるか」を確かめる
英語では、教科書の本文を一度音読したあと、本文を隠して日本語訳だけを見ながら英文を言えるか試してみましょう。言えなかった部分は、単語や文法が身についていない部分です。
単語は「英語を見て意味を言う」だけでなく、「日本語を見て英語を書く」練習も取り入れると、テストで書ける単語が増えます。文法は「なぜこの形になるのか」を架空の生徒に説明できるかで理解度を確認できます。
数学:解説を閉じて解き直す
数学は、解説を読んで「分かった」と感じても、自力で解けるとは限らない教科です。例題の解説を読んだら、解説を閉じて白紙の状態からもう一度解いてみましょう。途中で手が止まったところが、まだ身についていないステップです。
「なぜこの公式を使うのか」「どのような手順で解くのか」を、Why・Howの問いで言葉にしておくと、見たことのない問題でも解き方を思いつきやすくなります。間違えた問題は、翌日と1週間後に解き直すと定着しやすくなります。
理科・社会:「なぜ」でつなげて流れで覚える
理科や社会は覚える用語が多いため、一問一答のように用語だけを覚えがちです。しかし、テストでは「なぜそうなるのか」「どのような流れで起きたのか」を問う記述問題も多く出題されます。
テキストを読んだら、「なぜ?」の問いで出来事や現象をつなげ、流れとして説明できるか確かめましょう。たとえば社会なら「原因→出来事→結果」、理科なら「条件→変化→理由」の順に、架空の生徒に説明してみるのがおすすめです。用語同士がつながると、1つ思い出すだけで関連する内容も引き出せるようになります。
4つの方法を組み合わせた勉強の流れ
4つの方法は、組み合わせることで効果がさらに高まります。たとえば、学校で習った単元をテキストで身につけるなら、次のような流れで進めてみてください。
| タイミング | やること | 使う方法 |
|---|---|---|
| 当日 | テキストを1ページずつ読み、隠して思い出す。「なぜ?」の問いにも答えてみる | 方法1・方法2 |
| 当日の最後 | 単元全体を、架空の生徒に5分で説明してみる | 方法3 |
| 翌日 | テキストを開かずに、前日の内容を思い出して書き出す | 方法1・方法4 |
| 1週間後 | 思い出せなかった部分を中心に、もう一度隠して確認する | 方法1・方法4 |
| 1か月後 | 単元全体を説明できるか最終チェックする | 方法3・方法4 |
最初から完璧にこなす必要はありません。まずは「読んだら隠して思い出す」を習慣にし、少しずつ他の方法を加えていきましょう。
保護者ができるサポート
お子さまが「勉強しているのに成績が上がらない」と悩んでいるときは、勉強時間の長さよりも、勉強のやり方に目を向けてみてください。テキストを読み返すだけの勉強になっていないか、さりげなく聞いてみるのも一つの方法です。
おすすめなのは、お子さまの「架空の生徒」役になってあげることです。「今日勉強したところ、教えてくれる?」と声をかけ、5分ほど説明を聞くだけで、方法3を家庭で実践できます。うまく説明できたときは、内容よりも「分かりやすかった」「よく覚えているね」と取り組みそのものを認めてあげると、勉強への意欲にもつながります。
また、復習の予定を一緒にカレンダーに書き込んでおくのもよいでしょう。「翌日・1週間後・1か月後」の復習日が目に見えるようになり、続けやすくなります。
よくある質問
マーカーを引きながら読むのは効果がありますか?
マーカーを引くこと自体は、大事な部分を見つける手がかりになります。ただし、引いただけで満足してしまうと「わかったつもり」になりやすいので注意が必要です。マーカーを引いた部分は、あとで隠して思い出す練習に使うと効果的です。
ノートにきれいにまとめ直すのは意味がありますか?
ノートを作る過程で内容を整理できるという良さはありますが、テキストを書き写すだけでは時間がかかるわりに記憶に残りにくくなります。まとめるなら、テキストを閉じた状態で思い出しながら書くのがおすすめです。思い出す練習とまとめる作業を同時にできます。
テキストは何回読めば覚えられますか?
読む回数よりも、「思い出す回数」を増やすことが大切です。1〜2回読んで内容をつかんだら、あとは隠して思い出す練習と、間隔をあけた復習に時間を使いましょう。
思い出せなかったときはどうすればいいですか?
思い出せなかったことは、失敗ではありません。むしろ、どこが身についていないかが分かるチャンスです。テキストで確認してから、少し時間をおいてもう一度思い出してみましょう。何度か思い出せない経験をした内容ほど、思い出せたときに記憶に残りやすくなります。
一人で勉強を続けるのが難しいときは、だれかに見てもらうのも一つの方法です。坪田塾では、講師が一人ひとりの性格や学力に合わせて、勉強の進め方を一緒に考えます。自宅から指導を受けられるオンライン校もあります。
まとめ:教科書・テキストは「読む」よりアウトプットで覚えよう
テキストの内容を完璧に身につけるために大切なのは、何度も読み返すことではなく、読んだ内容を何も見ずに「思い出す」ことです。今回紹介した4つの方法をもう一度おさらいしましょう。
・方法1:読んだ内容を隠して思い出す
・方法2:「なぜ?」「どのように?」と自分に問いかける
・方法3:架空の生徒に説明してみる
・方法4:翌日・1週間後・1か月後に復習する
まずは今日の勉強から、「1ページ読んだら隠して思い出す」を試してみてください。勉強中にスマホが気になって集中できない人は、勉強中のスマホの誘惑を断ち切る方法もあわせて読んでみてください。
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