
「自分は数学が苦手だから」「1日にこれくらいしか勉強できない」「あの大学は自分には無理」。勉強をしていると、知らず知らずのうちにこうした思い込みを持ってしまうことがあります。
しかし、その「先入観」こそが、あなたの成績の伸びを止めている原因かもしれません。
本記事では、先入観とは何か、そして先入観が勉強にどのような影響を与えるのかを解説します。さらに、先入観を捨てて大きな成果を出した偉人の例や、「能力は努力で伸ばせる」という成長マインドセットの考え方、勉強の先入観を外して成績を伸ばすための具体的な方法を紹介します。
執筆:坪田塾 国立校 講師 遠藤
目次(クリックで開閉)
・先入観とは?勉強の伸びを止める「思い込み」
┗先入観の意味と、似た言葉との違い
┗「ろうそく問題」に見る思い込みの強さ
┗勉強でよくある先入観
・先入観を捨てて成果を出した偉人たち
┗エジソンと白熱電球
┗ライト兄弟と飛行機
┗共通点は「枠を決めずに、やってみる・やり続ける」
・「自分には無理」は思い込み?成長マインドセットの考え方
┗「能力は伸ばせる」と考えるかどうかで行動が変わる
┗脳は使い方次第で変わる
・先入観を外して勉強の可能性を広げる5つの方法
┗方法1:自分の「小さな変化」を記録する
┗方法2:「できない」を「まだできない」に言い換える
┗方法3:苦手科目の「思い込み」を分解する
┗方法4:いつもと違うやり方を試してみる
┗方法5:限界を決めずに、目標を少しだけ上げる
・高校生・中学生がとらわれやすい「受験の先入観」
┗高校生:「今の偏差値では、あの大学は無理」
┗中学生:「内申点が低いから、上の高校は目指せない」
・講習などまとまった時間は「常識を打ち破る」チャンス
・保護者ができるサポート
・よくある質問
┗苦手科目は本当に克服できますか?
┗自分の限界がどこにあるのか分かりません
┗先入観と、経験から得た判断はどう違いますか?
・まとめ:先入観にとらわれず、自分の可能性を広げよう
先入観とは?勉強の伸びを止める「思い込み」
まずは、「先入観」という言葉の意味と、それが私たちの考え方にどのような影響を与えるのかを確認しておきましょう。
先入観の意味と、似た言葉との違い
先入観とは、実際に確かめる前から持っている思い込みや決めつけのことです。「〇〇はこういうものだ」「自分は△△ができない」と、経験や周りの意見から作られたイメージが、物事を見る目を狭めてしまいます。
似た言葉に「固定観念」や「偏見」があります。固定観念は、考えが固まって変えられなくなった状態、偏見は、偏った見方で人や物事を判断することを指します。いずれも、物事をありのままに見ることを妨げるという点で共通しています。
「ろうそく問題」に見る思い込みの強さ
心理学には、先入観の強さを示す有名な実験があります。「ろうそく問題」と呼ばれるもので、ろうそく、マッチ、画びょうの入った箱を渡され、「ろうが机にたれないように、ろうそくを壁に取りつけてください」という課題が出されます。
答えは、箱の中の画びょうを出し、空になった箱を画びょうで壁に留めて、その上にろうそくを立てるというものです。ところが、多くの人はなかなかこの答えにたどり着けません。「箱は画びょうを入れるもの」という思い込みがあるために、箱を台として使う発想が浮かびにくいのです。心理学では、このように物の使い方を決めつけてしまう現象を「機能的固着」と呼びます。
この実験から分かるのは、私たちは自分で思っている以上に、先入観に縛られているということです。そしてそれは、勉強でも同じです。
勉強でよくある先入観
中高生が勉強の場面で持ちやすい先入観には、次のようなものがあります。
・「自分は理系(文系)科目に向いていない」
・「1日に2時間以上は集中できない」
・「暗記は昔から苦手だから、英単語は覚えられない」
・「今の偏差値では、あの大学は目指せない」
・「部活が忙しいから、勉強時間はとれない」
これらは、本当に確かめた結果ではなく、過去の経験や周りの声から作られた思い込みであることが少なくありません。先入観を持ったままでは、「どうせ無理」と挑戦する前にあきらめてしまい、本来伸びるはずの力まで伸ばせなくなってしまいます。
先入観を捨てて成果を出した偉人たち
歴史を振り返ると、大きな発明や発見の多くは、当時の「当たり前」を疑い、先入観にとらわれずに挑戦した人たちによって生まれています。
エジソンと白熱電球
トーマス・エジソンが白熱電球の実用化に取り組んだ時代、明かりといえばろうそくやランプ、ガス灯のように「火を燃やして灯すもの」が当たり前でした。エジソンは、この常識にとらわれず、電気で光る明かりを家庭に広めることを目指しました。
電球が長く光り続けるための材料を見つけるまでには、数えきれないほどの試行錯誤があったといわれています。うまくいかない結果が続いても、「やり方を変えればできるかもしれない」と挑戦をやめなかったことが、成功につながりました。
ライト兄弟と飛行機
ライト兄弟が飛行機の開発に挑んでいたころ、「人間が機械で空を飛ぶのは無理だ」と考える人は少なくありませんでした。それでも兄弟は、自分たちで実験を繰り返し、1903年に動力飛行機による有人飛行を成功させました。
周りが「無理だ」と言うことでも、自分の目で確かめ、挑戦を続けることで、不可能だと思われていたことが現実になったのです。
共通点は「枠を決めずに、やってみる・やり続ける」
エジソンとライト兄弟に共通しているのは、自分の中で「ここまでしかできない」という枠を決めず、まずやってみて、うまくいかなくてもやり続けたことです。
勉強も同じです。「自分にはこれくらいしかできない」という枠を外し、少しずつ挑戦を続けることで、自分でも驚くほどの成長につながります。
「自分には無理」は思い込み?成長マインドセットの考え方
先入観を外すうえで知っておきたいのが、心理学の「マインドセット」という考え方です。アメリカの心理学者キャロル・ドゥエック氏が研究で示した考え方で、教育の分野でも広く知られています。
「能力は伸ばせる」と考えるかどうかで行動が変わる
マインドセットには、大きく2つのタイプがあるとされています。
・固定マインドセット:能力や才能は生まれつき決まっていて、変わらないと考える
・成長マインドセット:能力は努力や学び方次第で伸ばせると考える
固定マインドセットを持っていると、「どうせ自分には才能がない」と考え、難しい問題を避けたり、失敗を恐れて挑戦しなくなったりしやすくなります。一方、成長マインドセットを持っていると、失敗を「伸びるためのヒント」ととらえ、粘り強く取り組みやすくなるといわれています。
「自分は数学が苦手」という先入観は、固定マインドセットの典型です。考え方の違いを、よくある言葉の例で表にまとめました。
場面 | 固定マインドセットの言葉 | 成長マインドセットの言葉 |
|---|---|---|
| 難しい問題に出会ったとき | 自分には解けない | 解き方を調べればできるかもしれない |
| テストの点数が悪かったとき | 自分は頭が悪い | どこでつまずいたかが分かった |
| 苦手科目について | 昔から苦手だから仕方ない | まだ得意になっていないだけ |
| 友だちが成績を上げたとき | あの人は才能があるから | どんな勉強をしたのか聞いてみよう |
| 勉強時間について | 自分はこれ以上できない | あと10分だけ延ばしてみよう |
脳は使い方次第で変わる
「頭の良さは生まれつき決まっている」と思われがちですが、脳は学習や経験によって変化することが、脳科学の研究でも分かってきています。新しいことを学んだり、同じことを繰り返し練習したりすることで、脳の神経のつながりは変化していくと考えられています。
つまり、「今できない」ことは「ずっとできない」ことを意味しません。正しいやり方で練習を続ければ、苦手だった科目でも少しずつ理解できるようになっていきます。
先入観を外して勉強の可能性を広げる5つの方法
ここからは、勉強の先入観を外し、自分の可能性を広げるための具体的な方法を5つ紹介します。

方法1:自分の「小さな変化」を記録する
「自分は変われない」という先入観を外すには、自分がすでに変わっていることに気づくことが一番です。たとえば、次のような小さな変化はありませんか?
・机に向かうことが、前ほど苦ではなくなった
・シャーペンを持つ時間が増えた
・スマホで遊ぶ時間が、数分だけ減った
こうした変化は、意識しないと見過ごしてしまいます。勉強時間や取り組んだ内容を記録しておけば、「以前の自分より確実に前に進んでいる」と実感でき、「自分はこれくらいしかできない」という思い込みが自然とほどけていきます。記録のつけ方は、ライバル設定で勉強のやる気を伸ばす方法でも紹介しています。
方法2:「できない」を「まだできない」に言い換える
「この問題はできない」と言う代わりに、「この問題はまだできない」と言い換えてみましょう。たった一言の違いですが、「まだ」をつけるだけで、「これから先はできるようになる」という前提に変わります。
言葉は考え方に影響を与えます。自分にかける言葉を変えることは、成長マインドセットを身につける第一歩です。
方法3:苦手科目の「思い込み」を分解する
「数学が苦手」と感じていても、実際にはすべての単元が苦手なわけではないことがほとんどです。計算は得意だけれど文章題が苦手、図形は得意だけれど関数が苦手など、苦手な部分を細かく分けてみましょう。
苦手の正体が分かれば、「数学全部が苦手」という大きな思い込みが、「関数のグラフの読み取りを練習すればいい」という具体的な課題に変わります。課題が小さくなれば、取り組むハードルも下がります。
方法4:いつもと違うやり方を試してみる
「勉強はこうやるもの」という先入観も、成績の伸びを止める原因になります。ノートにまとめるだけで覚えようとしていたなら、問題を解きながら覚える方法に変えてみる。机に向かってばかりだったなら、通学時間に単語を覚えてみる。やり方を変えるだけで、驚くほど効率が上がることもあります。
うまくいかなかったら、また別の方法を試せばいいだけです。エジソンのように、試行錯誤そのものを楽しむ気持ちで取り組んでみましょう。
方法5:限界を決めずに、目標を少しだけ上げる
「自分は1日2時間が限界」と思っているなら、まずは2時間10分を目指してみましょう。いきなり大きく目標を上げると挫折しやすいですが、少しだけ上げた目標なら、達成できる可能性が高くなります。
小さな「できた」を積み重ねていくと、気づいたときには、以前の自分が「限界」だと思っていたラインを大きく超えているはずです。勉強でよくある先入観と、その外し方の例を表にまとめました。
よくある先入観 | 見方を変えると | まず試してみること |
|---|---|---|
| 数学は昔から苦手 | 苦手なのは一部の単元だけかもしれない | 間違えた問題を単元ごとに分類する |
| 1日2時間しか集中できない | 休憩の取り方で集中は続けられる | 25分勉強・5分休憩を繰り返してみる |
| 暗記が苦手 | 覚え方が合っていないだけかもしれない | 読むだけでなく、隠して思い出す練習をする |
| 部活があるから勉強できない | すきま時間は意外と多い | 通学時間に英単語を10個覚える |
| 今の偏差値では志望校は無理 | 入試までの時間で伸びる可能性がある | 合格最低点との差を科目ごとに確認する |
高校生・中学生がとらわれやすい「受験の先入観」
受験に関しても、先入観が進路の選択肢を狭めてしまうことがあります。高校生と中学生、それぞれが持ちやすい先入観を見てみましょう。
高校生:「今の偏差値では、あの大学は無理」
大学受験では、模試の偏差値や判定を見て、早い段階で志望校をあきらめてしまう人がいます。しかし、模試の結果は「その時点」での実力にすぎません。特に高校1・2年生や受験学年の前半は、入試本番までに大きく伸びる余地があります。
大切なのは、偏差値だけで判断するのではなく、志望校の合格最低点と自分の得点を科目ごとに比べ、「どの科目で何点上げれば届くのか」を具体的に確認することです。差が具体的に見えれば、「無理」という漠然とした思い込みが、「これをやれば近づける」という計画に変わります。
中学生:「内申点が低いから、上の高校は目指せない」
高校受験では、内申点が合否に関わる地域も多く、「今の内申点では無理」と考えてしまう中学生もいます。しかし、内申点は学年ごとの成績で決まるため、これからの定期テストや授業への取り組み次第で変えていくことができます。
入試の点数で内申点の差を取り戻せる高校もあります。志望校の入試制度を確認し、自分にとって何が大事かを知ることで、先入観にとらわれない進路選びができるようになります。
講習などまとまった時間は「常識を打ち破る」チャンス
学校の長期休みや講習の期間のように、まとまった勉強時間がとれる時期は、自分の先入観を打ち破る絶好のチャンスです。普段は「これくらいしかできない」と思っていた勉強量に、思い切って挑戦してみましょう。
最初は大変に感じても、続けているうちに、それが自分にとっての「当たり前」に変わっていきます。日々の勉強で少しずつ変化を積み重ねてきた人には、すでに走り続けられる「土台」があります。その土台を信じて、頭をフル回転させる時間、常識を打ち破る時間を体験してみてください。
ただし、無理をして体調を崩しては元も子もありません。睡眠や食事をしっかりとりながら、自分のペースで少しずつ限界を広げていくことが大切です。
保護者ができるサポート
子どもの先入観は、周りの大人の言葉から生まれることもあります。「うちの子は数学が苦手だから」「この子にはこのレベルが合っている」といった何気ない言葉が、子ども自身の思い込みになってしまうことがあるのです。
保護者の方には、お子さまの可能性を決めつけず、「まだ伸びる途中」という目で見守っていただければと思います。点数や結果よりも、努力や工夫、小さな変化に目を向けて、「前より机に向かう時間が増えたね」「新しいやり方を試しているんだね」と声をかけてあげてください。挑戦を認めてもらえる経験が、子どもの成長マインドセットを育てます。
よくある質問
苦手科目は本当に克服できますか?
苦手科目の多くは、つまずいた単元がそのままになっていることが原因です。苦手な部分を細かく分けて、基礎からやり直せば、少しずつ理解できるようになります。「昔から苦手だから」とあきらめずに、まずは一つの単元から取り組んでみましょう。
自分の限界がどこにあるのか分かりません
限界は、最初から決まっているものではありません。少しずつ目標を上げながら挑戦を続けることで、限界だと思っていたラインは自然と広がっていきます。勉強の記録をつけておくと、自分がどこまで伸びてきたかを確認でき、次の目標も立てやすくなります。
先入観と、経験から得た判断はどう違いますか?
経験から得た判断は、実際に試した結果にもとづいています。一方、先入観は、試す前から「どうせこうだ」と決めつけてしまうものです。迷ったときは、「自分は本当にそれを試したことがあるか」「試し方を変えたら結果は変わらないか」と自分に問いかけてみてください。物事を疑問を持って見る考え方は、「疑う」とは?勉強で成績を伸ばす考え方でも紹介しています。
一人で思い込みに気づくのは難しいこともあります。坪田塾では、講師が一人ひとりの性格や得意・不得意を見きわめ、「自分には無理」という思い込みを外しながら、成長につながる勉強の進め方を一緒に考えます。自宅から指導を受けられるオンライン校もあります。
まとめ:先入観にとらわれず、自分の可能性を広げよう
「自分にはこれくらいしかできない」という先入観は、知らず知らずのうちに成績の伸びを止めてしまいます。最後に、ポイントをおさらいしましょう。
・先入観は、確かめる前から持っている思い込み。私たちは思った以上に縛られている
・エジソンやライト兄弟のように、枠を決めずにやってみる・やり続けることが成長につながる
・能力は努力や学び方次第で伸ばせるという「成長マインドセット」を持つ
・小さな変化の記録、「まだできない」への言い換え、苦手の分解などで先入観を外す
今のあなたにも、これまで積み重ねてきた変化が必ずあるはずです。その変化を土台に、先入観にとらわれず、自分の可能性を広げる一歩を踏み出してみてください。
映画『ビリギャル』でおなじみの個別指導塾!坪田塾とは
坪田塾は中学校1年生~高校3年生、高卒生(浪人生)を対象にした個別学習塾・予備校です。首都圏(東京・神奈川・埼玉・千葉)、名古屋、大阪、兵庫に26校舎、日本全国に指導を提供するオンライン校を加えて全27校舎を展開しています。
坪田塾では、学力や学校のスケジュールに合わせて勉強できる個別プログラムに加え、教育心理学に基づく9つの性格タイプに合わせた指導・声掛けによって、子ども一人ひとりを支えて寄り添う、「子」別指導に力を入れています。
この科学的に証明された学習法により、多くの受験生の偏差値を短期間で大きく上げて、難関校合格へと導いています。料金も1時間1,640円~と、通いやすい料金体系です。
「ビリギャル」でおなじみの坪田塾に興味がある方は、ぜひ無料体験授業を受講してみてください。
◆坪田塾の校舎一覧はこちら
