『中学から高2までずっと勉強を拒否し続けてきた私が、約半年間の猛勉強で、武庫川女子大学薬学部に現役合格した話。』

中嶋友香さん

武庫川女子大学 薬学部

西浦航太郎先生

坪田塾 西宮北口校 講師

薬剤師をめざし武庫川女子大学に通う中嶋友香さん。知的なリケジョの雰囲気が漂う彼女ですが、中学から高校2年生まではずっと勉強を拒み続けてきて、数学のテストで4点を取るなどの伝説を打ち立てたこともあったそうです。

「勉強なんて大嫌い。先生は敵!」と公言していた友香さんが、なぜ志望大学の薬学部に現役合格できたのか。当時の担当講師だった西浦先生と一緒に振り返ります。

 

意地でも勉強しないと決意して過ごした中学時代。

「受験があまりうまくいかなかったこともあって、その反動で、中学では意地でも勉強するものかと思って。部活だけがんばって、高校もそこまで勉強せずに入れる学校に入りました。」と中高時代を振り返る友香さん。

断固として勉強を拒否し、放課後は友達と楽しく遊ぶ毎日。授業中も支給されたiPadでこっそり韓流ドラマを見たりと、「だいぶヤバい生徒だった」と告白します。

もちろん先生や両親からは「勉強しなさい!」と注意されていましたが、数学で4点を取ってからは、とうとう何も言われなくなるように。大学に行く気はさらさらなく、「卒業できればいいや」と、友達に会うためにだけ高校に通っていたと話します。

転機が訪れたのは、高校2年生の冬でした。大学受験を考え出す周りに影響され、「やっぱり大学に行こうかな」と思い始めた友香さん。実は子供の頃から医療系の仕事に憧れていたことに加えて、通っていた高校が大学への推薦枠を多く持っていたことも相まって、とても楽観的に「薬剤師って格好良さそう。薬学部に行こうかな」と考えるようになったのです。

ところが現実はそう甘くありません。進路面談で先生から「あなたの成績では、3年生でどれだけ頑張っても、推薦を利用できる大学はありません」と言われてしまいました。

ですが、友香さんのすごいところはここからです。

「それならこの高校に通う意味はない。学校を辞めて自力で受験勉強しよう。でも流石に現役は無理だろうから浪人も覚悟しておこう」

と、すぐさま通信制高校について調べ、ご両親に転校を相談されたのです。一つの道が閉ざされたとしても、そこでへこたれるのではなく、他の道を探っていこうとする強いハートが友香さんにはあったのです。

娘の予想もしない行動に、ご両親とも最初は大反対だったとのことですが、まずはお母様が味方になってくれて、続いてお父様の説得にも成功。

高校3年生の4月から、通信制の授業を受けつつ、受験勉強を始めることになりました。

 

ビリギャルに憧れて、坪田塾へ

通信制高校に転入した友香さんですが、中学から勉強を拒否していたため、勉強の仕方がそもそもわかりません。「薬学部をめざすのだから、数学と英語と、生物か化学をやればいいか」と思いつつも、つい遊んでしまってまったく勉強は進まなかったといいます。

そんな友香さんが「さすがにヤバい」と自覚したのは7月に入ってのこと。ご両親にも相談し、自宅から近い西宮北口駅周辺で塾を探し始めました。

多くの塾がひしめく西宮北口駅周辺ですが、その中で友香さんが最初に訪れたのが坪田塾でした。その理由は、映画『ビリギャル』を観ていたこと。自身の境遇に重ね合わせて、密かに期待を寄せていたのか、お母様と一緒に入塾説明会と面談に訪れたのでした。

ちなみに友香さん、入塾時に受ける学力診断テストを、選択問題以外は白紙で提出。その選択問題も1問しか正解しておらず、採点結果はほぼ0点という状況でした。後に友香さんの担当講師となる西浦先生もこれには、「残り時間を考えると、現役合格は決して簡単ではない」と分析したそうです。

一方の友香さんは、坪田塾の雰囲気が自分に合うと確信。「本気で現役合格を狙うためにも、毎日塾に来て勉強できる『無制限コース』で通ってほしい」と、率直に学力の現在地を伝える西浦先生に対し、「やります!申し込みして帰ります!」と即答して驚かせたとか。

「費用がかかるかことなのだから。まずはご両親としっかり話し合っておいで」と西浦先生に促されてしぶしぶ自宅に持ち帰り、ご両親と相談されたと言います。

考え方や価値観の部分で、ご両親とぶつかりがちだった友香さん。この時も説得は難航したようですが、最後には「坪田塾に行けないなら、高卒で働く!」と宣言。親御様と一緒に何度か坪田塾に足を運んでじっくり話を聞き、家族間での話し合いを経て、「浪人せず現役で大学に行くならば」という条件のもと、ついに坪田塾通いを勝ち取ったのでした。

 

中1の内容から始めて、1日6時間以上塾で勉強

7月中旬から坪田塾通いを始めた友香さん。塾のあいている平日16時から2140分まで、ひたすら勉強する日々が始まりました。

教科は第一志望の武庫川女子大学薬学部に合わせて、英語と化学の2教科受験に絞る戦略を取ることに。中1のテキストから勉強を開始し、7月の1ヶ月間で中学課程を終わらせるスピードで基礎学習を進めて行きました。

それまで30分以上集中して勉強した経験がなかった友香さんですが、坪田塾では「あれ?もう21時?」と、気づけば一瞬で数時間が経っていることが新鮮な驚きだったそうです。

なぜそんなにも勉強に夢中になれたのでしょうか?

「単元テストとかのプリントを1枚やるだけで、それも満点でもなんでもないんだけど、西浦先生たちがめちゃくちゃ褒めてくれて。それが嬉しくて『じゃあ次のテストをやろう!』と続けているうちに、時間があっという間に過ぎていった感じかなあ」

と恥ずかしそうに笑う友香さん。

それまでの友香さんにとって「先生は敵」。先生という存在に心を許すことはないし、勉強しろ!という声に耳を貸すこともありませんでした。一方、坪田塾の講師に対しては、「勉強を教えてくれる、頼れる友達」という感覚を抱いていたそう。

気付く頃には、坪田塾の講師陣が「現役合格も夢ではないかも」と思い始めるほど、友香さんの成績は急上昇していきました。

 

芸術家タイプにありがちな、気分のムラとの戦い

順調に受験勉強を進めていた友香さんですが、基礎を終え、応用問題に入ったあたりから壁にぶつかりだします。「英語が嫌になってきたー!」「化学やるのヤダー!」と、両教科が交互に嫌になる周期がやってきたのです。

坪田塾では、生徒一人ひとりの性格に合わせた声掛けや指導を行うために、入塾時に、9つの性格タイプに分類する「性格診断テスト」を実施しています。友香さんはというと「芸術家」と「楽天家」の傾向が強く出ているタイプでした。

「芸術家」タイプは、独自の感性を大切にし、人と違うことに喜びを感じるタイプです。指導においては、「これは君だけに伝えるんだけどね…」といった“特別感”を感じさせるような声掛けを受けると、モチベーションに繋がりやすい傾向があります。

一方、「楽天家」タイプは、楽観的で好奇心旺盛な反面、飽きっぽい一面も持つタイプ。とにかく楽しそうと思えることにモチベーションが湧いてくるので、勉強の指導の際にも、楽しそうでワクワクする未来を想像させる、そんなアプローチが有効です。

「なんとかなるでしょ」という楽天家気質で受験勉強を頑張れていた友香さんでしたが、ここに来て、自分が納得しないとスイッチが入らず、嫌だと思ったらとことん嫌がってしまう芸術家の気質が目立ってきたのです。

「気分が変わりやすいのは、最後のほうまで繰り返していました。ただ、私たちはそんな彼女を否定するのではなく、丸ごと受け入れる方針でした。友香さんのような芸術家・楽天家タイプは、楽しいと思えればどれだけでも頑張れる一方、楽しくなければ全く力を出せないからです」

当時のことを振り返りながら、西浦先生は続けます。

「イヤだ!って言われると、指導する側としてはつい諭したくなりますよね。でも、友香さんのような性格の持ち主に対しては、『嫌』を助長するアプローチは実は逆効果なのです。英語が嫌なら化学をやろうね、化学が嫌になったらまた英語に戻ろうね、という具合に、テンションを下げさせない指導を大切にしていました」

そう話す西浦先生に、「勉強をしたくない気分の時も、坪田塾に行けば、先生たちと大好きなK-POPアイドルの話ができると思って、休まず通い続けていました」と友香さんも相槌を打ちます。

坪田塾では、問題を解いた後に、先生とマンツーマンでディスカッションしながら、知識をアウトプットすることで理解を深めていく「反転学習」という勉強法を取っています。

この時に、生徒の個性や嗜好に応じたアイスブレイクを交えながら、やる気を引き出すのが講師の腕の見せ所。友香さんも、問題を解けば友達との会話のように趣味の話で盛り上がれることをモチベーションに、ムラっけのある自分と戦っていたのです。

 

嫌いだった化学が好きに。偏差値も合格圏に爆上がり

猛勉強による巻き返しで、11月には応用問題まで終わらせた友香さん。12月からはいよいよ過去問に挑戦し始めました。

センター試験の過去問を解いた際は、「思ったよりも点数が取れないし、何で間違えたかもわからなくて、めっちゃやる気を無くしました」と話す友香さん。

坪田塾では過去問を解いた際、間違えた問題の原因分析を生徒に取り組んでもらいます。この振り返りこそ、受験本番で生きる思考力や解答力を高める秘訣なのですが、最初はこれがなかなか進まなかったのです。

それでも友香さんが挫折しなかったのは、坪田塾に通う楽しさが毎日の心の支えになっていたから。また何よりも、がんばって築き上げてきた勉強習慣が、自分自身を支えてくれていたのです。

坪田塾では「子別ノート」という、その日塾でやることのリストが書かれたシートを生徒一人ひとりに渡します。秋以降の友香さんの子別ノートを見てみると、その日やったことが毎日ぎっしりと書かれており、時にはそれが1日で2枚に渡ることも。

「塾に来て、一つずつ目標をクリアすると、先生たちが緑のペンで取り組んだ時間と一緒に『合格』って書いて、褒めてくれるのが嬉しくて。子別ノートを緑色で埋め尽くすのも達成感で、そこが楽しくてひたすらやっていた感じです」と、当時の子別ノートを見返しながら、当時の気持ちを話してくれた友香さん。

当初つまずいた過去問対策も順調に進み、気がつけば、あんなに嫌いだった化学が好きな教科に変化。当初30だった模試偏差値は数ヶ月でバクノビし、第一志望の武庫川女子大学薬学部もE判定から脱却して、入試1ヶ月前には、合格の希望が見えてくるようになっていたのです。

 

緊張から、簡単な問題も“恐竜”レベルの難問に見えた入試初日

坪田塾では、自宅でのインプット→塾でのアウトプットで学力を育みます。友香さんも平日は毎日塾で5時間半勉強し、自宅でも課題に取り組む毎日を過ごしていました。コーヒーを片手に、徹夜することもしばしば。自室の机の前には、ピンクと黄色の付箋がびっしり貼られていたと言います。

「ピンクが英語で、黄色が化学です。化学の元素記号から全く分かってなかったので、最初はそれこそ『水素:H』とか書いて貼っていたんですよ」と苦笑する友香さん。

そんな努力の日々を乗り越えて迎えた本番当日。坪田塾で解いた過去問をお守り代わりにカバンに忍ばせ、受験会場へ向かった友香さん。しかし1日目はまったく解けた気がしませんでした。ネット速報を調べるうちに「これはダメだ」と絶望してしまい、帰りの電車の中で泣きながらお母様に電話したそうです。

「でもね、全然できなかったという問題の解答、実はほぼ完璧だったんですよ」

と話してくれたのは西浦先生。沈んだ様子で塾にやってきた友香さんに入試問題用紙を見せてもらい、回答内容を聞いてみたところ、「できてるやん!!!」という状況だったのだとか。

そのとき西浦先生は「初めての入試だったから緊張して、ハムスター程度の問題が恐竜に見えたんじゃない?」と笑いながら、友香さんのノートにハムスターの絵を描きました。

そのまったく可愛くないイラストに「妖怪みたい!」と思わず笑ってしまった友香さん。「2日目も全然できた気がしなかったんだけど」と言いつつも、落ち着いて本命の武庫川女子大学の入試を終えられたと言います。

武庫川女子大学のA日程試験を終えた後、第二志望の神戸学院大学薬学部を受験した友香さん。実はこの受験日は、武庫川女子大学の合格発表日でもありました。受験後に急いで発表サイトを開くと、合格の通知が目に飛び込んできて…!

「この時は、迎えに来てくれたお母さんの車に乗った途端、嬉しさから号泣。でもあまりの私の泣きっぷりにお母さんは落ちたと勘違いしたみたいで…」とイタズラっぽく笑う友香さん。

結果を見れば、第一志望・第二志望ともに、受験したすべての試験で見事に合格を果たしていたのでした。

 

そして、薬剤師になる夢に邁進

合格が決まってすぐ、友香さんが取り組んだのが、受験モードだった部屋の片付けです。机の前に貼ってあった付箋をすべて外し、問題集を片付けていたときに…偏差値30だった模試のプリントが出てきたのだとか。

「当時はすごくショックで、親に見せられないと隠していたのを思い出しました」と、笑う友香さん。あの頃とはまるで違う自分を手に入れた余裕が、今の彼女にはありました。

そして、薬学部1年生として武庫川女子大学に通う現在。専門科目のほとんどが化学の内容なのですが、「受験勉強の続きをしている感じで、問題なく授業についていけています」と語る友香さん。苦手だった有機化学でも優秀なクラスに入ることができており、「6年で確実に薬剤師試験に合格するのが目標。テストに少しでも落ちると留年になるのでがんばります!」と抱負を語ってくれました。

学校という環境の中で、自分の個性を丸ごと受け入れて信じてくれる大人に出会えず、長い反抗期を過ごしていた友香さん。ぶつかり合いながらも愛情をたやさない保護者様の支えのもと、今こうして力強く新たな道を歩み始めた友香さんの、人生の灯火の一部となれたことを嬉しく思います。

 

講師コメント

西浦航太郎 西宮北口校講師

坪田塾では「最大限に生徒の才能を引き出す」というクレド(信条)を掲げており、私たち講師は生徒の力を100%引き出すために、一人ひとりにあった指導を工夫しています。友香さんは、そんな私たちの取り組みに最大限の力で応えてくれる生徒さんでした。与えられた時間の中で周りの誰よりも努力して、自分の可能性を絶対に自分のものにするという姿勢を見せてくれました。

友香さんの現役合格を確信したのは12月でしたが、実は8月頃、入塾1ヶ月のタイミングで予感がありました。入塾時にほぼ0点だったテストを「この問題、今なら解けるよね」と言いながらやり直し、ほぼ全問、解けるようになっていたからです。

その時が「この進歩を半年続けられたら間に合う」と私が予感した瞬間で、そこからの友香さんは、私たち講師陣に大きなやりがいと希望を与え続けてくれました。友香さん、合格おめでとう。本当に嬉しく思います。