『メンタル揺れ揺れだった私が、高3の夏から本気を出して、学年ビリから関西大学に現役合格した話。』

山田莉葉さん

関西大学 人間健康学部

西垣純也校長

坪田塾 茨木校 校長

高校3年生の夏まで部活をやりきったうえで、第一志望の関西大学に現役合格を果たした山田 莉葉(りょう)さん。

大学生になった現在は、体育の先生をめざせる人間健康学部で学びながら、器械体操部での活動に熱中。インタビューがあったこの日も、千里山キャンパスでの練習を終えたその足で坪田塾にやってきてくれました。

高校時代は部活に熱中するあまり、成績は下から数えたほうがはやい学年最下位レベル。苦手な数学の授業は、ほぼ寝て過ごしていたという莉葉さんですが、映画「ビリギャル」のさやかさんと同じように明るく、この日も受験した当時のことを楽しそうに話してくれました。

そんな莉葉さんの大学合格までの軌跡を、担当講師だった西垣先生と共に振り返っていきます。

 

体操が好きで全然勉強しなかった高校時代

「体操ばかりして、全然勉強しない高校生でした。でもやればできる子なんです!」と笑う莉葉さん。彼女が体操を始めたのは小学5年生のとき。地元の体操クラブで才能を発揮し、選手育成コースに進んだものの、お父さんの仕事の都合で九州から大阪に引っ越すことに。中学時代は体操ができずにいました。

「やればできる子」の発言通り、高校受験を経て、地元の公立進学校に入学。そのまま勉強の熱意が続けばよかったのですが、高校に体操部があったことから、部活中心の生活へと一転。「公立高校だと、練習環境やコーチが充実してる私学になかなか勝てないのが悔しくて」と、高校3年の夏の大会まで、部活漬けで過ごしてきました。

「当時の成績?もう進級ギリギリで下から数えたほうが早い感じ。やればできるんだけど部活ばっかりやってて、ビリー!みたいな」と、あっけらかんとした表情で、莉葉さんは当時を振り返ります。

保護者様は心配だったのでは…なんて思いますが、ご両親ともおおらかで、勉強しろとうるさく言われたことはなかったと話します。

 

姉に背中を押されて坪田塾へ

そんな莉葉さんが、なぜ坪田塾に通うことになったのか。実は彼女には、坪田塾に通って成績を“バクノビ”させ、一足先にミラクルを起こしたお姉さんがいたのです。

自身の体験から、当時高校2年生だった妹に坪田塾通いを猛プッシュしてきたお姉さん。ですが莉葉さんの心はなかなか動きませんでした。

「自分でも近所の塾に行こうとは思っていたんだけど、もっと受験が近づいてからでいいかなって。『早めに塾通いしたほうがいいよ!』とお姉ちゃんに坪田塾の動画を見せられたけど、ふーんて感じで。だけどお母さんまで坪田塾を勧めてきて…」

莉葉さんが渋々と入塾面談に行ったのは、高校2年の11月のことでした。

そこで西垣先生と対面した莉葉さんがまず思ったのが「先生、イケメン!!」という、女子高校生らしい素直な感想。「なになにお姉ちゃん、こんなイケメンに教わってたの!?」と思い、ちょっとぐらい通ってもいいかもと心が揺らいだといいます。

ですが、そのときに受けた学力診断テストがまったくと言っていいほど解けませんでした。特にできなかったのが数学です。

「三角関数とか、高2の範囲が特に最悪。そういえば私、数学の授業全部寝てたなーって。定期テストも100点満点で6点。小テストか!っていう点数しか取れてなかったんですよね」

一方、西垣先生は莉葉さんに、勉強の素質を感じました。

「やってこなかっただけで、勉強のやり方さえつかめば伸びる子だなと感じました。それよりも、莉葉さんの場合は、やる気をどのように引き出すかが課題。私たち指導者次第で、大きく変われるはずだという印象を持ちました」

こうして、莉葉さんは坪田塾に入塾し、西垣先生との受験勉強の日々がスタートしました。

 

『勉強面白いかも!』と、塾通いを増やした春

入塾当初は「あまり行きたくなかったから」と、週2回×3時間というペースで坪田塾に通い始めた莉葉さん。ところが高3進学前には自ら希望して、週3回の通塾ペースに変更します。

「高2時の冬期講習が終わったくらいから苦手な数学が解け出して、『勉強面白いかも』って感動したんです。それで、気づいたんです。週2でやるより週3のほうが、勉強がわかるようになるスピードが早いなって」

莉葉さんが勉強の面白さを発見するのと並行して、西垣先生による関係性づくりも進んでいました。西垣先生は、莉葉さんの明るくおしゃべりな性格を生かして、まずはやり取りの回数を増やし、莉葉さんがどういったものに興味を抱きやすいのかを把握していきました。

莉葉さんの指導法や関わり方を考えるうえでは、入塾面談で行う9タイプ診断の結果も活用しされています。一見すると、楽観的で直感に従って動くタイプの莉葉さんですが、9タイプ診断の結果は「堅実家タイプ」。

堅実家タイプの特徴は、コツコツと作業を進めることが得意で、計画的に物事が進んでいることに喜びや安心を感じるという傾向があります。一方で、突発的なできごとや新しい挑戦にはメンタルが揺れやすいという一面も。そんな堅実家タイプにとって一番の特効薬は「成功事例」で、前例や過去の成功例を示せば、そこに安心を感じて文字通り「堅実」に行動してくれるのです。

西垣先生は莉葉さんが堅実家タイプであることを踏まえ、「この問題、模試に丸々出たんだよ」「入試の過去問にも出てるでしょ?」などと具体例を示しながら、今まさに受験に直結する勉強ができているんだ、という安心を莉葉さんに与えるよう心がけました。

当時の莉葉さんは週6回の部活と塾を両立する生活でしたが、この作戦が成功。スキマ時間での勉強を重ねることで着実に基礎が固まり、春から夏にかけて学力がアップしていきました。

 

引退試合で折れかけた心から復活の夏

堅実家タイプの莉葉さんの課題は、メンタルでした。春から着実に調子を上げていた莉葉さんですが、最初のピンチが到来します。引退試合としてのぞんだ夏の大会で、意欲を持って挑んだ技を完璧に決めきれず、深く落ち込んでしまったのです。

うつろな表情で塾に現れた莉葉さんに声をかけた西垣先生。まずは勉強よりも、大会がどうだったかの話をじっくり聞き、講師陣やチューターの大学生みんなで、彼女が気持ちを切り替えられるよう、メンタルをサポートしていきました。

もう部活ができないとしょんぼりしていた莉葉さんですが、塾のみんなに話を聞いてもらっているうちに、前向きな気持ちに。それを見て西垣先生はすかさず、「そろそろ志望大学や学部を決めてもいいんじゃない? オープンキャンパスに行くといいよ」とアドバイスします。

すると数日後には、勢いよく坪田塾に現れ「関西大学の人間健康学部に行きます!」と宣言したのです。「勢いにびっくりしました」と、西垣先生は笑います。

実は以前から、体操部がある大学を志望して、関西大学と関西学院大学を候補に挙げていた莉葉さん。西垣先生のアドバイス通り大学見学に出かけたことで、関西大学に志望校を絞る決意を行ったのです。

そこからの莉葉さんは心機一転。残りの夏休みを受験勉強に捧げます。朝はカフェでモーニングを食べながら勉強し、昼過ぎに坪田塾に来てからも勉強。夕方からは、インプットした内容について講師を相手にディスカッションしながら理解を深めるというスケジュールで過ごし、さらに2学期からは塾通いを週4回にペースアップ。成績が急カーブを描いて上昇したのもこの頃です。

 

破局の危機に、メンタルも大ピンチの冬

演習問題をたくさんこなしながら関西大学受験に向けて順調に勉強を継続していた莉葉さんでしたが、そんな彼女を最大のピンチが襲います。当時つきあっていた彼氏との仲がぎくしゃくしだし、その悩みで勉強が手につかなくなってしまったのです。受験追い込みの大切な冬シーズンに、莉葉さんのメンタルは底辺まで落ち込みました。

真っ青な顔で、ふらふらと塾に向かった莉葉さん。その只事ではない様子に「どうしたの!?」と慌てた西垣先生。事情を聞いて、その日は悩み相談をメインに莉葉さんの話をじっくり聞いたといいます。

「メンタルが9割」とも言われるほど、受験においてメンタルは非常に大切な要素の一つです。そのため坪田塾では、勉強の指導だけでなく、メンタルのサポートまで手厚く行っており、生徒から友人関係や家族関係、恋愛などに関する相談を受けることも少なくありません。

莉葉さんも「何がしんどいのか、紙に書き出してごらんと言われました」とアドバイスを受けたことをよく覚えているそうです。紙に書きだすことで頭の中でもやもやとしていた悩み事が整理され、またそれを講師陣に吐き出すことで、恋人との別れを乗り越えることができました。

振り返ってみると、勉強へのやる気はあった一方で、プライベートでの気持ちの浮き沈みが激しいことが、学力成長を阻む要因になっていた莉葉さん。しかしこれは、莉葉さんだけに限ったことではありません。だからこそ坪田塾ではまず生徒さんとの関係性づくりを大切にし、何かあったときにまず相談してもらえる、たくさん話せる環境を整えているのです。

 

E判定続きの模試から、合格への秘策

メンタルの揺れにこそ悩まされましたが、勉強の方は「ずっと成長していました!」と自信満々に語る莉葉さん。模試はE判定が続いていたといいますが「模試は模試でしかないし」と割り切っていたといいます。

そんな莉葉さんの自信の源となっていたのが、西垣先生と一緒に立てた受験戦略です。坪田塾では「基礎→応用→練習校の過去問→本命校の過去問」というステップで学習を進めていきますが、莉葉さんに関しては本番ギリギリまで応用に時間を割き、そのうえで本命校である関西大学の過去問に取り組む戦略を取ったのです。

英語+国語+数学の3教科での受験を考えていた莉葉さん。英語と国語は安定していたため、数学の底上げが一番の課題。そこで西垣先生は、より難易度の高いテキストを進める判断をします。

「数学のテキスト『白チャートIIB』が終了したタイミングで一気に過去問に進み、無理やりパワーアップを図るという方法もありました。しかし彼女は堅実家タイプ。関西大学の数学試験は一つ上の『黄チャートIIB』を解くことができれば合格を狙えることから、一歩ずつ着実に学力を積み上げていく道筋のほうが莉葉さんにとっては最適な進め方だと判断したんです」

結果、関西大学の過去問に取り組み始めた頃には、既に6割〜8割を正解できるまでに成長していた莉葉さん。第一志望の人間健康学部の数学の合格ラインは6割なので、狙い通りです。確かな自信を得て、莉葉さんは受験の日を迎えました。

 

受験会場で開いた、母からの手紙

2月に迎えた一般入試本番。関西大学に的を絞った莉葉さんは、本命の人間健康学部を含む文系6学部を受験しました。

受験初日、意気揚々と席についた莉葉さんでしたが、国語・英語と午前中の科目を終えたところで、急に不安にかられます。残る科目は苦手だった数学。重苦しい気持ちでお弁当の包みを開けたとき、お母さんからの手紙に気がつきました。

そこには「あと1教科だね。このがんばりはきっと身を結ぶよ」というメッセージが。

「手紙を読んで、もう試験会場で号泣。私のお母さん優しくて。塾への迎えを頼んでも嫌がらず、今日の塾であったことをひたすら喋る私の話を、車を運転しながらうんうんと聞いてくれるような…ほんとに素敵なお母さんなんです」

最後のメンタルの揺れを、お母さんの手紙に支えてもらった莉葉さん。合格通知が届いたのは、自宅での入浴時。お風呂の扉を勢いよく開けたお母さんに、本命の人間健康学部合格を知らされ、湯船の中で嬉し涙をこぼしたそうです。

この喜びはLINEや電話ではなく直接伝えたいと、莉葉さんが坪田塾に足を運んだのは合格から週末を挟んでの週明けのことでした。連絡が来ないことにヤキモキしていた西垣先生ですが、ハイタッチで喜びをわかちあいました。

 

西垣先生は、近所のお兄ちゃんみたいな存在

受験を振り返って、坪田塾のどこがよかったかと聞くと「親身に話を聞いて、支えてくれること」と答えてくれた莉葉さん。「普通、勉強以外のお喋りって塾ではできないじゃないですか。でも坪田塾は、部活ロスや恋愛に悩んだ時はもちろん、それ以外でも私のおしゃべりを親身に聞いて、アドバイスをしてくれたんです」

受け身の授業ではなく、講師とのコミュニケーションの中で、学んだことをどんどんアウトプットしていくのが坪田塾の指導の特徴。指導時の講師とのコミュニケーションの中で、勉強のことだけでなくプライベートの悩みにも向き合えたことで、彼女の課題だったメンタルの強さを育んだのかもしれません。

「西垣先生は私にとって、近所のお兄ちゃんみたいな存在でした。何でも相談できるし、先生が言うことなら素直に聞ける。大好きではあっても、それがお母さんからだったら、絶対耳を貸さなかったと思うんですよね」

大学生となり、念願だった体操部で活躍中の莉葉さん。現在は秋に行われる明治大学との交流戦に向けて、学部の勉強と練習の両立の日々です。

「坪田塾は、解いて終わり聞いて終わりではなくて、先生が質問してくるんです。ちゃんと理解していないと答えられないから、一生懸命考えて、一生懸命答えていたらいつの間にか問題が解けるようになっていて。坪田塾に通ったことで、勉強って楽しいんだなあって思えました。受験勉強は大変だったけど、ここに通っている時間が私の癒しでした。ありがとうって、感謝しています」

 

講師コメント

西垣純也 茨木校校長

学習指導のサポートはもちろんですが、メンタルのサポートこそ坪田塾の仕事だと考えています。莉葉さんは良くも悪くもメンタルの振れ幅が大きく、最後までハラハラした生徒さんでしたが、堅実家タイプという特性を意識しながら、一歩ずつ受験への道を固めていけたと感じています。

数学が苦手で、途中、日本史に科目変更したいという話が本人から出たこともありました。ですが、莉葉さんの特性には日本史より数学のほうが合っていて、指導次第で十分に伸びることを確信していました。実際、受験直前には、公式の証明など丸暗記しなくても応用が効くところまで学習を進めることができました。諦めず努力を続け、結果を出した莉葉さんのことを、心から誇らしく思います。