『アスリート思考の高卒生が、“仲間”と戦略的に闘い、金沢大学医学部に合格した話。』

竹原優斗さん(仮名)

金沢大学 医学部

秋山直輝校長

坪田塾 柏校 校長

竹原優斗さんは、坪田塾柏校に通い、金沢大学の医学部に合格した卒塾生です。

クラブユースに所属してサッカーに打ち込む中学時代を過ごすも、けがを理由にサッカーの道を断念。

「専門的な先生がいればもう少しサッカーを続けられたかもしれない。自分が幅広い治療ができる医者になって、こういう想いをする人を減らせたら」

と考え、医学部を志しました。

読書が好きで、小学生の頃から愛読してきた元サッカー日本代表・長谷部誠選手の『心を整える。』を筆頭に、経営者の著書などを読んで一流の人の考え方を吸収してきたと言います。

「彼は本当にアスリートで。私たちは竹原君のトレーナーという位置づけで、竹原君が全力で勉強してもらうための環境づくりに取り組みました」

そう話すのは、坪田塾柏校の秋山校長。高卒生の竹原くんと1年間、医学部合格までの日々を共に過ごしてきました。竹原君と秋山校長、2人の話を通して、坪田塾でどのような1年間過ごし、第一志望校への合格をつかみ取ったのか、合格までの日々を振り返ります。

 

安心して学べる環境を選ぶためにした質問とは

入塾のきっかけは、秋山先生に言われた言葉でした。

「まだ入塾するとも言っていないのに、30分くらい話をしまして(笑)。その時に、『現役の時からしっかり勉強してきたようだし、学習習慣も身についているみたいだから、このまましっかり継続できたらどこの塾に行っても来年は間違いなく受かるよ。じゃあ、何を基準に塾選びをするべきだと思う? 一番大事なのは、安心して勉強し続けられる環境だよね』と言われて、確かにそうだと思ったんです。」

国立大学医学部を目指し、高校時代の3年間も勉強に励んでいたという竹原君。現役時は合格点に届かなかったものの、高い目標ということもあり、「もう一年かかるだろう」という覚悟を最初から持っていました。

とは言え、現役時代とは違い、友達と毎日顔を合わせることもなくなります。受験までの期間を、自分1人で過ごしていくのには不安がある。メンタルの支えとなり、モチベーションを保ちながら勉強し続けられる環境を求め、この1年は塾か予備校に通おうと考えているところでした。

「その時の会話だけでも、自分の考えを持った芯のある子なんだと伝わってきました。最初から高校時代の3年間を受験期間と位置づけていたこと、今後の1年をどう過ごすべきか考えていること。物事を俯瞰して捉えられる子だなと。そこで、より良い環境で学んでほしいと話をしました。」(秋山先生)

ちなみに、竹原君からの投げかけられた質問のひとつに「先生はこれまでに、何人の生徒を担当してきましたか」というものがありました。講師としては、少しドキッとさせられます。

「『1,000人の指導経験があって、直感的に大丈夫と感じられる指導者なら、選んで間違いはない』と、ある人に言われたことを思い出したんです。秋山先生は1,000人以上の受験生に関わった経験があって、他に東大卒の理系の先生もいると聞いて、国立大学の理系で闘ってきた人から直接教えてもらえるのはいいな、と思いました。また、話していて『この人は見捨てないだろうな』と直感的に感じられたんです。その時の会話が入塾の決め手になりました」と、質問の意図を説明してくれました。

塾選びの条件は、合格実績、著名な講師の存在、塾の規模……などなど、人によって異なりますが、「先生の指導経験」が竹原君にとっての判断基準のひとつだったのです。坪田塾では、受験までメインとなって伴走するのは正社員プロ講師。教科ごとの講師がチームになって指導にあたり、受験生一人ひとりに寄り添います。多種多様なバックグラウンドをもつ講師陣が自身の受験経験を踏まえて指導できるという強みが竹原君の希望とマッチし、入塾の決め手となったのです。

 

戦略に基づいた学習を、120%の力で継続できた理由

十分に説明を受け、希望するサポートが受けられそうだと納得して入塾した竹原君は、すぐに坪田塾の学習スタイルに慣れて、戦略的に勉強を進めていきました。

「医学部受験で配点の大きい、数学と英語に優先的に取り組むことを、先生と相談して決めました。大学によっては、英数の2教科だけで受かられる所もあったので、戦略的にも英数は早めに仕上げておきたいなと。英語は比較的基礎が身についていたので、最初の目標は、数Ⅲまでを短期間で一通り終えることでした」

数学で使用したのは定番の『チャート式シリーズ』。分厚いテキストですが、「数学IA」「数学ⅡB」「数学Ⅲ」の合計3冊を、竹原君はわずか3か月で解ききりました。

「チャート式の問題は過去問中心なので難易度が高いのですが、その分、しっかり理解できれば偏差値60を上回ることが期待できます。ただ、そのボリュームゆえに、1冊目だけで2か月かかってもおかしくないし、「数学Ⅲ」を終えずに受験本番を迎えてしまう医学部受験生もいたりします。ですが、竹原君は基礎ができあがっていたこと、完璧主義者タイプで目標を着実に達成していける性格であることを踏まえて、彼ならこの短期間でも十分に終えられるだろうと計画を立てました。」(秋山先生)

「完璧主義者タイプ」というのは、坪田塾で実施している「性格診断テスト」で、9つに分類される人間の性格タイプのうちの1つ。「妥協せず最後までがんばる」「自分の理想を追い求める」といった性格で、目標に着実に近づいているという手応えがやる気に直結し、時に厳しめに接したとしても、逆境を乗り越えるために一層努力できるといった特徴があります。逆に、「何とかなるさ!」というような曖昧で楽観的な声掛けをされると、具体的に何をすれば良いかわからず、不安になってしまうという一面も持ち合わせています。坪田塾では、生徒一人ひとりの性格タイプに合わせた声掛けを行い、モチベーション高く毎日の学習に取り組んでいけるようサポートしています。

「さすがに後半のほうは解けなくて辛い瞬間もありました。それでも進められたのは、先生の声掛けが大きかったです。先生たちは僕の負けず嫌いな性格を理解していて、『医学部受験なら、これくらいやってくれなきゃ困るよ』『あれ、これは解けないとねぇ』って、いい具合に煽ってくるんです。そう言われてしまうと『じゃあやってやるか!』と(笑)。どこまで言って大丈夫そうか、ギリギリのラインを見極めるのは、秋山先生が1番上手かったです」

竹原君はこのように、当時の秋山先生とのやりとりを振り返ってくれました。

英語・数学が形になってきたタイミングで、他の教科を追加。竹原くんは高いパフォーマンスを維持しながら夏、そして秋へ。入塾時からハイペースで走り出していましたが、「あれは7割くらいの力だった」と振り返ります。先生たちに力を引き出されつつ、ギアをさらに上げて120%の力で受験勉強を進めていきました。

 

「初めから、メンタルサポートは任せようと決めていました」

客観性があり、気持ちが安定しているように見える竹原君も、1・2か月に一回ほどのペースで気持ちが落ち込むことがあったと言います。

「そういう時、自分から相談してくれるのが竹原君のよいところでした。サッカーでレベルの高い場所で闘ってきた経験もあるから、自分が今どういう状態で、どんな時にサポートが必要かを把握できていました。まさに、一流のアスリートのようです。ベストなプレイをするために講師にどう関わってほしいかも分かっていて、良い意味で“使って”くれていましたね。」

と、秋山先生。まるでスポーツ選手と、それを支えるチームスタッフのような関係性が、さまざまなエピソードから感じられます。

「受験までに気持ちが落ち込むこともあるだろうし、そんな時は先生に頼ろうと最初から決めていました。実際に気持ちが沈んで相談した時には、『週末はサッカー観て気分転換しておいで』などと言ってくれて、大きく落ち込むことなく、気持ちを切り替えることができました。ずっと先生に提出していた生活ノートや、学び終えた参考書や使い切ったノートの束を見ることも励みになりました。振り返って『これだけはやったんだ』と思える材料になりました。」(竹原君)

 

そして受験シーズンへ。過去の伏線を回収して志望大学を決定。

季節は進み、いよいよ2度目の受験シーズンへ。戦略にもとづいた学習で順調に実力を伸ばしてきた竹原君は、2次試験の面接対策まで、しっかりと準備を整えました。話す内容はもちろんのこと、面接官を前にした時の振る舞い方まで考えたといいます。

「面接練習の際、面接官の顔の位置にカメラを置いて、僕が話す様子を先生が録画してくれたんです。自分で見直してみて、より伝わるようにするにはどんな話し方をすればいいか、考えたりしました。」

と、竹原君。何でもないことのように言いますが、自分が話す様子を直視するのはなかなか勇気のいること。避けてしまう人も多いのではないでしょうか。

「気持ちが強くて客観視のできる竹原君なら、録画から自分で改善点を見つけるだろうと思って撮影しておいたんです」

と返す秋山先生。さすが、竹原君のことはお見通しです。

一貫して国立大学医学部を志してきた竹原君が、具体的に志望校を決めたのは、共通テストを終えてからでした。

「共通テストは前年より点数を取ることができました。二次試験のアドバンテージになるほどではなかったものの、どこを受けても足切りにひっかかることはない点数で、ほっとしました。」

二次試験の受験科目や、点数配分などから候補の大学を絞っている中、「ある朝散歩している最中にふと、『やっぱり自分は金沢大学だろうな』と思ったんです」と言います。

実は金沢大学は、竹原君が医師を志した中学生の頃、最初に惹かれた大学だったそう。「金沢大学には、医師の他にもいろいろな医療人材がいるんです。幅広い知識をもって専門的に診ることのできる医師になりたいと思ったので、総合的に学べる金沢大学はいいなぁと。行ったことはなかったけれど、金沢という土地にも惹かれるものがありました」

中学生の時点でなりたい職業を決めて、さらにどの大学で何が学べるかまで調べている生徒は、そう多くありません。竹原君が早い段階で大学の特徴まで調べていた理由を尋ねると

「そのきっかけは『ビリギャル』の映画だったんです」

という答えが返ってきました。

竹原君が『ビリギャル』を観たのは小学5年生の頃。「大学はキラキラした場所」と作中で繰り返されていて、好きなことを学べる場所に自分も行きたいと、大学を意識するきっかけになったといいます。

坪田塾のことも映画で知り、塾探しをしているタイミングで柏に新校舎ができたことにも縁を感じたそう。「小学5年生で蒔かれた種が、芽生えて、収穫された気がしました。」(竹原君)

二次試験前日は、校舎にスーツケースをひいて立ち寄り、先生たちに挨拶をして金沢へ向かいました。ホテルに着いてからも集中して勉強ができて、「明日ここが試験に出ればいいなぁ」などと思いながら、できることを、できるだけして休みました。

そして迎えた試験当日。この日のために勉強し続けてきて、ようやく迎える本番。十分に準備を整えてきた竹原君は、落ち着いて試験を受けることができました。

一番緊張したのは2日目の面接でしたが、緊張しつつも無事に終え、結果金沢大学医学部の合格を勝ち取ることができました。

 

「坪田塾は、面白い仲間に出会えた場所でした」

受験を終えて約半年。現在は大学で授業を受けながら、医療現場に身を置いて実態を学べるサークルにも参加。実際に患者さんの問診をして先生に指示を仰ぐなど、医師になるべく勉強する日々を送っています。忙しい日々ですが、坪田塾オンライン校で講師のアルバイトも始めました。

「坪田塾では、たくさんの面白い先生たちに出会えました。いろいろもらったものが多いので、自分が返せるものは覚えているうちに返したい気持ちで講師になりました。どんな子でも理想があって、受かりたい気持ちは同じなんだということを、教える側になって実感しています。助けてもらった一人として、助ける手段を持っている者として、そこに関わっていきたいと思っています。」

受け取ったものを返さなければ、という想いがある竹原君は、自身の今後についても「返していきたい」と話します。

「地元は柏から電車で1時間半ほどかかる場所です。良かったことばかりではないけど、ここで育って良かったと思うことはやっぱりあって、その分は地域に返さないといけないと思っています。過疎の課題がある地域ですが、自分がそこで専門性をもって闘える人間になることが、今一番の目標です」

塾であれ地元であれ、受け取った以上のものを与えてくれるだろうと自然と感じさせるのは、きっと、にじみ出る竹原君の人柄からくるものなのでしょう。

坪田塾と先生たちを使いこなし、見事合格を果たした竹原君に「坪田塾に合うと思う生徒」について尋ねてみると、次のように話を結んでくれました。

「人を信用できる人が使うと、より活きる塾かなと思います。ここは任せよう!と決めた部分に、ちゃんと応えてくれる先生たちがここにはいます。僕にとっては先生というよりも、一緒に受験に向かう仲間でした。」

 

講師コメント

秋山直輝 柏校校長

生徒の成功に向けた私たちの役割は、最高の学習環境を提供し、効果的なトレーニング内容を組み立てること。入塾時から示された竹原君の高いポテンシャルをいかに引き出していくか、とにかく考えるのが楽しい1年間でした。

竹原君は高いレベルを講師に求める生徒でしたが、それだけの努力を彼自身がしていました。その要求に応えるために講師陣も努力し、強くなるために一緒に高め合う“仲間”という言葉がぴったりな関係性でした。

竹原君は人の良い点を見抜き、それを最大限活用し、自分の闘う環境を整える能力を持っています。まさに医師に必要な資質であり、その能力が備わっている生徒さんでした。

今回は講師の1人として私が登場しましたが、もちろん柏校の他の講師陣もハードワークしてくれました。

そして、竹原君のご家族のサポートもありました。この場を借りて御礼申し上げます。

改めて、合格おめでとうございます!