小野田紗羅さん
立教大学 法学部
早川航平先生
坪田塾 都立大学駅前校
高橋さおり校長(取材当時)
坪田塾 都立大学駅前校
「坪田塾に入る前は、本当に学年ビリの成績でした」という小野田紗羅さんは、高校2年生の夏休みから坪田塾で学び始めて、立教大学への合格を現役で勝ち取りました。
学校の授業は睡眠時間。
入塾までは勉強時間ゼロ。
テスト前ですら勉強するのは、ちょっとだけ得意だった日本史のみ。
何か目標を持つこともなく友達と遊んでばかりの毎日……。
激しめの反抗期だった中学生以降、「進級はしてね」とは言われるものの、家族から勉強しなさいと言われることはなくなったと言います。
学年ビリから立教大学に現役合格した金髪の女の子。
なんだかビリギャルの主人公・さやかさんを彷彿とさせる紗羅さんですが、入塾以降どのように学び、現役合格を果たしたのか。紗羅さんが通った都立大学駅前校で、担当講師だった早川航平先生、主に現代文を一緒に学んできた高橋さおり校長とともに、紗羅さんの合格までの日々を振り返ります。
「駅で広告を見て、ここにしようかなって決めました。」
「そろそろ勉強しないとまずいかなぁと思って。それで塾に通おうかなと考えていた時にちょうど、遊びに行った駅に坪田塾の広告が貼ってあったんです。それで、あ、ここにしようって」
高校2年生の7月、たまたま見かけた坪田塾の広告をきっかけに、勢いで入塾を決めたという紗羅さん。実は坪田塾に入る前にも、別の塾に在籍はしていたものの肝心の勉強には身が入らず。進級するために必要な数学を、最低限勉強するだけだったそうです。
「ちゃんと勉強したこともなかったし、勉強したら成績が伸びる!っていう経験をしたこともありませんでした。勉強ができないっていうのを自覚していたから、集団塾ではなくて個別塾で、自分のレベルに合わせて勉強できるところがいいなと思いました」
そもそも、勉強時間はほぼゼロで、友達と遊ぶのがとにかく楽しい!という毎日を過ごしてきた紗羅さんが、勉強しようと思った理由は何だったのか。きっかけは、坪田塾の広告を見かける2週間前にさかのぼります。
「TikTokを見ていたら、めっちゃイケメンの動画が流れてきたんです。その人が立教の大学生で『嘘やん!』って。お姉ちゃんが立教大学に通っていたんですけど、私、ほかにどんな大学があるかもほとんど知らなかったんです。ほぼ唯一知っているお姉ちゃんと同じ大学に、こんなイケメンがいるんだって知って、私も立教大学に行こうって決めたんです」
「入塾の面談を担当したのですが、どこかで聞いたことのある話だなぁと(笑)。ここまでビリギャルのさやかさんみたい!と思った生徒は、初めてでした」と振り返るのは、高橋校長。
そう、『ビリギャル』の主人公・さやかさんは、「嵐の櫻井翔さんがいるから」という理由で志望校を慶応義塾大学に決めます。ご存知の方は、もれなく映画のあのシーンを思い出したことでしょう。後からきちんと学校のことを調べて、異国情緒のある綺麗なキャンパスで大学生活を送りたい!という面からも惹かれたそうですが、なんとも女子高生らしい理由で志望校を決めていたのでした。
坪田塾では、入塾時に「性格診断テスト」を実施していますが、紗羅さんが当てはまっていたのは、「楽天家」タイプ。“わくわく”を原動力に、好奇心旺盛に色んなことにチャレンジしていけるという特徴があります。塾や志望校を軽やかに決めたというエピソードからも、紗羅さんが生粋の「楽天家」であったことがうかがえます。
「目指せビリギャル」で、ロケットスタートした坪田塾生活
こうして始まった、紗羅さんの坪田塾での受験勉強。
まったく勉強してこなかった入塾前までとは一転、坪田塾で学ぶことになったと同時に、猛スピードで学び始めます。志望は立教大学の文系学科。入塾時に行う学力診断テストの結果を元に、まずは中学校英語の基礎固めから始めていくことに決め、週3回、1日4時間、坪田塾で学ぶ生活がスタートしました。
「映画で見た『ビリギャル』のさやかさんは1か月で中学3年間分の英語の復習を終わらせていたので、私もそれを目標にしようと思いました」
坪田塾では、「反転学習」という学習スタイルを採用しています。家でテキストを予習して知識をインプットし、塾では予習してきた範囲の問題が出題される「チェックテスト」を受けて、身につけてきた知識をアウトプットする学び方です。
数えてみると、中学3年間分のチェックテストは全57回ありました。そこで紗羅さんは、1カ月で全クリアするために、何日にどこまでやるかを最初に全部決め、その計画どおりに進めることを決意しました。
「とにかくものすごいペースでした。入塾して間もない生徒さんだと、4時間塾にいてチェックテストを5枚も合格できたらすごいという感覚ですが、紗羅さんは1日に10枚クリアしていく日もありました。テスト範囲の勉強は家でしっかり終えてきていて、塾での4時間はもっぱらテストを受けているか、私との対話で学習理解度を確かめているかのどちらか。ここまで4時間を有意義に使える生徒さんは珍しいし、私にとっては紗羅さんが最初の担当生徒だったこともあって、今でも強烈に覚えています」
と、早川先生。紗羅さんの楽天家気質を生かし、決してブレーキをかけずにどんどん前に進めていくことを意識して、指導に当たりました。
目標を達成するために計画を立てることも、計画に沿って取り組む経験も、それまではなかったという紗羅さんですが、「塾の勉強スタイルや先生とのやり取りはどうだった?」と尋ねると、こんなことを答えてくれました。
「勉強めっちゃ楽しかったです。ちゃんと勉強したのはこのときが初めて。こんな難しいことを中学生でやっていたんだと驚いたけど、新しいことを知るのはけっこう好きみたいで。英語で新しいことをどんどん覚えていくのは、めっちゃ楽しかったです。夏休み中は、自分でやると決めた計画を終わらせていくことに、とにかく集中していました」
塾のない日と、塾がある日の午前中に家で知識をインプットし、塾では学びのアウトプットをひたすら続け、目標通り1か月で中学3年間の英語の復習を終えたのでした。
これ以上できないほどに勉強に集中し、打ち込む日々。周囲も自然と応援モードに
入塾以来、コツコツと勉強を継続していった紗羅さん。仲のよい友達が遊びに行っている様子を見ていても、当時は遊びたいという気持ちが起きなかったと言います。
「高校3年生に進級する前にSNSのアプリを全部消したんです。勉強し始めるきっかけになったTikTokerのイケメンも、スマホに保存してある分をときどき見るだけ。大学が公開しているキャンパス内の動画とかを見て、モチベーションをあげていました」
以前は睡眠時間だった学校の授業は、受験勉強のための自習時間に。授業担当の先生たちも、英単語や日本史の暗記など授業以外のことを勉強していると知りながら、紗羅さんが熱心に学んでいる様子を応援し、黙認してくれていたようでした。
「学校の日は、授業中は全部自習。終わったらすぐ塾に行って、テストを受けて、先生とやりとりしながらどんどん覚える。22時頃まで勉強して、家に帰ったらごはんを食べて眠るだけ。毎日それの繰り返し。遊びより、とにかく勉強、成績、受験に気持ちが向いていました」
この日持参してくれた教科書や参考書は、どのページを開いても丁寧な書き込みでいっぱい。これを見れば、紗羅さんがどれだけ真剣に勉強に向き合い、時間を注いできたのかが一目瞭然です。
「どの生徒もそうですが、これだけ勉強している紗羅ちゃんには絶対合格してほしくて、応援の気持ちも自然と強くなりました」
と、先生たち。ひたむきに勉強し続ける様子に心を動かされ、できる限りのことをしてあげたいとさまざまな面でサポートしながら伴走を続けました。
高橋校長は、現代文の過去問を一緒に読み解くことが多かったと振り返ります。
「紗羅さんは、点数を上げるための方法を考え尽くして、自分の考えを明確にした状態で塾に来ていました。本番で確実に正解の選択肢を選ぶためにはどうすればいいのか、そういう視点で過去問に向き合っていましたね。『その理由じゃ、本番でどっちを選んでいいのかわからない!』と。かなり白熱した討論で、紗羅さんが納得いくまで一緒に考えていました(笑)」
どれだけ強い気持ちで励んでいても、不意に不安に襲われることも
脇目をふらずに勉強に励んできた紗羅さんも、受験までには何度か強い不安に襲われた時期がありました。特に、高校3年生の秋。
とある日。本当に何をしていても集中できない、手につかなくなってしまう日がありました。その日も朝は決まった時間に起きて、家で勉強していたといいますが、何をしてもしんどくて、塾にも行けそうにない。先生にはLINEで「今日は塾休みます」とだけ連絡しました。塾を休んだのも、受験のことで家族の前で泣いたのも、この日が初めてでした。
「どれだけ勉強しても全然点数が取れなくて。それまではずっと自分で決めたペースで勉強していたけれど、何だか、一気に不安になって。無理だなって思っちゃったんです」
このように感情が不安定だった時期のことを、早川先生は次のように振り返ります。
「紗羅さんの不安は、これだけ頑張っているのにダメだったらどうしよう、という気持ちから来ていると見ていました。そんな紗羅さんとどのように関わるとサポートできるか。高橋校長ともよく相談していましたが、本人の努力をより具体的に、『こういう部分をこうやって頑張っていることがすごい』と、一つひとつ言葉にして伝え続けることを心がけていました。
また、『ここで頑張らなかったら…』というマイナスな未来の話ではなく、『ここで頑張ったらもっとよくなるよ!』というプラスな未来の話をするようにしていました。楽天家タイプの生徒さんはやはり、わくわくする未来を想像してそれをエネルギーに変えるので、この時期もそのような声掛けを意識していました」
「そういえばそうだったかも!」
と、紗羅さん。自分はほめられて伸びるタイプだという彼女にとって、そんな早川先生の関わりが力になっていたようです。
結局その日はひとしきり泣いた後、「こんな暇あったら勉強しないと」と思い直し、一日で復活したそうです。
他には、時には食事や睡眠がおろそかになってしまうことも。
「そういえば、『どれだけ勉強しても時間が足りなくて、夢でも日本史を勉強したい』と紗羅さんが言っていたことを思い出しました。今日は何時間寝れた?ごはんは食べた?といった質問があいさつ代わりになっていた時期もありました」(早川先生)
受験直前まで悩んだ現代文。紗羅さんから先生に“宿題”を出したことも
そんな中で迎えた受験期。過去問は、同じ年度・大学・学部の問題をそれぞれ4回以上、繰り返し解く徹底ぶり。自作の記録シートを使って分析し、確実に合格するための準備を整えていきました。
入試直前まで苦戦したのは現代文でした。
「他の大学の過去問は、解き進むほどに分かるようになっている手応えがありました。でも立教大学だけはずっと自信が持てなくて。最低点数は公開されていないけれど、確実に8割は必要だろうと勉強を進めてきたんです。それでもずっと、8割を超えることができなかった。思いつく限りの勉強をしているのに、それでも8割取れないなんて、もう無理かもしれないと思っていました」
何を、どれだけすればいいという正解のない受験勉強において、できることは全てやってきたと思えるほどの勉強をしてきた紗羅さん。彼女が考えた最終手段は、まさかの“先生たちに過去問を解いてもらうこと”でした。
「私はテキストで学んできた自分なりの解き方があって、選択肢も根拠をもって選べるように高橋先生とあれだけディスカッションしています。できることは全部やりました。でもどうやっても8割以上得点できない。だからもう、先生たちが過去問を解いてきてください。そして、どういう根拠で解いているのかを教えてください」
当時の紗羅さんから都立大学駅前校の先生たちに“宿題”が出されたのです。
生徒さんから課題を出されたのは初めての経験。その提案には驚いたけれど、校舎の先生たちは嬉しく思ったと言います。紗羅さんがどれだけ熱心に勉強をしてきたか、みんな分かっていたので、先生たちは快く引き受けて過去問を解き、その選択肢を選んだ思考の過程を紗羅さんに解説しました。
「選択肢問題で自分がどのように考えて正解の選択肢を選んだのか、順を追って話していくと、『あ、そうなんだ!』とすごく納得してくれた場面がありました。立教大学の現代文は、“完全に正解”“完全に不正解”と言い切れない微妙なものが並んでいてかなり難しいのですが、明確に根拠を言葉にしながら答えを選べているので、絶対にいけると思っていました」
と、にこやかに振り返る早川先生。
「先生たちの解き方・考え方が本当に分かりやすくて、天才だと思いました! 選択肢を残り2つに絞ってからの選び方は、その時教えてもらった方法を本番でも使いました」(紗羅さん)
涙の試験前日。開き直った試験当日
「前日は塾にいたんですけど、泣いていました。どれだけ勉強しても不安で全然入ってこなくて」
早川先生と話している最中、強い不安感から泣き始めてしまった紗羅さん。本命の入試前に、共通テストや他の私立大学の受験は経験していました。「まだ立教じゃないから」というのが、当時心を落ち着かせるための先生との合言葉になっていましたが、入塾以来ずっと目指してきた立教大学となると緊張感は一気に高まります。ちなみに、受験直前まで模試判定はEのまま。現代文も、結局8割以上の点数を取ることはできないままでした。
「講師としては、隠さずに弱さを見せてくれて逆に安心しました。真摯に向き合ってきて迎える本番ですから、不安に感じるのは当然です。不安を出し切ってしまえば、本番は頑張れるタイプだと知っていたので、とにかくその日は紗羅さんの話を聞いて、心の中にある不安をすべて吐き出してもらい、信じて送り出しました」(早川先生)
先生の思った通り、前日の強い不安から当日は一転。これだけ頑張ってきたのだから後悔はないと、入試本番1分前まで有効に使って勉強し、本番の試験には集中して臨めたとのこと。
「受かったかどうかは分らなかったけれど、少なくとも今までのベストを出せたっていう自信はありました」
合格発表当日は、自身の受験のとき以上にそわそわして過ごしたという早川先生。発表の時間が過ぎても、紗羅さんからの連絡はありません……
結局その日は、発表の時間をだいぶ過ぎてからLINEで「明日〇時に校舎に行きます」という連絡があっただけだったと言います。
翌日、緊張しながら待っていると、教室に来た紗羅さんの口から直接合格の報告が。
「いやぁ、合格と聞いて嬉しくて、私が泣いちゃいました。あんなに嬉しかったことはないっていうくらいに嬉しかったです」(早川先生)
点数開示を確認したところ、現代文は80点。さらに古典は100点!直前まで悩みに悩んだ国語は、過去問をどれだけ解いても取れなかった9割を得点する素晴らしい結果で受験を終えたのでした。
現在紗羅さんは、大学で法律を学びつつ、坪田塾で後輩受験生の指導も担当しています。
「法律は元々興味があったので、しっかり学びたいと思っています。受験中は英語や日本史を勉強している夢をよく見たけれど、今はそれが法律の勉強になりました(笑)。会社の経営とかにも興味があって、将来は法律のことを生かしながら、誰かのためになることをしたいなと思っています」(紗羅さん)
インタビューの最後に、念願の立教大学生になった紗羅さんに、坪田塾で過ごした日々への感想を尋ねました。
「坪田塾に通ったことは、めちゃめちゃいい経験でした。あんなに頑張ることができたから、これから先何かにチャレンジするときには、きっと受験のことを思い出すだろうなと思います。
塾では、先生が私の性格に合わせた関わりをしてくれたのが良かったです。褒められて伸びるタイプの私を、入塾したばかりの、誰でもできるレベルの勉強をしている頃からずっと、『すごいね』『すごいね』って褒め続けてくれました。
成績のことだけを褒められていたら「いやでも伸びていないし……」って感じたと思うけれど、つらかった時期も『何をどう頑張っていてえらいね』って具体的に褒めてくれたのが、すごく嬉しかったです」
「これから受験をする皆さんには、『受験当日に後悔する日を絶対に作らない』ということをお伝えしたいです。結果が出てから『あの日1日ディズニーに行って遊んじゃったから……』って後悔するようなことだけはしたくなかった。やれるだけのことをした!って自信をもって受験当日を迎えられたのは、後悔しそうなことはせずに、ずっと勉強していたからだと思います」
ストイックに受験勉強に取り組み、学年ビリから志望校合格を見事勝ち取った紗羅さんらしいメッセージを笑顔で送ってくれました。
講師コメント
早川航平 都立大学駅前校講師
紗羅さんの担当講師になれて本当に幸せでした。都立大学駅前校に赴任して初めて担当した生徒さんの合格までを見届けられましたし、今はアルバイトさんとして一緒に生徒を支える側になっているのを見ると、一言ではとても表せない思いです。紗羅さんから教えてもらうことも多くありましたし、今も楽しそうに大学生活を送っている姿を見られているのを嬉しく思っています。
高橋さおり 都立大学駅前校校長(取材当時)
紗羅さんを見ていると、これだけ頑張っているんだから、こちらもその分頑張りたいし、支えたいなという気持ちが自然に湧いてきました。テストを返しながらどれだけ理解できているかを確認するディスカッションの時間は、私も勉強になることが多くありました。初めて出会ったときからまさにビリギャルのような子でしたが、受験に向けて成長していく姿に何度も胸を打たれました。合格おめでとう。1年7か月、紗羅さんに伴走できて良かったです。