【小論文の書き方完全版】作文との違いは?基本ルールと構成をマスターしよう(2024年最新)

多くの中学生・高校生が小論文に苦手意識を持っています。学校の授業ではほとんど扱われず、受験に必要だと知って初めて「小論文とは何か」を知る学生も少なくありません。
しかし、小論文には書き方の基本や沿うべき構成があります。ルールや書くコツを理解し、例文を参考にしながら繰り返し書いて訓練することで、誰でも質の高い小論文を書けるようになります。小論文の専門塾に通えば比較的短期間で書き方をマスターできますが、独学であっても志望校合格レベルの力を身に付けることは十分可能です。

本記事では、小論文の書き方について、作文との違いや基本構成、書き方のコツや書く際に気を付けるべきポイント、出題形式について、わかりやすく解説します。

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目次(クリックで開閉)

・小論文とは
 ┗小論文と作文の違い
・小論文の基本構成「序論→本論→結論」
 ┗序論(主張)
 ┗本論(根拠・具体例)
 ┗結論
・もう迷わない!小論文の書き方
 ┗出題の趣旨を理解する
 ┗自分の主張したい意見を決める
 ┗序論・本論・結論の構成を作成する
 ┗メモを使って論点や意見の整理をする
・小論文の書き方で気を付けるべきポイント
 ┗文字数の不足や大幅なオーバーに注意
 ┗論点がズレないように
 ┗倒置法や比喩などの文学的表現は使わない
 ┗事実と推測が区別されていない
 ┗原稿用紙の使い方のルールを守る
 ┗小論文として適切な日本語を使う
・大学入試における小論文の出題傾向
 ┗課題文読解型
 ┗テーマ型
 ┗図表分析型
 ┗英語問題型

 

小論文とは

小論文とは、特定のテーマについて自分の意見や主張を論理的に述べる短めの論文のことを指します。大学入試や資格試験、就職試験などで出題されることが多く、書き手の思考力や問題解決能力、基本ルールに沿った小論文の書き方の流れや、論理的かつ客観的に物事を順序だてて説明する力などが評価されます。

 

小論文と作文の違い

小論文と作文では、求められる内容が異なります。
作文は主に自分の体験や感想を書く文章で、豊かな表現力や想像力が求められますが、構成などの細かいルールはありません。
一方、小論文は、根拠や理由を示しながら自分の意見や主張を述べることが求められます。制限時間内に制限文字数で簡潔に論じる必要があり、読み手を納得させる説得力が重要であるとともに、文章の構成や書き方のルールが細かく決まっています。
また、小論文では「だ・である」調で書く必要があります。丁寧で柔らかい語尾の「です・ます」調に比べ、「だ・である」調は読み手に硬い印象を与えますが、論理的で説得力のある文章に仕上がります。

【温暖化についての作文の例】
地球温暖化は私たちの未来に大きな影響を与える問題です。異常気象や海面上昇の話を聞くと不安になります。しかし、私たちができる節電やリサイクルなどの小さな行動により、少しでも助けになれることを知り、これから実践していきたいと思います。

【温暖化についての小論文の例】
地球温暖化は、気候変動の原因として深刻な問題であり、異常気象や海面上昇、農作物の不作など、多方面に影響を及ぼしている。この問題を解決するためには、温室効果ガスの排出削減が不可欠であり、再生可能エネルギーの導入やエネルギー効率の向上が求められる。また、各国の協力と市民の環境意識の向上が必要であり、持続可能な社会の実現が急務である。

 

小論文の基本構成「序論→本論→結論」

小論文は作文と違い、構成を作成して執筆します。読み手が書き手の考えを理解しやすい文章にするために、序論・本論・結論に分けるのが一般的です。3部構成で順を追って論理的に展開すると、論じたい意見や主張の土台がしっかりと固まり、説得力が増します。

序論:テーマに対する自分の意見や主張を述べる
本論:自分の意見や主張を裏付ける理由や根拠を説明
結論:意見・主張を再度繰り返し強調して締めくくる

小論文の書き方のコツを詳しく見ていきましょう。

 

序論(主張)

小論文で最も重要な役割を担うのが序論です。読み手の論文に対する第一印象を決め、論文全体の方向性を示す部分になるからです。
序論では、テーマに対する自分の意見や主張を明確に述べることが大切です。書き出しから意見や主張につながるような、読み手が「この論文を読み進めたい」と感じることができる問題提起や事例を提示しましょう。
序論で言いたいことを先に伝えることで、読み手は論文に書かれている題材について最初に把握することができます。題材が何かを頭に置いて論文を読み進められるため、内容を理解しやすくなります。

序論は、全体の文章量の1割程度を目安に執筆しましょう。

 

本論(根拠・具体例)

本論では、序論で提示した自分の意見や主張を裏付けるため、根拠や具体例を挙げながら内容を掘り下げていきます。根拠や具体例には、以下のようなデータを活用しましょう。

・統計データ
・科学的な研究結果
・歴史的な事実や事例
・法律や制度
・社会現象やトレンド
・自分自身の経験

このような、意見や主張を支えるための信頼性の高いデータを用いることで、内容に説得力を持たせることができます。ただし、具体例が多すぎると、意見や主張の存在が弱く感じられてしまうことがあります。具体例の役割は意見や主張に対する補強(サポート)であると考え、書きすぎない意識を持つことが大切です。

本論は、全体の7~8割を目安に執筆しましょう。

 

結論

最後に、序論で述べた自分の意見や主張をもう一度述べ、論文を締めくくります。論文の結論や最終的な課題の答えを、強調して書きましょう。序論で述べた自分の意見や考えの、最も重要な部分をはっきりと示すことで、読み手に対して強い印象を与えることができます。
さらに、今後の課題や、提案を記載するのも効果的です。未来に向けての解決策や行動計画などを述べることで、内容に厚みが増し、より説得力のある締めくくりになります。

結論は、全体の1割程度を目安に執筆しましょう。

 

もう迷わない!小論文の書き方

小論文を書いている生徒

小論文を書く際には、効果的に自分の意見や主張を伝えるための対策方法を理解しておくことが大切です。書き方の手順を押さえて、論理的で説得力のある小論文を完成させましょう。

 

出題の趣旨を理解する

まずは、出題者の目的や意図をしっかりとくみ取るために、出題文をしっかりと読みましょう。出題者が何を求めているのか、この論文で述べるべき点を正確に把握することで、表面的ではなく、深く掘り下げた解答を導きやすくなります。
さらに、出題に際して「個人の経験を踏まえて述べよ」「賛成の意見を述べよ」「反論せよ」「具体例を挙げて説明せよ」などの条件を設けている場合もあります。出題文を隅々まで読み込んで理解することが、的確な論点で効率的に自分の意見や主張を伝えることにつながります。

例えば、「地球規模の環境問題の解決策を述べなさい」といった出題文の場合、国ごとの環境問題についてのみ述べるのでは、出題者が求めているものを提供できない論文になってしまいます。出題文に忠実に、それらの問題が地球規模でどのように影響しているのか、どのような対策が実現可能なのか、背後に潜む問題点まで考慮できれば、出題者のねらいに沿った回答になります。

 

自分の主張したい意見を決める

出題の主旨が理解できたら、それに基づいた自分の意見や主張を決めましょう。この時、意見が感想にならないよう意識することが大切です。

【温暖化に対する感想文の例】
温暖化は異常気象や生態系への悪影響を招き、日常生活にも深刻な影響を与えていると感じます。
【温暖化に対する意見の例】
温暖化対策には、再生可能エネルギーの推進と、個々の環境意識向上が不可欠だと考える。

このように、感じたことや印象について主観的に述べるのが感想で、相手の納得や賛同は必要ありません。一方、意見には事実や論理に基づいて具体的にどうすべきかの考えや提案が含まれ、客観的な視点で相手を説得し、読み手の納得を引き出す必要があります。
意見や主張を決める時は、感情や印象に流されず、事実やデータに基づいているかどうか、それに対する解決策や具体的な根拠・理由を提示できるかどうかを意識することが大切です。

 

序論・本論・結論の構成を作成する

テーマに基づく自分の意見や主張が決まったら、文章全体の設計図となる構成に内容を落とし込みましょう。
事前に構成を作成しておくことで、論文の方向性が明確になり、執筆中に迷わずに一貫性のある文章を書きやすくなります。また、構成を考えることで情報が整理され、各部分の重要なポイントを導きやすくなります。
さらに、各構成の執筆時間を見積もりやすくなり、計画的に作業を進められ、慌てることなく時間内に論文を書き終えることができるでしょう。

 

メモを使って論点や意見の整理をする

自分の主張や意見、論じたい内容については、メモ書きを活用して情報を整理しましょう。いきなり書き出してしまうと、書いている途中で内容にズレが生じてしまったり、無駄な根拠や理由を並べてしまったり、文章がうまくまとまらないことがあります。
構成ごとに重要なキーワードを細かく書き記す、具体例をいくつか挙げておく、序論・本論・結論ごとに書きたい内容を簡単に記しておくなど、思いついたことをメモに取るひと工夫で完成形をイメージしやすくなり、スムーズに執筆を進めることができます。

 

小論文の書き方で気を付けるべきポイント

小論文の書き方で気をつけるポイント

小論文を書く際は、細かいルールにまで注意を払いましょう。そうすることで、小さな減点を避けつつ、質の高い論文に仕上げることができます。
ここからは、小論文の書き方で特に注意すべきポイントを詳しくご紹介します。

 

文字数の不足や大幅なオーバーに注意

小論文では、与えられた範囲内で論理的、かつ簡潔に文章をまとめる力を評価するため、あらかじめ制限文字数が決められています。指定された文字数を大幅に下回ったり、超過したりすると減点対象となるため注意が必要です。
文字数の許容範囲は、制限の仕方によって異なります。

《例》
800文字以内で:720~800文字(指定文字数を超えない)
800文字前後で:720~880文字(指定文字数の10%以内)
700~800文字で:指定文字数の範囲内

いずれも指定文字数の前後10%程度の範囲内に収めることが求められますが、文字数の上限が明確に定められている場合は、それに近い文字数であるほうが高得点を取れる可能性が高くなります。

効果的な対策として、小論文を書き始める前に、構成ごとに割り当てる文字数をおおまかに決めておくことをおすすめします。また、書き終わった後に無駄な部分を省いたり、足りない部分を追加したりしながら、指定文字数内に収まるよう調整しましょう。
文字数を気にするあまり論点をまとめられなかった、ということがないよう時間配分も大切です。

 

論点がズレないように

小論文では、自分の意見や主張に読み手が納得できるかどうかが大変重要です。そのため序論から結論まで一貫性を保ちながら論述する必要がありますが、長い文章を書く場合、徐々に話の内容がズレていってしまうことがあるため、注意が必要です。

【論点がズレた文章の例】
環境問題の解決には再生可能エネルギーの普及が不可欠である。特に風力や太陽光発電は有望だが、電力消費を減らすためには家庭内での省エネも重要だ。例えば、スマート家電の普及が進めば、生活の利便性が向上し、省エネ効果も期待できる。しかし、家電のデザイン性や機能性も重視されるべきであり、見た目が良ければより多くの人が関心を持つだろう。

この文章では、最初は「再生可能エネルギーの普及」を論点としていますが、最終的に「家電のデザイン性や機能性」という別の話題に移ってしまっています。
このような論点のズレを防ぐには、書き始める前に論点をしっかりと確認してメモしておくとともに、構成ごと、段落ごとの話題が論点に沿っているかどうかを常に確かめながら書き進めることが大切です。

 

倒置法や比喩などの文学的表現は使わない

倒置法や比喩、体言止めなど、小説や随筆などで使用される文学的表現は、イメージ゙を通して読み手の想像力を刺激することや、感情的な余韻を与えるのに効果的な手法です。
しかし、小論文は自分の意見や主張を簡潔、かつ論理的に相手に伝えることが目的の説明文です。文学的表現を使用すると、読み手の意識が論文内容よりも表現方法に向いてしまい、書き手の主張や論点が正しく伝わらなくなってしまいます。また、答えを想像させるような曖昧な表現方法は、読み手が内容理解を妨げる可能性があるため、小論文のように簡潔な分かりやすさが求められる文章には適しません。

【倒置法】
私たちの未来を守るために今行動を起こさなければならない、環境問題に対して。
【比喩】
環境問題は、じわじわと私たちを締め付ける見えない鎖のようなものだ。
【体言止め】
迫りくる危機。環境問題が私たちの生活に及ぼす影響は計り知れない。

これらの表現は論点を曖昧にし、読み手に内容が正しく伝わらない可能性があるため、小論文では使用しないように注意しましょう。

 

事実と推測が区別されていない

小論文では、テーマに対する自分の意見や主張(推測)と、それらを裏付ける根拠や理由(事実)を明確に区別する必要があります。論文内で推測と事実の区別が不明確だと、書き手がどんな意見を持っているのか、それに対する根拠は何なのかが的確に読み手に伝わりません。
例えば、推測にも関わらず「である」と断定的に述べると、根拠のない意見を無理やり事実として押しつけているような印象を与えかねません。逆に、事実を「~かもしれない」と曖昧に表現すると、根拠の精査が不十分だと判断され、評価が下がってしまうことがあります。
推測を述べる際は「~と考える」「~と思われる」「~と予測される」、事実を述べる際は「~である」「~と分かっている」「~が示されている」といった表現を用いて、推測と事実を明確に区別することが大切です。

 

原稿用紙の使い方のルールを守る

小論文の答案は通常、原稿用紙に記入します。用紙の使い方や、段落やマスの使い方には以下のようなルールがあります。

【段落分け】
・基本的に序論・本論・結論で改行する
・文字数の多い本論では、内容が変わる箇所で改行する

適切な段落分けは、文章の読みやすさを大幅に向上させます。段落は2文以上で、150~200字程度を目安に、内容の変わり目で改行しましょう。また、改行後は必ず1マス下げて文を書き始めます。

【原稿用紙のマスを1マス使うもの】
・「ゃ」「ゅ」「ょ」などの拗音
・「っ」などの促音
・「。」「、」といった句読点
・かぎ括弧

文字数によってはこれらが原稿用紙の最も上のマスにきてしまうことがあり、その場合は、前のマスの文字と合わせて同じマスに記入しても良いとされています。また、かぎ括弧は引用の際にのみに使用できるということも覚えておきましょう。

 

小論文として適切な日本語を使う

小論文では適切な日本語を使えているかどうかも重要な評価対象です。

小論文で気を付けたい日本語表現
話し言葉(口語体)と書き言葉(文語体)あと→また・さらに
とても→非常に
なので→したがって・つまり
いろんな→様々な
ら抜き言葉・い抜き言葉来れる→来られる
決めれる→決められる
話してる→話している
食べてる→食べている
重複表現頭痛を感じる
最初の出だし
被害を被る
犯罪を犯す
擬音語や擬態語コツコツ→着実に
スラスラ→流ちょうに
ギリギリ→かろうじて
略語SNS→ソーシャルネットワーキングサービス
スマホ→スマートフォン
アプリ→アプリケーション
WHO→世界保健機関
部活→部活動
電報→電子報告書
若者言葉エモい→感動的・情緒的
ガチ→本気・真剣
バズる→注目を集める

小論文では、話し言葉(口語体)ではなく書き言葉(文語体)を使い、ら抜き言葉や、同じ言葉を重ねて使う重複表現は避けるなど、日本語の正しい文法規則に従って文章を書く必要があります。
また、オノマトペ(擬態語・擬音語)や、略語や若者言葉は使用しないのが原則です。ただし、略語については、出題文で使用されているものに限り、論文内でもそのまま使用して良いというルールがあります。

正しい日本語の使い方には細かいルールが多いため、独学で知識を身につけても、実際に書いてみると間違っていた、ということも少なくありません。小論文対策に力を入れている塾や、オンラインでの小論文添削などを活用し、自分の書いた文章を他人に見てもらうことで、自分の文章の癖に気付きやすくなります。

 

大学入試における小論文の出題傾向

大学入試、特に学校推薦型選抜や総合型選抜の試験では、小論文が課せられる場合が多くあります。大学や学部によって頻出テーマや出題される形式が異なるため、志望校の傾向に沿った小論文対策が必要です。
以下に、主な出題形式とその特徴を解説します。

 

課題文読解型

この形式では、問題文の他に課題文が与えられ、文章を要約したり、内容に関する自分の意見や主張を述べたりすることが求められます。

特徴
・比較的長文の課題文を読んで読解する力が必要
・内容を適切に理解し、それに基づいた意見や主張を客観的に論じる能力が問われる
・大学受験で最も出題頻度が高い出題形式

 

テーマ型

特定のテーマについて、自分の意見や主張を論じる形式です。多くの場合、「あなたの考えを述べなさい」といったシンプルな設問のみが与えられます。

特徴
・最も単純な出題形式
・テーマに対する意見や主張を論理的かつ明確に伝える力が求められる
・小論文のルールに沿った文章作成能力が重視される
・近年、入試での出題頻度が減少傾向にある

 

図表分析型

グラフや表などの資料が提示され、それらの情報を分析した上で意見や主張を述べることが求められます。

特徴
・理系の大学や学部でよくみられる形式
・図表を正確に読み取る力が必要
・データの解釈能力や、その背景にある理由を論理的に考察する力が問われる
・分析結果を分かりやすく読み手に伝える文章力も重要

 

英語問題型

英文の課題文を読み、日本語で解答をまとめる形式です。設問や解答は日本語で行われることが多いですが、大学によっては英語での論文執筆を課すところもあります。
基本的な英単語や文法をマスターしたうえで、小論文としての書き方も網羅していなくてはなりません。

特徴
・英語の知識や読解力と、内容を適切に理解する力が必要
・英文を日本語に要約する能力が求められる
・問いに対して適切に解答する力も重要
・英語と日本語の両方の言語能力が評価される

 

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