
大学受験では、「調査書」の提出が必ず求められます。入試方式によっては合否に影響、あるいは合格にプラスにはたらくこともあるので、記載される内容は事前に確認しておきたいところです。
本記事では、調査書の概要を具体的に記載される内容とともに、わかりやすく解説します。調査書の内容を充実させるためのポイントもお伝えしますので、合格を目指して大学受験の準備を進めている受験生は必見です。
目次(クリックで開閉)
・大学受験で必須の調査書とは
・調査書に記載されている内容
┗基本的な個人情報
┗学習の記録
┗成績状況
┗学習成績概評
┗総合的な探究の時間の活動内容と評価
┗特別活動に関する記録
┗指導上参考となる諸事項)
┗備考
┗出欠記録
・調査書は大学受験の合否に影響する?
┗総合型選抜・学校推薦型選抜の場合
┗一般選抜の場合
・2025年度の入試から調査書の内容は変わる?
・調査書の入手方法
・調査書を入手する際の注意点
┗注意点①余裕をもって申請する
┗注意点②大学ごとに1通ずつ提出する必要がある
┗注意点③開封すると無効になる
・調査書の内容を充実させるためのポイント
・【まとめ】調査書は大学受験で提出が必須の書類!日頃の努力が評価を高めるポイント
大学受験で必須の調査書とは
調査書とは、高校3年間の学習成績や部活動の実績、出欠状況などが記された書類のことです。“受験生がどのような高校生活を送ったのか”を客観的に示すもので、在籍している学校の教員が作成します。
大学受験の際には入試方式に関係なく提出が求められ、その内容が合格に有利にはたらくこともあります。
そのため、日々の学習はもちろん、学校行事や部活動などに積極的に取り組んで充実した高校生活を送ることが、調査書での評価を高めるポイントです。調査書は、学力試験だけでは測れない受験生の人物像や、大学入学後の学習意欲などを大学側が把握する上で欠かせない書類なのです。
調査書に記載されている内容
大学受験で重要な役割を果たす調査書には、以下9つの項目が記載されています。
【調査書に記載されている内容】
- ・基本的な個人情報
- ・学習の記録
- ・成績状況
- ・学習成績概評
- ・総合的な探究の時間の活動内容と評価
- ・特別活動に関する記録
- ・指導上参考となる諸事項
- ・備考
- ・出欠記録
基本的な個人情報
調査書にまず記載されているのが、以下にまとめた受験生の個人情報です。
【調査書に明記される個人情報】
- ・氏名
- ・生年月日
- ・住所
- ・在籍している高校の名前
- ・在籍している学科
- ・入学年度
- ・卒業見込み年度
これらの情報は、受験生のプロフィールを証明する上で重要な役割を果たします。
学習の記録
調査書に記載されている内容のなかでも特に重視される項目の一つが、学習の記録です。
この項目では「現代文:評定4(2単位)」のように、各教科・科目ごとの評定や修得単位数が記されます。つまり、受験生の学習に対する意欲や姿勢、そして学年ごとの成績の推移を示す項目ということです。
大学側は、この項目をもとに「大学入学後も意欲的に学習に取り組めるのか」「学部・学科に適性があるか」などを確かめるため、特に注目されるのです。
成績状況
調査書には、成績状況として評定平均も記載されます。評定平均とは、高校1年生から3年生の1学期までの全教科の成績を合計し、各教科並び科目数の合計で割って数値化したものです。
たとえば全教科・科目の成績の合計が165点、全教科・科目数が37である場合、評定平均は4.5となります。
評定平均の数値は定期テストの結果によって左右されるため、日々の授業に積極的に取り組むことが欠かせません。調査書に記載された評定平均は、合否を判断する材料の一つとなり、数値が高いほうが有利になります。
学習成績概評
評定平均の数値をもとに、AからEまでの5段階で評価した「学習成績概評」も調査書に記載される内容です。数値ごとの評価は、以下のように区分されます。
【評定平均の数値の分類】
| ランク | 評定平均の数値 |
|---|---|
| A | 5.0~4.3 |
| B | 4.2~3.5 |
| C | 3.4~2.7 |
| D | 2.6~1.9 |
| E | 1.8以下 |
ランクが高いほど学習意欲を評価され、大学受験で有利にはたらくことが期待できます。
総合型選抜や学校推薦型選抜では、学習成績概評のランクが出願条件として定められているケースは少なくありません。たとえば、慶應義塾大学や早稲田大学などの難関大学をこうした入試方式で受験する場合は、評定平均4.0以上、つまりB以上の評価が必要となります。
また出願条件としてだけではなく、評価基準の一つとして重視されることもあります。評定平均や学習成績概評のみで合否を決められるわけではありませんが、希望する大学に進学するためには継続的な学習が大切です。
参照元:文部科学省「令和8年度大学入学者選抜実施要項 p19-20」
総合的な探究の時間の活動内容と評価
調査書には、2022年度から高校教育に導入された「総合的な探究の時間」での具体的な活動内容と成果、そしてそれに対する評価も記載されています。
総合的な探究の時間での「自ら発見した課題を解決するために探究を続ける」という取り組みは、大学受験の際にも評価のポイントとなります。なぜなら、受験生の主体性や表現力、課題発見能力など、学習成績・学力試験だけでは測れない個性を大学側が確認できるためです。
入試方式によっては、受験生の持つ多様な能力が評価されるため、この項目は大切な要素となるわけです。
特別活動に関する記録
この項目には、受験生が高校生活で取り組んだあらゆる活動が記載されます。たとえば部活動や生徒会活動、ボランティア活動、各種コンテストへの参加などです。
こうした活動の記録は、大学側が受験生の協調性や社会性、リーダーシップなどを評価する上で重要な材料となります。
指導上参考となる諸事項
この項目には、受験生の学習状況や学校生活での様子など、大学側が指導を行う上で参考となる情報が記載されます。
実際に記載される内容の例は、以下をご覧ください。
【指導上参考となる諸事項】
- ・学習における特徴
- ・行動の特徴や特技
- ・留学・海外経験
- ・取得した資格
- ・表彰や顕彰
こうした情報は、受験生の評価にプラスにはたらく場合もあります。たとえば実用英語技能検定(英検)や日商簿記検定などの資格を取得している場合は、継続力や特定分野への熱意が評価されることも期待できます。
備考
調査書には、指導上参考となる諸事項に書ききれなかった内容に加え、受験生に関する特記事項や個別の事情も記載されます。この備考欄に記載されるのは、受験生のことを大学側に理解してもらうための補足情報です。
具体的には、家庭環境に関する特記事項や健康面での配慮が必要な点などが含まれます。
出欠記録
調査書には、学年ごとの出席・欠席・遅刻・早退の日数も記載されています。大学側が受験生の時間管理能力や責任感などを確かめるためです。
ただし、欠席や遅刻の回数が多くても、持病や家族の介護といった正当な理由があれば評価がマイナスになることはありません。また、過去と比べて欠席日数や遅刻回数が少なくなり、改善傾向が見られる場合も、その努力を考慮してもらえる可能性があります。
調査書は大学受験の合否に影響する?
前述したように大学受験の入試方式によっては、調査書の内容が合否に影響を及ぼすこともあります
以下では、「総合型選抜・学校推薦型選抜」「一般選抜」の入試方式を例に、調査書の内容がどのように合否に関係してくるのか?を解説します。
総合型選抜・学校推薦型選抜の場合
総合型選抜の場合は、学習成績に加えて、大学での学びに対する意欲や学生の持つスキル、人柄などが評価のポイントです。また、学校推薦型選抜の場合は高校生活での頑張りが主に評価され、評定平均の他、特別活動の実績も重視されます。
このように受験生のパーソナルな面を評価する入試方式では、調査書は合否を判断するための重要な資料となるのです。
一般選抜の場合
一般選抜の場合は、調査書の内容が直接合否に影響することはほとんどありません。これは、受験当日の試験の結果で合否が判断されるためです。一般選抜において、調査書は主に本人確認のために活用されます。
しかし「学力試験の点数がボーダーライン上にある」「同じ点数の受験生が複数名いる」といったケースでは、合否を決める際に調査書の内容が参考にされることもあります。
このように調査書の内容を評価点に加える可能性がある場合は、大学の募集要項にその旨が記載されているため、志望校を決めたタイミングで確認しておきましょう。
2025年度の入試から調査書の内容は変わる?
2025年度から、大学受験の際に用いられる調査書は、原則として「高等学校生徒指導要録」に基づいて作成することが決定しました。それにより調査書に記載される内容、および書き方が変更されます。
【変更となる調査書の内容】
| 変更となる項目 | 変更前 | 変更後 |
|---|---|---|
| 総合的な探究の時間の記録 | ・活動内容、および評価を、学年ごとに 具体的に記載する ・各学校が設定した評価の観点や、 それに基づいた評価を記載することが望ましい | ・活動内容の記載に加えて 「知識・技能」「思考・判断・表現」「主体的に取り組む態 度」の3つの観点で評価する ・生徒にどのような力が身についたのかを端的に記載する |
| 特別活動の記録 | 特別活動における活動状況について 事実、および所見を記載する | ・各学校が設定した評価の観点を記載する ・各活動・行事ごとに十分に評価できると 判断される場合は〇印をつける |
| 指導上参考となる諸事項 | ・学習状況を具体的に記載する ・部活動やボランティア活動などの 具体的な取り組み内容や実施期間を記載 するなど | 要点を箇条書きにしてまとめ、 記載事項を必要最低限にとどめる |
このようにいくつかの変更点がありますが、調査書の作成に受験生が直接関与するわけではないため、概要を理解しておけば十分でしょう。
参照元:文部科学省「令和7年度大学入学者選抜実施要項の見直しに係る予告 p18-19」
調査書の入手方法
調査書は大学受験の際に必須となる書類のため、入手方法も確実に押さえておきましょう。ここでは、現役の高校生と高卒生(既卒生)のそれぞれのケースに分けて解説します。
まず現役生の場合は、進路指導部の教員や学級担任に学校指定の申請書を提出し、発行を依頼します。申請書によっては保護者の署名や捺印が必要となる場合もあるため、記入・押印漏れがないかどうかを確認した上で提出しましょう。
ただし、申請してすぐに調査書を入手できず、受け取るまでに数日かかる場合もあるため、出願締め切りの直前ではなく余裕をもって準備を進めましょう。
一方、高卒生(既卒生)の場合は、出身高校に調査書の発行を依頼します。在校生とは手続きの方法が異なる場合があるため、まずは卒業した高校に問い合わせることをおすすめします。
なお、いずれの場合でも学校によっては調査書の発行に費用がかかることがあるので、手続きの詳細に関しては在籍している高校、あるいは出身高校に確認してください。
調査書を入手する際の注意点
調査書を入手する際には、気をつけたいポイントがあります。スムーズに大学受験の準備を整えるために、ぜひお役立てください。
【調査書を入手する際の注意点】
- 注意点①余裕をもって申請する
- 注意点②大学ごとに提出する必要がある
- 注意点③開封すると無効になる
注意点①余裕をもって申請する
申請してから調査書を受け取るまでには数日かかる場合もあるため、出願締切日に間に合うように、十分に余裕をもって申請することが大切です。
特に、夏休みや冬休みといった長期休みのあいだは、教員と連絡が取れなかったり、事務局が閉まっていたりと、調査書の発行までにさらに時間がかかる可能性があります。長期休み明けすぐに出願する必要がある場合は、休みに入る前に申請を済ませておくとよいでしょう。
注意点②大学ごとに1通ずつ提出する必要がある
調査書は原本の提出が原則で、コピーした書類は受理してもらえません。1件の出願につき調査書が1通必要になるため、受験する大学の数よりも少し多めに発行を依頼しておくと良いでしょう。
たとえば「総合型選抜ではうまくいかなかったけれど、一般選抜で再度チャレンジしたい」という場合でも、予備の調査書があれば申請の手間を省けます。
汚れたり紛失してしまったりと、なんらかのトラブルが発生した際にも安心です。
注意点③開封すると無効になる
調査書は封筒に入っており、封じ目に学校印が押された状態で渡されるのが一般的です。中身が気になるところですが、開封してしまうとその調査書は無効となるため、受け取ったままの状態で提出しなければなりません。
調査書が未開封である状態は、内容が改ざんされておらず信頼性の高い書類であることの証明です。 書類の信頼性を維持するためにも、必ず未開封の状態で保管・提出しましょう。
もし誤って開封してしまった場合は、速やかに再発行を依頼してください。
調査書の内容を充実させるためのポイント
入試方式のなかでも総合型選抜や学校推薦型選抜では、調査書が重要な評価対象となるため、記載内容を充実させることが欠かせません。
合格の確率を高めるために、今日から以下のことを意識して高校生活を過ごしましょう。
【調査書の内容を充実させるためのポイント】
- ・授業に積極的に参加する
- ・苦手な教科を克服する
- ・部活動やボランティア活動、学校行事に参加する
- ・資格試験に挑戦する
- ・クラスメイトとコミュニケーションを取る
高校生活を送る上では、大学進学だけではなく、将来を見据えて日々の様々な活動に全力で取り組むことが大切です。
【まとめ】調査書は大学受験で提出が必須の書類!日頃の努力が評価を高めるポイント
調査書は、受験生の高校生活での取り組みを客観的に示すための書類で、学習の記録や特別活動に関する記録などが記載されています。総合型選抜や学校推薦型選抜の場合は、調査書の内容が合否を左右することもあります。
一方、一般選抜では受験当日の試験結果によって合否が判断されるため、調査書の内容が重視されるケースはほとんどありません。調査書の内容が重視される入試方式を考えている場合は、日々の授業に積極的に参加したり、苦手教科の克服に努めたりと地道な努力が重要になります。
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