「この世の終わり」みたいな顔で塾に来た生徒さんが、いつも通り一生懸命に勉強に取り組むようになった、たった1つの方法

皆さんこんにちは!東京 本郷三丁目校講師の末吉です。

 

4月になると、環境も変わって、良くも悪くも色んな刺激が増えますね。色んな人との関わりの中、思わぬ形で傷ついてしまうこともあるかもしれません。

家族や友達など、自分の大事な人が傷ついているのを見たときにどう接してあげるのがいいのでしょうか?共感したり、笑わせたり、色々あるとは思いますが、その中の1つの方法として「これはかなり効果的なんじゃないかな」と思う方法を紹介しようと思います。

 

ある日、一人の女子生徒が「この世の終わり」みたいな顔をして塾に来ました。どうやら学校で嫌なことがあったようでした。一緒に暗くなってもしょうがないので、

 

「この世の終わりみたいな顔してんじゃん」

とちょっとイジる感じで声をかけたのですが、

「別にいいんじゃない?終わっても」

と冷たい声が返ってきました。

 

彼女はいつも明るく、笑顔を絶やさない生徒なのですが、その時はずっと無表情のままで、彼女の傷の深さが伝わってきました。

 

「なんかあったん?」

「別に」

「別に話したくなかったらいいけどさ」

といいつつ彼女の顔を見ながらしばらく待っていると

「いやさ、今日ね、学校に行ったらさ・・・」

と少しずつ話し始めてくれました。

 

話を聞いていくと、どうやら信頼していた人に裏切られたと感じる出来事があったようでした。その間ずっと慰めるような言葉をかけたのですが、表情はそれほど変わらず、僕は自分の力の無さを感じていました。

 

とにかく目の前の辛さに耐えるのが精いっぱいというような感じで、どうにか前向きに捉えさせてあげたいと思ったのですが、それも上手くいきませんでした。

 

あまりにも深く傷ついていたようなので、何とかしてあげたいと思って話しながらずっと考えていたのですが、そもそもの発想が間違っていたことに気づきました。

 

僕は傷ついたこと自体を無かったことに出来ないかと考えていたのですが、1度ついた傷は決して無かったことにはできないわけです。

 

そう、傷は消えないです。でも、傷が気にならないくらいに、傷つけるのとは逆のことをしてあげればいいんだと思いました。

 

逆のことって何かって言うと、それは褒めることです。これ以外に今の自分がしてあげられることは無いと思い、早速実行することにしました。

 

「わかった。傷ついたこと自体はどうしようも無いからさ、それはもうしょうがないよ。けど、そのままにするのも違うと思うから、今から君を褒めます

「え?」

 

ビックリした顔をして、ようやくこっちに顔を向けました。教室に来て以来、ずっと下を向いたままだったのですが、やっと顔を上げてくれました。

 

「いや、だから、今から君の良いところを沢山言うから、ちょっと聞いてて。」

「待って!それは泣くから!無理!」

といいつつ、やっと笑顔が戻りました。

 

ようやく笑顔を見られたことに一安心しました。こちらの気持ちは十分伝わったようだったので、

「気持ちだけで充分って感じ?別に褒められなくてもいい?」

と聞くと、即答で

「いや!それは要る!」

その切り替えの早さに思わず爆笑すると、彼女もゲラゲラ笑っていました。

 

「なるほどね、それはそれで欲しいのね。じゃあいくよ?」

「やっぱ待って!泣く!」

「どっちだよ!」

 

と言いつつ、1つ1つ褒めていきます。

 

「ほんとにね、きみはいい子だなって思うよ。」

「どこが?」

 

照れ隠しに聞いてきたわけではなさそうで、笑顔でも目は物凄く真剣でした。その真剣さに応えないといけないと気を引き締めつつ、

 

いつもすごく明るいよね。挨拶もすごくしっかりしてくれてさ。君のあいさつでいつも元気づけられてるよ。リアクションも良くてさ、褒めたら沢山喜んでくれるし、テストが出来ないとがっくり落ち込んでさ、また出来たらめっちゃ喜んでさ」

 

「え?単純ってことでしょ?」

 

「そういうところがすごく良いんだよ、褒め甲斐があるじゃん。」

「それに君はすごく優しいよね。いつも他人を気遣ってさ、先生たちのことも他の生徒のこともね。くしゃみとかしたら『体調大丈夫?』とか、声かけてくれるじゃん?」

「あと君は決して簡単に人を責めたりしないよね。いつも自分にしっかり向き合ってくれてるよね。嫌なことあって、誰かを恨んでしまってもおかしくないような時でも、出来る限りそうしないよね。」

「あと君は周りの人にちゃんと感謝できるところがすごいよね。出来るようになったことがたくさんあっても、自分一人の力なんて思わずにちゃんと周りの人に感謝できているよね。先生たちのお陰って言ってくれるじゃん?そんなの大人だって簡単に出来ることじゃないよ。」

「あとはちゃんと努力できることが本当に素晴らしいよね。この1年もずっと努力し続けられたよね。」

 

その間半分泣いて半分笑っているような複雑な表情でずっと話を聞いている彼女。

 

「嫌なことあったらさ、『褒めて』って言いな?僕でもいいし、他の先生でもいいし、アルバイトの先生だって、ちゃんと沢山褒めてくれるよ。」

 

「うん!そーする!」

 

・・・その後元気を取り戻した彼女はいつも通り一生懸命に勉強に取り組んでくれて、帰る頃にはなんだかいつも通りの感じでした。そう、大事な人が傷ついているのを見かけたらですね、その人のことを沢山褒めてあげるといいんじゃないかなって思いました。

 

仕事のことや学校のことは、細かい事情も分かりにくいし、周りからアドバイスしたり、共感してあげたりすることも難しいです。無理に共感しようとすれば、「うるさい!」と反発されることもあるかもしれません。

 

でも、その人の良いところを褒めてあげることは、その人の職業も立場も関係ないです。細かい事情を知らなくたって全然大丈夫です。

 

1つ1つ丁寧にその人の良いところを伝えてあげたら、それだけで救われることもあるんじゃないでしょうか。

 

そんなことを彼女から学ばせてもらった瞬間でした。

 

褒めるときは照れないようにするのが大変ですが、そのくらいは我慢する価値があるのかなーと思います。それでは!