数学と算数の違いとは?考え方やそれぞれの特徴を知って数学の苦手意識をなくそう(2025年最新)

小学生の頃は算数の問題をスラスラ解けていたのに、中学生の数学になって急に内容が難しくなったと感じるお子さんは少なくありません。計算そのものはできるのに、方程式や関数といった新しい概念に戸惑ったり、「なぜこんな勉強をしないといけないの?」という素朴な疑問を抱いたりする人もいるのではないでしょうか。
実は、そのモヤモヤの原因は、「算数」と「数学」という二つの教科の違いをきちんと理解できていないことにあるかもしれません。算数と数学、それぞれの本質的な違いをしっかり把握できれば、「自分が何につまずいているのか」「どう学べばいいのか」という道筋が自然と見えてきます。この違いを意識して学ぶことで、苦手意識は軽くなり、前向きに学習に取り組めるようになるはずです。

この記事では、数学と算数の違いについて、それぞれの特徴と学び方、数学に苦手意識を持たないための方法、そして学習を続けるモチベーションの保ち方まで、詳しく解説します。

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数学と算数の違いは「目的」と「考え方」

数学と算数は、どちらも数や図形を通じてものごとを論理的に理解し、問題を解決する力を育てる教科です。ただし、「目的」や「考え方」などの観点において、明確な違いがあります。

観点算数数学
目的日常生活で必要な数や形の理解、
計算力を身に付けること
抽象的な概念や構造を理解して
活用できるようにすること
考え方具体的・実用的なものや場面から考える
※身の回りにある具体的な数や形、お金、
時計、図形、物の長さや重さなどを用いる
定義や証明・抽象的な概念について、
論理的な手順で考える
※xやy、関数や集合、空間などの
抽象的な概念や構造を用いる
学習内容・整数、分数、少数
・足し算、引き算、掛け算、割り算
・図形の面積や体積
・時刻、速さ、割合
など
・文字式、方程式、関数
・図形の性質の証明
・確率、統計
・ベクトル、微分積分
など
学び方お金などの具体的なものや、図や絵、
日常生活との結びつきを考えて理解させる
体験的・感覚的なアプローチを行う
抽象的な記号や図、言葉を使いながら、
証明や一般化(共通ルールを見つけて
広く使えるようにする)の方法を考え、
理論的に理解できるようにアプローチする

このように、算数は「身の回りの数や形を使って、考えたり計算したりする力」を育むのに対し、数学は「数や図形のきまりを使って、より広く深く、論理的に思考する力」を重視します。

 
算数の特徴と学び方

算数の特徴

算数は、小学校で学ぶ「数」「量」「図形」「データの整理」といった内容に関する基礎的な教科であり、私たちの日常生活のあらゆる場面と深く関わっているという特徴があります。例えば、買い物のおつりを計算したり、時計を読んだり、料理の材料の分量を調整したり、折り紙を正確に折ったりといった、身近な場面で役立つ力を育てます。その際、具体的な「もの」や「図」を使うことからスタートし、だんだんと「なぜこうなるのか?」を、体験を通して考えられるように進んでいきます。

 

算数で重要なスキル

算数では、「見て」「触って」「考えて」「話して」「試してみる」といった、体験や対話を通した学びから身に付けられる、以下のようなスキルを重視しています。

【計算力】
足し算・引き算・掛け算・割り算などの四則演算を使って、正確かつすばやく計算する力
例:買い物で「100円のりんごを3つ買って、1000円払うとおつりはいくら?」「税込150円のジュースの消費税分はいくら?」を考える

【数量感覚】
数がどれくらいの大きさかを感覚的にとらえる力
例:「500ミリリットルのペットボトル2本分の水が、1リットルと同じくらいかどうか?」をイメージする

【図形の理解】
三角形や四角形などの形の特徴や性質を見分ける力
例:「紙を折って正三角形を作る」「箱の体積をはかって、何個の積み木が入るか?」を考える

【論理的な考え方の芽生え】
「どうしてこの答えになるのか?」を説明する力
例:「なぜ4×3と3×4は同じになるのか」を図や言葉で説明する

計算力は、算数の基本的な「道具」のようなものです。文章題や図形の面積を求める際にも必要とされる最も重要なスキルでしょう。また、数や量を「これぐらいの数になりそう」「この計算では大きすぎる」と直感で捉えられる力は、考えの見通しを立てて素早く答えにたどり着く手助けとなります。目で見て形を捉える力は、「部屋にタンスが入るか」「荷物をどうやって積むか」などの身の回りにある生活に役立てられるほか、「見える形」を通して、角度や長さ、面積などの「見えない性質」を学ぶ、具体と抽象をつなぐことに役立ちます。
これらの力を身に付ける過程で、「このやり方で本当に正しいのか」「他のやり方でも答えが求められるのではないか」といった疑問を持ち、筋道を立てて考えられるようになることで、数学で重視される論理的思考の土台となるスキルが育まれるのです。

 

算数を楽しく学ぶための方法

算数を楽しく、そして深く学ぶためには、「できた!」「わかった!」という成功体験が最も大切です。文章題や式などからイメージがしにくい場合は、日常生活の具体的な場面や身近なものを活用することで、内容が格段に分かりやすくなります。

・ケーキを切り分けたりする場面から割り算の意味を体験的に理解する
・買い物に行って消費税はいくらになるのかを考えてみる
・料理を作って材料の重さや分量をはかる
・牛乳パックを切って展開図を作り、直方体の構造を視覚的に学ぶ

また、数式だけでなく、絵や図を用いて、目で見てイメージできるようにすることで、問題の意味がはっきりと見えるようになります。

さらに、単に「解答が正確かどうか」という結果だけに注目するのではなく、線分図などの図に整理して、「どうしてその答えになるのか」「なぜその解き方でうまくいったのか」といった思考のプロセスそのものに注目することが非常に重要です。

答えにたどり着く道筋を、実際に自分で考えて頭の中で形にしてみることで、問題を深く理解することができ、次に同じ問題を解く際に「これは以前の経験から分かる」「この解き方はしっかり覚えている」といった成功体験につながりやすくなります。

 

数学の特徴と学び方

数学の特徴

数学は、算数で学んだ「数」「図形」「式」などの基礎的な知識や考え方を土台として、より抽象的で論理的な思考を深め、発展させていく学問です。小学校の算数では「目に見えるもの」や「身近な事象」が中心でしたが、中学校以降の数学では「文字式」「関数」「証明」「データ分析」など、目に見えない抽象的な概念を頭の中で操作し、論理的に考察する力が求められるようになります。
そのため、数学の学び方では、「ルールや仕組みを理解すること」「筋道を立てて粘り強く考えること」「一つの考え方を他の問題に応用すること」が非常に重要になります。

 

数学で重要なスキル

数学の学習では、単に答えを出すこと以上に、「どう考えたか」「なぜその方法なのか」を、他者にも理解できるように明確に説明できるスキルが必要とされます。

【論理的思考力】
筋道を立てて、ひとつひとつの理由を積み重ねて結論を導き出す力
例:「なぜ三角形の内角の和は180度になるのか?」→平行線を引いて対応する角を作って説明する
「この2つ直線が垂直だといえるのはなぜか?」→傾きの積が-1であるという数学的な関係性を根拠にする

【問題解決能力】
与えられた問題の条件を整理して、自分で解決への道筋(プロセス)を計画し、粘り強く問題を解く力
例:一見して複雑な文章題では、まず図を描いたり表を作ったりして状況を整理してみる
仮定を置いてみたり、別の簡単な数字で試してみたりする
難解な問題を小さなステップに分けて考えて解答まで導いてみる

【抽象化・一般化する力】
具体的な数や図の操作を超えて、共通する法則を見つけてまとめる力
例:いろいろな偶数を調べて「偶数は2の倍数」であることを見つける→x=2n
  数列の規則を見つけて、次の数や式を表現する

【表現力・説明力】
数式、図、言葉などを使って、自分の考えを相手に分かりやすく伝える力
例:関数の特徴を表やグラフ、式で説明する
  証明問題で「どの条件を使ったか」「何を導いたか」の手順を筋道立てて書く

数学で最も重視されるのは、「なぜそうなるのか」という理由を順序だてて説明できるスキルです。感覚や思いつきではなく、根拠を提示しながら、スタートからゴールまで丁寧に積み重ねて考える力が求められます。
また、結果としての答えよりも、考えたプロセスを大切にするためには、初見の問題に対して一度でうまくいかない場合も、方法を考えて何度も考え直す粘り強さが必要になります。

数学は「問題を1つひとつ解く」ことだけを目的とするのではなく、「多くの問題に共通する仕組みを見つけて応用する」ことを目指す教科でもあります。たくさんの具体的な事例や問題の中から共通点や普遍的な法則を見つけ出し、それらを抽象的な式にまとめられる力は、「なぜそうなるか」を説明することに役立つだけでなく、応用力や発展的な思考につながる重要なスキルと言えるでしょう。

さらに、これらの思考の過程や結論を、数式や言葉・図・グラフなど多様な表現方法で相手に分かりやすく伝えられれば、内容の理解がより深まります。「わかる」だけでなく「伝えられる」まで理解することで、学んだ知識や考え方を本当の意味で身につけることができるでしょう。

 

数学を攻略するためのポイント

数学の理解力を高めるためには、次のような学び方のポイントを取り入れることをおすすめします。

・学ぶ目的を見つける
・自分に合った学び方を見つける
・問題に取り組む姿勢や意識を変えてみる
・学ぶ仲間を作ったり環境を整えたりする

まず、数学を「ただ問題を解く教科」ではなく、「社会や将来にどうつながるか」という視点で見てみましょう。例えば、データ分析はスポーツやマーケティングに活かせる、建築やプログラミングは数学的思考が土台になっている、など、「何のために学ぶか」を明確にすることで、学習へのモチベーションが高まり、より前向きに取り組みやすくなります。
また、数学で重要とされるスキルは同じでも、それらを身に付けやすい学習方法は人によって異なります。解説動画を視聴して視覚的にイメージをつかむ、紙に実際に図を書く、誰かに説明するなど、自分に合ったスタイルを知ることで、理解を深めやすくなるでしょう。参考書や教科書だけにこだわらず、さまざまな教材を試してみるのもおすすめです。
問題が解けなかった、つまずいたりした時は、そこで終わりにせずに、それを学ぶ入り口と捉えることも大切です。すぐに答えを出せなくても悲観せずに、「考えるプロセスに意味がある」と考えましょう。
友達同士で問題の解き方や考え方を話し合ったり、塾へ通って学ぶ空気に触れたりするのもおすすめです。ひとりで悩むよりも、人と一緒に学ぶことで、気づきや理解を大きく広げることにつながるでしょう。特に数学を得意とする人と関われれば、新しい視点で知識を深めやすくなります。

 

数学に苦手意識を持たないためには

数学が苦手だと感じるようになるきっかけの多くは、「わからないまま進んでしまうこと」です。ほんの小さなつまずきでも、放置してしまうとどんどん積み重なってしまい、雪だるま式に疑問が積み重なっていき、やがて大きな不安や苦手意識に変わってしまいます。
苦手だと感じる原因を分析し、対策を練ることが、数学への苦手意識を解消する第一歩です。ただ問題を解くだけでなく、「自分はどこでつまずいているのか」「なぜわからないのか」をしっかり確認すること、苦手だと感じる前にいくつかの習慣を心がけることによって、自信を持ちながら学びを進めることができるでしょう。

 

わからないままにしない

算数や数学は、前に学んだ学習内容を土台にして次の学習に進んでいく「積み重ねの教科」です。例えば、分数の計算が理解できていない場合、その後の割合や比例の単元でつまずきやすくなりますし、図形の基本的な性質を理解していないと、徐々に複雑になる角度や面積の応用問題が難しく感じられるようになります。
しかし、多くの子どもたちは、一度つまずいた単元や疑問点をそのままにして先に進んでしまい、「なんとなくできない」「何が分からないのかも分からない」という非常に困った状態に陥りやすいのです。

まずは自分がどの単元でつまずいているのかを把握しましょう。例えば、「分数の計算が苦手」「図形の角度が分からない」「文章題になるとどの公式を使えばいいのか手が止まる」など、できるだけ具体的に知ることが大切です。
そのうえで、問題集を解いてみたり、学校のテストやワークの解答・解説を見直したりして、苦手な部分を「見える化」し、疑問を解消していくことが大切です。
多くの場合、つまずく原因は、前の学年や単元での知識や理解不足にあります。
予習・復習などの自分だけの学習でこれらに対応することが難しい場合は、学年をまたいで必要な学習をサポートしてくれる個別指導塾なども有効です。

 

公式は暗記に頼らず理解する

数学の公式を、意味も分からずにただ「丸暗記」だけで終わらせることは避けましょう。そのように覚えた公式は、問題の文脈と公式そのものが頭の中で結びつきにくくなるため、いざ問題の形式や問われ方が少し変わっただけで、途端に対応できなくなる可能性が高くなってしまうからです。
公式を理解するうえで大切なのは、その公式が「何を意味しているのか」「どうしてそうなるのか」まで理解することです。例えば、「円柱の体積=πr2h」は、図をイメージすると、なぜその式になるのかが実感できます。また、抽象的な文字式がイメージしにくい場合は、具体的な数字を入れてみて、公式の働きを確認するのも効果的な方法です。
公式を「ただの決まり」ではなく、納得できる理由を見つけながら覚える工夫をすることで、公式の記憶がぐっと定着しやすくなります。「わかるから使える」「使えるから楽しい」という良い循環が生まれ、自然と数学に対する苦手意識も減りやすくなるでしょう。

 

見直しの習慣をつける

数学は「できたつもり」になりやすい教科です。計算ミスや勘違いが多いと、たとえ考え方のプロセスは正確に理解ができていたとしても、それがテストの点数に結びつかず、悔しい思いをしてしまうことがあります。
そのため、問題を解いて終わりにするのではなく、「なぜ正解できたのか」「なぜ間違えたのか」を見直す習慣をつけることが大切です。

・式の途中に書いていない部分まで計算をやり直す
・別の方法で解けないかどうかを試してみる
・方程式に自分の出した解を代入して確かめる
・単位や答えの形を見直す

このような方法を意識しながら、問題を解いた後は必ず見直しの時間を設けましょう。
見直しは、終わった問題をチェックするだけでなく、自分の弱点を知り、ミスを減らし、考え方を深めるための学習の一部です。「どこでつまずいたのか」「何を直せばよいのか」がはっきりし、次は同じミスをしないように工夫できるようになります。その結果、「わからないままにしない」「できないを減らす」ことにつながり、苦手意識を解消することに役立ちます。

 

学習を続けるモチベーションを保つには

数学を友達と楽しく学んでいる生徒

数学の力を伸ばすためには、少しずつでも学習を継続することが大切です。しかし、苦手意識があったり、思うように点数が伸びなかったりすると、やる気をなくしてしまうこともあります。そこで重要なのは、「できた」という小さな成功体験を積み重ねることです。
解けた問題・新しく理解できたポイントを1つずつ書き出したり、自分用の苦手解決ノートを付けたりするなど、小さな成功を記録して見える形で残すことで、達成感を学ぶ力に変えていきやすくなります。
また、「なぜ勉強するのか」を自分なりに考えてみるのも効果的です。「将来の夢につながるから」「できると気持ちがいいから」など、目的意識があると、少しつまずいたとしても、学習を続けやすくなります。
さらに、保護者や学校の先生、友達に「頑張っているね」と声をかけてもらうなど、まわりの人からの励ましや応援があると、やる気を保ちやすくなります。自分ひとりだけで頑張ろうとせず、気持ちを共有したり、分からないことを相談したりすることで、前向きに学び続ける力が育っていくでしょう。習慣化することもポイントです。

 

数学と算数の違いを理解して学ぶことが重要

算数と数学はどちらも「数」を扱うものですが、目的や考え方にはっきりとした違いがあります。この違いを理解せずに学んでいると、「学習内容が急に難しくなった」「意味が分からない」と戸惑い、授業についていけず、やがて壁にぶつかってしまうことが少なくありません。その結果、数学に対する苦手意識が強まり、学ぶ意欲を失ってしまい、ただ単に公式を暗記するだけの表面的な学びになってしまうことも。
そうならないためには、算数と数学の違いを理解したうえで、苦手克服に役立つステップを踏みながら学びを進めていくことが大切です。
算数と数学の学ぶ意味を明確にしながら、目的に合った勉強法で理解を深めていけば、自信を持って前向きに、中学数学、さらには高校数学の学習にスムーズに取り組めるようになるでしょう。この記事がその一助となれば幸いです。

 

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