
大学受験において、多くの受験生が自身の立ち位置を図るために参考にするのが「ボーダーライン」です。
しかし、その言葉が具体的に何を指すのか、どのように受け止めるべきか、正しく理解している人は意外と少ないかもしれません。
本記事では、共通テストにおけるボーダーラインの正しい意味や合格判定の見方、得点を伸ばすための具体的な学習の工夫まで、受験戦略に欠かせない情報を詳しく解説します。
目次(クリックで開閉)
・共通テストのボーダーラインとは何か?
・共通テストのボーダーラインは何によって変動するの?
┗①テストの難易度
┗②受験者の人数
┗③配点
┗④志望する学部の人気度
・ボーダーラインを押さえるために知りたい!模試の合格判定と考え方
┗A判定
┗B判定
┗C判定
┗D判定
┗E判定
・共通テストのボーダーラインは信用しすぎないほうがよいって本当?
┗確実な数値ではないため
┗共通テストの得点だけで合否が決まるわけではないため
・共通テストのボーダーラインを参考にする際のポイント
・共通テストでボーダーライン以上の得点を取るためにできること
┗ポイント①志望校の合格の目安を調べる
┗ポイント②共通テストの模試や過去問でミスした箇所を復習する
┗ポイント③自分の得意・不得意を把握する
┗ ポイント④自分のペースで学習を進める
・【まとめ】共通テストのボーダーラインは、客観的な指標の一つとしてとらえる
共通テストのボーダーラインとは何か?
大学入学共通テストにおけるボーダーラインとは、合格の可能性が約50%とされる得点ラインの目安のことです。
この数値は、各予備校が、前年度のデータをもとに算出しています。たとえば、前年の合格者の多くが共通テストで700点前後を取っていた場合、今年のボーダーラインも700点に近い点数が設定されます。
ここで重要なのは、ボーダーラインは「この点を超えていれば必ず合格できる」「下回れば必ず不合格になる」という全体的な基準ではない、ということです。たとえ共通テストで高得点を取ったとしても、2次試験で失敗すれば不合格になる可能性はありますし、 反対にボーダーラインに届かなくても、2次試験で逆転合格する可能性も十分にあります。
ボーダーラインはあくまでも「目安」であり、確定的な基準ではないことを理解しましょう。
共通テストのボーダーラインは何によって変動するの?
共通テストのボーダーラインは、以下のような要素の影響を受けて変動します。
- ①テストの難易度
- ②受験者の人数
- ③配点
- ④志望する学部の人気度
それぞれの要素がボーダーラインに対してどのような影響を与えるのか、詳しく見ていきましょう。
①テストの難易度
ボーダーラインは、その年の試験難易度によって上昇・下降します。
| 共通テストが難しい年 | ボーダーラインが下降 |
| 共通テストが簡単な年 | ボーダーラインが上昇 |
共通テストは、従前のセンター試験と比べて出題形式や内容に柔軟性があります。年によって難易度が変化しやすく、予測が難しいのが特徴です。
こうした変化が、ボーダーラインの上下にも影響を及ぼします。
②受験者の人数
募集定員があらかじめ決まっている大学入試では、受験者数の増減がボーダーラインに直接影響します。
募集定員が変わらない場合、受験者が多いほど競争が激しくなり、ボーダーラインは上昇します。たとえば、前年1,000人だった志願者が今年1,500人に増えれば、限られた合格枠を多くの受験生が争うことになるため、合格に必要な点数が自然と押し上げられるのです。
反対に、受験者数が減少すれば、競争が緩やかになり、ボーダーラインは下降する傾向です。
受験者の人数は、共通テスト後の出願期間に確定します。同じ配点や難易度でも、志願者が増えるだけで、合格に必要な点数が押し上げられる可能性があることを覚えておきましょう。
③配点
一部の大学では、共通テストの得点を大きく圧縮して扱うケースがあります。たとえば、東京大学は900点満点の共通テストを110点に圧縮し、2次試験440点との合計550点で合否を決定します。この場合、共通テストで満点に近い点を取っても、その配点は5分の1である110点分にとどまるため、合否に占める共通テストの比重は小さくなるのです。
共通テストの得点が圧縮されると、ボーダーラインも低くなる傾向があります。
参考:令和7(2025)年度東京大学入学者選抜(一般選抜)における出題教科・科目等について〔予告・補遺〕
一方で、共通テストの得点だけで合否が決まる私立大学の「共通テスト利用型入試」では、共通テストの得点がすべてとなるため、ボーダーラインは非常に高くなる傾向です。
なお、大学は入試要項などで共通テストの利用方法(配点や圧縮率)を事前に公表しているため、受験生は出願前に確認できます。
④志望する学部の人気度
人気のある学部には受験生が集まりやすく、競争が激しくなることから、ボーダーラインも上昇する傾向があります。反対に、知名度が低くあまり人気が集まらない学部では、志願者が少なくなり、結果としてボーダーラインも下がりやすくなります。
人気の高さは競争率の高さとおおむね同義であり、それがボーダーラインの高さに直結します。
なお、大学や学部の人気度(ブランド力、社会的評価、将来性など)は、年によって大きな変化はなく、出願前の段階で把握できる要素です。志望校を決める際には、人気度もボーダーラインに影響する点を考慮するとよいでしょう。
ボーダーラインを押さえるために知りたい!模試の合格判定と考え方
予備校によって基準は多少異なるものの、模試の合格判定は一般的にA~Eの5段階で示され、おおよその合格可能性を知る手がかりとなります。
それぞれの判定が何を意味し、それをどう次の対策につなげればよいのか、詳しく見ていきましょう。
A判定
A判定は、「合格可能性が80%以上」と判断された状態です。これまでの学習方法が正しかった証であり、そのことに自信を持って良いでしょう。
しかし、裏を返せば「5人に1人は不合格」の可能性があり、試験本番での合格を保証するものではありません。A判定に安心して勉強の手を緩めてしまうと、学力が伸び悩んだり、ライバルに逆転されたりするリスクもあり得ます 気を引き締めて、これまでどおりの学習ペースを維持するように心がけましょう。
もし学力的な余裕を感じるなら、より難易度の高い志望校を検討してみるのも1つの選択肢です。幅広い進路を考えられるようになるのは、A判定のメリットといえます。
B判定
B判定は、「合格可能性が60%~80%程度」とされる評価です。合格圏内にいて、今後の取り組み次第でA判定に近付くこともあれば、逆に判定を落とす可能性もある、油断のならない状況といえます。
B判定が出た場合は、まず「あと何点でA判定に届くのか」を確認してみましょう。その差がわずかであれば、現在の勉強時間や学習方法を修正することで、A判定の圏内に入ることは十分可能です。
B判定からA判定を狙うための対策のポイントは、ミスの傾向を明らかにすることです。基本問題の取りこぼしが多かった場合は、ケアレスミスへの対策や時間配分の見直しを検討する必要があり、ただ闇雲に演習量を増やすことが正解とはかぎりません。
A判定を目指して学習を続けることで、より確実に合格へと近付くことができます。
C判定
C判定は、「合格可能性が40〜60%程度」とされる評価です。つまり、C判定がボーダーライン(合格可能性が50%)を含む境目となります。現時点での学力では合格を確信できるレベルではないものの、決して諦めるべき段階ではありません。
こからの頑張りが合否を直接左右します。まずは得点を確認して、「B判定寄りのC」なのか「D判定寄りのC」なのかを確認しましょう。あと少しでB判定だった場合は、どの教科・どの設問で点数を落としたのかを具体的に洗い出し、重点的に対策を講じます。反対に、D判定に近い場合は、複数の教科にわたって基礎力の底上げが必要な可能性があります。
得点の内訳から苦手分野や得点が伸び悩んだ科目を分析し、優先順位をつけて対策に取り組みましょう。
D判定
D判定は、「合格可能性が20〜40%程度」であることを示しますが、D判定だからといって合格が不可能というわけではありません。特に、2次試験の配点比率が高い大学や、自分の得意科目が2次試験で活かせる場合は、逆転合格の可能性も十分に残されています。
まずは基礎力の底上げを徹底し、得点源となる分野を伸ばすことで、合格圏内に食い込むチャンスは十分にあります。
ただし、自分の得点が志望校のボーダーラインから大きく下回っている場合は、志望校の見直しが必要かもしれません。志望校の配点や試験科目と、自分の得意分野との相性も踏まえた上で、現実的な出願戦略を立てることが大切です。
E判定
E判定は「合格可能性が20%以下」とされる、もっとも厳しい評価です。客観的に見て、現時点では志望校の合格圏から大きく離れているという状況を示しています。
2次試験の配点が極端に高かったり、自分の得意科目と試験科目が重なっていたりすれば、E判定から巻き返す余地も残されてはいますが、E判定からの逆転合格はあくまでも例外的なケースです。合格には、特別な努力や戦略が必要であることを認識しましょう。
模試の結果でE判定が出た場合は、勇気をもって志望校を見直すことも現実的な判断の1つです。併願校の中で合格可能性が高い大学や、安全圏とされる大学の検討も含め、合格可能性を向上させるための方法を考えましょう。
どのような判定であっても、その結果を客観的に受け止めて、合格までの戦略や学習スケジュールを立てていくことが重要です。
共通テストのボーダーラインは信用しすぎないほうがよいって本当?
共通テストにおけるボーダーラインは、信用しすぎないほうがよいといわれることがあります。
その理由として、以下があげられます。
- ・確実な数値ではないため
- ・共通テストの得点だけで合否が決まるわけではないため
ボーダーラインは、共通テスト後に出願先を決める際の「目安」として参考にすることが大切です。
それぞれの理由について、詳しく見ていきましょう。
確実な数値ではないため
共通テストのボーダーラインは、さまざまな要因によって変動する可能性もあるため、100%確実な合否判定基準とはいえません。
以下の論点を押さえておくと、ボーダーラインとの距離感をつかみやすいでしょう。
- ・ボーダーラインは、予備校などが発表する「予測値」である
- ・共通テストは2021年に始まったばかりで、データ蓄積が十分でない
- ・外部要因の影響を受けやすい
受験者数の増減や試験問題の難易度変化、入試制度の改訂によって、実際の合格点は年度ごとに変動します。
これらの要因が重なることで、予備校が発表したボーダーラインと、実際の合格点との間にズレが生じるのです。
共通テストの得点だけで合否が決まるわけではないため
多くの国公立大学や一部の私立大学では、共通テストの得点に加えて、2次試験(個別学力試験)の得点も合否に大きく影響します。
仮に共通テスト本番で高得点を取れなくても、2次試験で挽回できる可能性があるのです。大学や学部によって、共通テストと2次試験の配点比率は異なり、中には2次試験の配点のほうが圧倒的に高いケースも少なくありません。こうした大学を志望する場合は、共通テストのボーダーラインだけを見て一喜一憂することには、あまり意味がないのです。
ボーダーラインは、あくまでも目安の一つと捉え、2次試験も含めた総合的な戦略立案に活用しましょう。
共通テストのボーダーラインを参考にする際のポイント
予備校が発表する共通テストのボーダーラインや模試の結果は、あくまでも合格可能性の「目安」として活用するものです。
過去のデータに基づいた予測値であり、合否を保証するものではありません。たとえ模試の結果がC判定やD判定であっても、そこからの学習次第で逆転する可能性も十分にあります。
また最終的な合否は、共通テストだけでなく、2次試験や面接といった複数の要素を含めた総合力で決まります。ボーダーラインの結果だけを見て満足したり、逆に諦めてしまったりするのではなく、客観的な評価の一つとして冷静に受け止め、その先の努力を継続して積み重ねることが大切です。
共通テストでボーダーライン以上の得点を取るためにできること

共通テストでボーダーラインを超えるためには、得点力を高めるための取り組みが欠かせません。 具体的には、以下のポイントを意識することが大切です。
- ①志望校の合格の目安を調べる
- ②共通テストの過去問でミスした箇所を復習する
- ③自分の得意・不得意を把握する
- ④自分のペースで学習を進める
それぞれのポイントについて、詳しく見ていきましょう。
ポイント①志望校の合格の目安を調べる
まずは志望校のボーダーラインを調べ、共通テストの「目標得点」を明確にしましょう。
たとえば「得点率75%がボーダーライン」と分かれば、900点満点中675点以上を目指す必要があります。 数値で目標を設定することで、現状の自分との差が見えてきて、追加で得点を取る必要がある分野も明確になるでしょう。
共通テスト本番から日数を逆算して「いつまでに何点取る」という中間目標を設定することで、学習計画も立てやすくなります。
ただし、数値はあくまでも目安であり、ボーダーラインを超えたから安全とは断定できない点にも留意しましょう。
ポイント②共通テストの模試や過去問でミスした箇所を復習する
共通テストでボーダーライン以上の得点を目指すには、過去問や模試でのミスを丁寧に見直すことが効果的です。
ケアレスミスであれば、次のテストで繰り返さないための対策を立てましょう。知識不足や理解不足が原因で間違えた問題は、決して放置せず、教科書や参考書に戻って基礎から見直して復習することが大切です。
過去問の復習は、一度だけでなく、テスト直前期に行うことも非常に有効なため、最後まで繰り返し見直していくとよいでしょう。
ポイント③自分の得意・不得意を把握する
共通テストで効率よく得点を積み重ねるには、科目ごとの得意・不得意を踏まえた学習戦略が不可欠です。
たとえば、得意な科目はさらに磨きをかけ、安定した得点源にするのが効果的です。一方で、苦手な科目は、まずは合格に必要な最低ラインの得点確保を目標にすると、無理なく勉強が進みます。
すべての科目を均等に完璧にしようとする必要はありません。配点の高い科目や、自分の得意な分野により多くの時間をかけることで、限られた時間の中で最大限の成果を出すことが可能になります。
自分の強みと課題を理解し、学習の優先順位を整理しましょう。
ポイント④自分のペースで学習を進める
共通テストでボーダーラインを超えるためには、自分に合った学習スタイルを確立し、維持することも大切です。
周囲の受験生と情報交換をするのはよい刺激になりますが、他人の学習法や進捗に必要以上に影響されないよう注意しましょう。たとえば、他人の勉強量や使っている参考書を気にして焦るよりも、自分の計画を着実にこなしたり、これと決めた参考書を完璧になるまで繰り返し使ったりするほうが、結果的に得点力は向上します。
大切なのは、「自分の目標点数」と「今の自分の点数」との差を常に意識することです。目標点数への到達のために足りないものを把握すれば、周りに惑わされず、今やるべきことに集中できるでしょう。
【まとめ】共通テストのボーダーラインは、客観的な指標の一つとしてとらえる
共通テストのボーダーラインは、合格可能性を測る1つの判断材料に過ぎず、合否を決定するものではありません。
ボーダーラインの意味を正しく理解し、自分の現状と照らし合わせながら、学習の優先順位や対策を見直すための「ツール」として活用しましょう。
得点力を向上させるためのポイントもおさえ、やるべきことを1つずつ実行していくことが、合格への最も確実な道です。
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