
大学受験のための勉強を始めている高校生は、周りの学生から「早慶上理の難易度まで学力レベルを上げたい」「MARCH以上の大学を目指したい」といった声を聞いたことがあるのではないでしょうか。
早慶上智・早慶上理・日東駒専・MARCH・GMARCH・SMART・関関同立・旧帝大などの呼び方は、大学の偏差値など、入試難易度で大学をグループ分けした時に使われる呼称です。
その中でも、日本の大学群の中で、最難関とされる私立大学群が、早慶上理です。トップレベルの私立大学を目指して、早慶上理を第一志望にする受験生は少なくありません。
本記事では、早慶上理が注目される理由、私立大学の中での位置づけ、早慶上理各大学の詳しい特徴、偏差値比較、受験のための戦略と対策について、志望校選択のための入試情報を徹底解説します。
早慶上理とは
早慶上理(そうけいじょうり)とは、早稲田大学、慶應義塾大学、上智大学の「早慶上智」と呼ばれる3校に、理系上位層の私立大学である東京理科大学を加えた、4つの大学のことです。日本の私立大学の中で、最も偏差値が高いとされるグループを指しています。
主に、受験業界や予備校が大学の難易度を分かりやすく分類するために、1990年代頃から使い始めたとされる呼称で、2000年代には一般的な受験用語として定着しました。
なぜ早慶上理が注目されているのか
高偏差値の学部が多い早慶上理は、入試難易度も非常に高い大学群です。難関私立大学の代表格として、また、国公立大学志望時の併願先として、多くの受験生にとって目標となる存在です。さらに、私立のトップとしてのブランドを確立しており、著名な卒業生がビジネス界、経済界など、さまざまな分野で活躍していることも関心が高い理由のひとつでしょう。また、卒業後の進路が豊富で、就職先に大手企業が多いのはもちろんのこと、研究機関への推薦も多く、社会的ネットワークにおいて強い影響力を持っています。特に早慶は総合商社やマスコミ、大手メーカーなどの有名大学卒業生がこぞって志望する企業への就職率が高く、卒業後の選択肢の多さから少子化に関わらず注目されています。
偏差値からみる早慶上理の位置づけ
早慶上理の偏差値は、学部によって異なりますが、約65~75とされています(上智大学や東京理科大学では60前後の学部もあります)。偏差値ランキングや倍率だけでなく、日本国内外での知名度も、人気も、いずれもトップクラスの大学群です。
偏差値にのみ注目して見てみると、MARCH(明治大学・青山学院大学・立教大学・中央大学・法政大学)や日東駒専(日本大学・東洋大学・駒澤大学・専修大学)よりも上位、旧帝大(東大・京大・東北大学・九州大学・北海道大学・阪大・名古屋大学)の一部と同等、学部によってはやや劣るポジションにあり、最高難易度の私立大学群に位置づけられています。
早慶上理各大学の特徴
ここからは、早慶上理の各大学の特徴を詳しく紹介します。
早稲田大学の特徴~文武両道なマンモス大学~
早稲田大学は首都圏を中心に4つのキャンパスを構える大学です。
・早稲田キャンパス(政治経済・法・商・国際教養・総合グローバル・社会科学・教育)→東京都新宿区
・西早稲田キャンパス(理工)→東京都新宿区
・戸山キャンパス(文化構想・文学)→東京都新宿区
・所沢キャンパス(人間科学・スポーツ科学)→埼玉県所沢市
この他に、海外留学の受け入れ拠点である国際キャンパスが、北九州に存在します。
1882年に大隈重信が「東京専門学校」として創立し、1902年に「早稲田大学」に改称されました。明治時代から「自由と進取」の精神を掲げ、政治・経済・文化など、多方面で影響を与えてきた大学です。
13学部を抱える総合大学であり、学部学生数約4万5,000人を誇るマンモス大学です。私立大学の中でも、学部・学問領域が非常に幅広く、看板学部の政治経済学部や、伝統のある商学部は、人気、難易度、倍率ともに、最も高くなっています。2007年に創設・再編され「新しい文学部」と呼ばれている文化構想学部、日本トップレベルの建築学科を擁する創造理工学部、英語中心の授業を取り入れた総合グローバル学部も人気の学部です。
「学問の独立」「学問の活用」「模範国民の造就」を理念としており、「実学」を重視して、社会で活躍できる人材の育成を目指しています。自由な校風で、生徒の自主性を重んじる指導を取り入れているといった特徴もあります。
スポーツの名門校としても知られており、特に野球、ラグビー、駅伝などは全国トップレベルです。多くのプロ選手やオリンピック選手を輩出しています。「文武両道」の精神が根付いており、スポーツ推薦入試が充実しているほか、スポーツ科学部では、スポーツ科学・コーチング・トレーナー育成にも力を入れています。
慶応義塾大学の特徴~公認会計士試験の合格者数No.1~
慶応義塾大学は東京都と神奈川県に6つのキャンパスを構える大学です。
・三田キャンパス(法・経済・商・文学・総合政策・環境情報)→東京都港区
・日吉キャンパス(文・法・経済・商・理工)→神奈川県横浜市
・矢上キャンパス(理工)→神奈川県横浜市
・信濃町キャンパス(医学部)→東京都新宿区
・湘南藤沢キャンパス(総合政策・環境情報・看護医療)→神奈川県藤沢市
・芝共立キャンパス(薬学部)→東京都港区
湘南藤沢キャンパス(通称SFC)は、1990年に設立され、環境情報学部や総合政策学部などが配置されています。
1858年に、旧一万円札の肖像画で有名な福沢諭吉が、蘭学塾として創設しました。日本最古の私立大学であり、西洋近代教育を取り入れた学問機関として、日本の近代化を支えてきました。
10学部を擁する総合大学であり、大学だけでなく、付属の中高があるのも特徴です。経済学部・法学部・医学部の評価が高く、司法試験や公認会計士試験で多くの合格者を輩出しています。特に公認会計士試験では、10年間連続で全国1位の合格者数実績を誇ります。また、2008年の理工学部再編によって誕生した先進理工学部は、最先端の研究ができ、企業や研究機関との連携が活発であることから、理系の中でも非常に人気のある学部となっています。
「独立自尊」「実学」を理念とし、学問を通じたリーダーシップ人材の育成に取り組んでいます。また、卒業生のつながりが強いこと、有名企業への就職率が高いことも特徴です。
スポーツにも力を入れており、野球やラグビーでの早慶戦は毎年の伝統行事となっています。エレガントなスポーツ文化が特徴的で、ヨットやフェンシング、ゴルフなどの競技にも強い大学でもあります。
上智大学の特徴~国際色豊かな日本最古のカトリック大学~
上智大学は、東京都に2つのキャンパスを構える大学です。
・四谷キャンパス(神・文・総合人間・法・経済・外国語・国際教養・理工)→東京都千代田区
・目白聖母キャンパス(総合人間科学部看護学科)→東京都新宿区
1913年にカトリック・イエズス会によって設立されました。日本最古のカトリック大学であり、キリスト教の価値観を重視した教育を行っている大学のひとつです。
9学部の総合大学で、カトリック神学部ではキリスト教に関する教育を行っています。ほぼすべての学部が四谷キャンパスに集約されており、目白聖母キャンパスは2011年に聖母大学を統合して新たに開設した看護学部専用のキャンパスです。
別名「ソフィア大学」とも呼ばれており、「For Others,With Others(他者のために、他者とともに生きる人)」の育成を教育精神として掲げ、グローバル社会に貢献する人材育成に力を入れています。キリスト教の精神に基づいて、人権・平和・環境などの社会問題に積極的に関与しているといった特徴もあります。
国際色豊かで外国籍の学生が多く、教員の約6人に1人が外国籍で、海外の協定校も多く、交換留学がさかんに行われています。看板学部の文学部英文学科をはじめ、「英語の上智」と呼ばれるほど、外国語教育に定評があります。
東京理科大学の特徴~充実した研究設備と実績が魅力~
東京理科大学は、東京都と千葉県に3つのキャンパスを持つ大学です。
・神楽坂キャンパス(理学部第一・工学・経営)→東京都新宿区
・葛飾キャンパス(先進工学・経営)→東京都葛飾区
・野田キャンパス(理学部第二・工学・基礎工学)→千葉県野田市
他に、1年次の理工学部生の研修施設として、北海道に長万部キャンパスを構えています。
1881年に「東京物理学講習所」として創設され、理系教育を専門とする日本屈指の私立大学として発展してきました。現在も私立理系のトップとして、科学技術分野の研究・教育に力を入れています。
理系のイメージが強い大学ですが、文系の経営学部を含む7つの学部を持つ総合大学でもあります。
「理学の普及を持って国運発展の基礎とする」という理念のもと、実学主義を徹底し、社会に役立つ科学技術の発展に貢献することを志しています。
厳しいカリキュラムで知られていますが、その分、卒業生の実力は保証されており、メーカー、エンジニア系、理数系分野の就職実績に優れています。
2023年から理工学部が創域理工学部へ変更され、先進工学部が2つの学科を新設しました。
早慶上理の偏差値比較
早慶上理は私立大学の中でもトップクラスの大学です。偏差値は早慶で65、上智大学や東京理科大学でも60を超える学部がほとんどです。
<早慶上理の偏差値目安>
早稲田大学:約67~76
慶応大学:約65~79
上智大学:59~75
東京理科大学:理系53~67
学部によって偏差値に違いはありますが、早慶の方が上智に比べて高く、全国の国公立大学と比べても難関傾向にあると言われています。東京理科大学は、理系学部の偏差値が非常に高く、文系学部はやや低めに設定されています。
早慶上理受験のための戦略と対策
早慶上理は、偏差値だけでなく、倍率も非常に高い、最難関の私立大学です。大学合格を勝ち取るためには、自分に有利な入試方式の把握に加えて、合格に必要な学力レベルに到達するための、学習計画や勉強時間の確保といったノウハウ・受験対策が重要です。
早慶上理の入試方式の多様化と特徴
早慶上理では、一般選抜の他、総合型選抜や学校推薦型選抜など、さまざまな入試方式での試験を実施しています。
<早慶上理の4大学が導入している入試例>
早稲田大学 | 共通テスト利用入試(5教科7科目・3教科5科目併用) 英語4技能テスト利用入試 共通テスト+競技歴方式(スポーツ科学部) 学部別入試 ※受験科目が総合問題型、地歴・公民型、数学型、国英型、数英型により異なる |
慶應義塾大学 | 学部別入試 ※受験教科数2~3科目選択(+小論文) 英語外部試験スコア利用入試(文学部) |
上智大学 | TEAPスコア利用方式 学部学科試験・共通テスト併用方式 共通テスト利用方式(3教科型・4教科型) |
東京理科大学 | A方式入学試験(大学入学共通テスト利用) B方式入学試験(学校独自の入学試験) S方式入学試験(総域理工学部数理科学科、電気電子情報工学科の専門コース対象) C方式入学試験(大学入学共通テストと独自試験の併用) グローバル方式入学試験(英語資格・検定試験のスコアと独自試験) |
学部ごとの試験が一般的ですが、上智大学では、各学科が指定する大学入学共通テストの受験科目を満たしていれば、一度の試験で学部併願できる場合があります。さらに、上智大学は、個別試験のみの入試は実施していません。共通テストかTEAPどちらかひとつを受験していないと出願ができないため、注意が必要です。
学部によって利用している入試方式が異なることがあるため、志望校の志望学部学科の入試方式をしっかりと確認しておきましょう。
早慶上理の特徴的な総合型選抜と出願条件例
<早稲田大学>
◆FACT選抜:小論文・プレゼンテーション・課題制作を重視し、「想像力・発信力・思考力」を評価する(社会科学部・教育学部・人間科学部・スポーツ科学部・2024年からは文化構想学部と文学部でも実施)
◆地域探求・貢献:地域の課題解決や発展に貢献する意欲を持つ学生が対象(地域課題についてもレポートや120分の総合試験あり)
◆スポーツ自己推薦:スポーツにおいて優れた成績をおさめた人が対象(競技実績や大会入賞等が必要)
◆創成入試:数学オリンピック・科学グランプリ・情報オリンピック・高校生・高専生科学技術チャレンジ・日本学生科学賞・日本生物学オリンピック・物理チャレンジなどの大会成績が評価の基準
<慶応義塾大学>
◆FIT入試(A方式):法学部政治学科・法律学科限定で実施。志望者の多面的な能力や適性を評価する(書類審査・面接・小論文の他、プレゼンテーションなどが課される学部もある)
<東京理科大学>
◆英語資格検定+特定教科評価:英語資格検定スコアと特定教科の学習成績を組み合わせて評価(2025年度入試より新設)
◆女子:工学部全学科、総域理工学部の工学部6学科、先進工学部全学科を対象に設けられた、女子学生の募集枠
上記以外にも、総合型選抜・学校推薦型選抜を実施している学部は多数あり、学部や学科ごとに必要な評定のボーダーラインや資格などの推薦基準は異なります。日頃の授業をしっかりと聞き、定期テストで高得点を取るなど、高校の成績を高く維持しておくことが出願の最低条件となるでしょう。
合格をつかみ取るためには、志望校の入試方式をしっかりと調べ、さらに、入試方式ごとの特色を理解した上で自分にとって最適な方法を選ぶことがポイントになってくるでしょう。
学校推薦型選抜についての詳しい情報は、「学校推薦型選抜(公募制推薦,指定校推薦)とは?一般選抜や総合型選抜との違いについても解説」を参考にしてください。
早慶上理の合格に必要な学力レベル
早慶上理は私立大学の最難関大学群であるため、合格するためにはトップレベルの学力が求められます。偏差値70近くの学力が求められることが多いですが、学部によって難易度は異なります。
例えば、早稲田大学では、看板学部の政治経済学部の偏差値は約67.5~70.0ですが、教育学部では約62.5~67.5です。
慶應義塾大学では、医学部の偏差値が約76であるのに対し、看護医療学部は約65です。
上智大学の国際教養学部は偏差値が約75ですが、神学部の偏差値は59~62です。
東京理科大学でも、理学部応用数学科・数学科で偏差値約70ですが、夜間学部である理学部第二部は約50~54、工学部工業科学科は約55~57.5と、学部によって大きく差があることが分かります。
また、受験に必要な科目ごとの配点によっても、必要な学力レベルに差があるのも事実です。
例えば、早稲田大学と慶應義塾大学では、同じ学部でも入試科目が異なる場合があります。早稲田大学の法学部では必須科目の外国語と国語に加えて、社会か数学のいずれかを選択するのに対し、慶應義塾大学では外国語、地歴、小論文が受験科目で、外国語の配点割合が高いといった特徴があります。同じ学部を選択する場合、英語が得意であれば慶應義塾大学、社会や数学で高得点を取れる場合は早稲田大学の方が、合格の可能性が高くなることがあります。
また、入試方式によっても難易度は変わり、求められる学力も異なります。英語が得意であれば、英語外部試験スコアを利用する入試方式を活用できれば、合格に有利に働きます。しかし、英語が不得意な場合は共通テスト利用で外国語の配点が低く、国語や地歴・公民で得点を稼ぐことで合格の可能性を広げられる学部を選んだ方が有利になることがあります。
このように、早慶上理合格に必要な学力は、単純に偏差値のみでは測れません。目標としている学部の難易度を知り、自分の科目別の学力の強みに応じた入試方式を選ぶことが、合格の可能性を広げることにつながります。
早慶上理レベルの受験勉強では、過去問対策や模試の活用、専門塾での指導等が合格へのカギとなります。各大学の傾向を分析・予想し、頻出分野を重点的に学習する勉強法を取り入れることで、効率よく得点力を身に付け、偏差値を上げることができるでしょう。
併願受験する際のポイント
早慶上理を併願受験する際は、受験方式の違いや試験日程を考慮しながら出願しましょう。
早慶上理の一般入試は、2月上旬から下旬にかけて行われます。上智大学と東京理科大学は8日、早稲田大学・慶應義塾大学は12日に分けて、学部や学科ごとに異なる日程で試験が実施されます。志望学科によっては連日の入試になる可能性がありますが、できる限り疲労を軽減するために、1日おきの日程の試験を選ぶなど、効率的な組み合わせができるかどうかを調べておきましょう。
また、国公立大学と併願する場合は、共通テスト利用方式を活用するのがおすすめです。大学によっては8割以上の得点率が必要であったり、一般選抜よりも倍率が高かったりという大変な面も多いですが、大学独自の試験を受けなくてもよく、また、試験科目を減らせることなど試験による疲労を軽減できるメリットもあります。
総合型選抜や学校推薦型選抜に必要な評定のボーダーラインを満たす成績を高校で収められている場合は、これらの入試方式を選択することも可能です
このように、志望する大学、学部や学科とともに、日程や入試方式を確認し、できる範囲で無駄なく戦略的に出願することが、合格・逆転合格への可能性を広げるポイントになるでしょう。
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