2019年までの大学入試センター試験に代わって2021年から実施されている大学入学共通テストは、大学受験における重要な試験です。国公立大学志望の学生は必ず受験する必要がありますし、私立大学でも大学入学共通テストを利用した入試を導入する学校が増えています。
この記事では、国公立大学・私立大学別の大学入学共通テスト受験の必要性、2025年度の変更点、科目選択時の注意点を説明します。さらに、大学入学共通テストを受験するメリット・デメリットまでをわかりやすく解説していきます。
大学入学共通テストとは?
大学入学共通テストとは、国公立大・私立大の各大学が大学入試センターと協力して行う日本最大規模の試験です。
- ・大学入学志願者の基礎的な学習の達成度
- ・大学教育を受けるのに適する能力や意欲・適性
これらを評価・判定することを目的として、全国一斉に同一問題の試験を、毎年1月中旬の土日2日間にわたって実施しています。
試験の特徴と求められる能力
大学入学共通テストは「マークシート方式」の解答方法を採用しています。学校の定期テストのような記述式問題ではないため、マークミスによる失点を防ぐためにも模試などを活用してマークシートでの選択解答に慣れるとともに、出願大学選択時の自己採点のために、問題用紙(問題冊子)に自分の解答を記録しておく訓練が必要です。
※共通テストの成績は4月以降に希望者のみに通知されます。
すべて選択問題ですが、知識や解き方を丸暗記するだけで解くことができる試験問題は多くありません。現代社会や日常生活における課題を見つけて解決方法を考えるパターンが多く、長い設問文や選択肢の文章・グラフや地図から情報を分析して理解・探究する力が求められています。
国公立大学、私立大学別受験の必要性
大学受験をする上で、大学入学共通テストの必要性は以下のとおりです。
【国公立大学】
- ・一般選抜の第1次試験として用いられている
- ・学校推薦型選抜や総合型選抜で大学入学共通テストの受験を条件としている場合がある
【私立大学】
- ・大学入学共通テストの成績を用いて合否を決定する大学や学部がある
- ・「大学入学共通テスト利用入試」を導入している大学がある
- ・推薦入試や特別選抜入試などで大学入学共通テストの受験を条件としている場合がある
また、大きな災害などで受験ができない場合、大学入学共通テストを受験しておくことで特別措置を受けられることがあります。一般選抜入試前に受験の雰囲気に慣れるといった意味でも、受験生にとって必要な試験だと言えるでしょう。
私立大学受験の場合、単独型と併用型がある
私立大学が導入している「大学入学共通テスト利用入試」には、「単独型」と「併用型」があります。
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- 単独型:大学入学共通テストのみの成績で大学の合否が決まる
- 併用型:大学入学共通テストの成績とともに、大学独自の試験や課題による評価が必要
単独型の場合、大学入学共通テストを受験していれば、出願するだけで合否判定をもらえます。そのため、それぞれの大学へ行く時間や体力を使わずに、受験する大学を増やすことができます。
併用型の場合、共通テストの成績だけでは合否判断が行われません。そのため、仮に共通テストの成績がそぐわなくても、個別試験の結果次第で合格のチャンスを手にできる可能性があります。
大学入試の一般的な流れ
大学入試は、一般選抜・学校推薦型選抜・総合型選抜の3つに分類されます。そのうち、約半数の受験生が選択するのが一般選抜です。国公立大学の一般選抜は、共通テストと2次試験(大学別に行う独自の個別試験)の得点を合計して合否判定を行うのが一般的です。
【国公立大学の一般選抜の流れ】
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- 大学入学共通テストに出願
- (9月~10月頃)
↓
大学入学共通テスト受験 - (1月中旬)
↓
志望大学に願書提出 - (共通テストの1週間後から約10日間の間)
↓
2月下旬から行われる大学ごとの2次試験を受験
(前期日程・中期日程・後期日程)
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ほとんどの大学で、共通テスト終了後にどの大学に出願するのかを選択できますが、共通テストは国公立大学の1次試験の役割を担っています。もし志望大学の基準に点数が到達していない場合、2次試験の受験資格をもらえない、いわゆる「足切り」をされる可能性があります。足切りの基準には、「点数」と「倍率」の2種類があり、大学ごとに異なります。
例えば、筑波大学では社会・国際学群や理工学群では受験倍率が5倍、人間学群では4倍、医学群医学類では2.5倍が目安。お茶の水女子大学では、文教育学部・理学部・生活科学部で受験倍率6倍を目安に足切りを行うとされています。足切りは、出願締め切り後の志願者数が判明してから行われるため、通常は受験票が手元に届く段階で足切り対象となった旨の通知も行われます。この場合は2次試験の出願資格を失い、他の大学の前期日程の受験もできなくなるため注意が必要です。
足切りのラインを大学側は発表しないため、塾や予備校が公開している予想ラインを参考に、自己採点の結果と比較して出願大学を判断する必要があります。
私立大学の共通テスト利用入試を受験する場合は、共通テスト前に出願締め切りを設けている学校もあるため、出願時期を事前にチェックしておきましょう。
2025年度大学入学共通テストからの変更点
2022年度に始まった学習指導要領の新課程への移行に伴い、2025年度の大学入学共通テストから変更が行われます。具体的には、出題教科の追加、出題科目数の変更、出題形式の変更、さらに新たな得点調整方法の実施が予定されています。詳細は、大学入学共通テストの公式ホームページで公開されています。
※得点調整とは:受験者が異なる科目を選択した場合に、難易度の違いによって合計点に大きな差が出ないように配慮し、得点を調整すること
得点調整の対象科目は地理歴史の「地理総合・地理探究」「歴史総合・日本史探究」「歴史総合・世界史探究」「旧世界史B」「旧日本史B」「旧地理B」、理科の「物理」「化学」「生物」「地学」、さらに公民や数学、情報の科目間とされています。従来はこれらの科目間の平均点の点差が20点以上で実施されていた得点調整が、15点以上20点未満の場合にも調整対象となる判定基準が新設されています。
出題科目が全21科目に
大学入試センターは、2024年度(令和6年度)まで6教科30科目だった大学入学共通テストの出題科目を、2025年度(令和7年度)から7教科21科目へ更新することを公開しています。
【2025年度の出題教科・科目・選択方法・試験時間・配点について】
教科 | 科目 | 科目選択 | 試験解答時間(配点) |
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国語 | 国語 | 90分(200点) | |
地理歴史・公民 | 「地理総合・歴史総合・公共」 「地理総合・地理探究」 「歴史総合・日本史探究」 「歴史総合・世界史探究」 「公共・倫理」 「公共・政治経済」 | 6科目から最大2科目を選択 ※「地理総合・歴史総合・公共」は3つの出題範囲から2つを選択して解答 ※同一名称を含む科目の組み合わせでの2科目選択は不可 | ・1科目選択60分(100点) ・2科目選択120分(200点) |
数学 | 数学Ⅰ 数学Ⅰ・数学A | 2科目から1科目を選択 | 70分(100点) |
数学Ⅱ・数学B・数学C | ※数学B、数学Cは、 数列・統計的な推測・ベクトル・平面上の曲線と複素数平面の 4つの出題範囲から3つを選択して解答 | 70分(100点) | |
理科 | 「物理基礎・化学基礎 ・生物基礎・地学基礎」 「物理」 「化学」 「生物」 「地学」 | 5科目から最大2科目を選択 | ・1科目選択60分(100点) ・2科目選択120分(200点) |
外国語 | 英語 ドイツ語 フランス語 中国語 韓国語 | 5科目から1科目を選択 | ・英語 【リーディング】80分(100点) 【リスニング】30分(100点) ・英語以外 【筆記】80分(200点) |
情報 | 情報Ⅰ | 60分(100点) |
参考:大学入試センター「令和7年度大学入学者選抜に係る大学入学共通テスト出題教科・科目の出題方法等」
2025年から「情報」の教科が追加されるとともに、国語の試験時間が80分から90分に、数学②グループの試験時間が60分から70分に延長され、地理歴史・公民や理科のグループ分けをなくした科目選択の方法や、数学②グループの出題範囲の選択が変更になっています。
科目選択時の注意点
受験に必要な共通テストの科目数は大学や学部によって異なり、国公立大学では6教科8科目以上、私立大学では2~3教科としていることがほとんどです。
ここで注意したいのは、どの教科を選んでもいいわけではないということです。
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- ・数学Ⅰ
- ・英語以外の外国語
- ・物理基礎、化学基礎、生物基礎、地学基礎
- ・地理総合、歴史総合、公共
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これらの科目は、多くの国公立大学で評価科目として指定されていない場合があります。科目選択は2次試験の受験資格に直結するため、志望校が指定している科目を事前にしっかりとチェックしておくことが大切です。
また、地理歴史・公民、理科のうち2科目を受験し、そのうちの1科目のみを合否判定に利用する大学では、第一解答科目という制限を設けていることがあります。第一解答科目とは、最初に回答した科目を評価に用いるということ。2科目目の方が高得点でも、評価に反映しない場合があるため、得意な方を1科目目に解答するようにしましょう。
※第一解答科目があらかじめ指定されている場合もあるため、確認が必要です
2025年度の大学入学共通テスト日程
2025年度(令和7年度)の大学入学共通テストの日程は2025年1月18日(土)、19日(日)です。追試験、再試験の日程は1月25日・26日です。時間割については、2024年度(令和6年度)のものを参考に記載します。
1日目 | 地理歴史・公民 国語 外国語 |
2日目 | 理科① 数学① 数学② 理科② |
出願期間は前年2024年の9月中旬~10月中旬頃で、在学する学校を通して申し込みます。受験教科・科目の選択や、テストの成績通知を希望する場合は、出願時に届け出る必要があるため、出願期間前までに受験案内や公式ホームページを閲覧して確認しておきましょう。
大学入学共通テスト利用入試のメリットとデメリット
メリット~受験できる大学の選択肢が広がる~
大学入学共通テスト利用入試は、国公立大学志望の際の併願のしやすさや、私立大学の一般選抜とも併願できるなど、受験の選択肢を広げるために大変有効です。
特に、大学入学共通テスト「単独型」を取り入れている私立大学では、出願するだけで合否判定を受けられるため、実際に試験会場に足を運ぶ必要がありません。特に地方受験者の場合、宿泊費や交通費の負担を軽減しながら、複数の大学を受験することができます。
また、私立大学の一般選抜試験は大学ごとに受験料が設定され、30,000~35,000円程度かかります。大学入学共通テストは全国一律18,000円(3教科以上受験の場合)とされており、一般選抜試験よりも安く受験できる金銭的メリットも、大学入学共通テストのメリットと言えるでしょう。
デメリット~入試科目が多い、高倍率など~
国公立大学の第1次試験として大学入学共通テストを受験する場合、6教科8科目以上の幅広い勉強が必要です。私立大学志望の場合の大学入学共通テストの受験科目は国公立大学よりは少なく3教科~5教科ですが、一般選抜のみの場合と比べると、勉強が必要な科目数はどうしても多くなります。
また、大学入学共通テスト利用入試は、一般選抜試験よりも募集人数が少ない傾向にあります。特に単独型は手軽に受験できるため、少ない募集人数に対して多くの受験者が集まりやすく、倍率が高くなりやすいのが難点と言えます。一般選抜試験は多くが60~70%の得点を目指しますが、大学入学共通テスト利用ではさらに高得点を取らなければ、合格が難しくなります。大学入学共通テスト利用入試は受験のチャンスを広げる手段として考え、一般選抜入試のための対策も怠らないことが大切です。
大学入学共通テストは事前の準備が大切
2021年度から導入された大学入学共通テストは、2022年度、2023年度と全体的に難易度が上がっていると言われています。まずは早いうちに目指す大学をある程度絞り、志望大学の受験科目を調べて、勉強する科目や方向性を定めておきましょう。高3では過去問や予想問題集を活用して問題を解くことを繰り返し、塾や予備校で実施されている模擬試験(模試)も積極的に受験することをおすすめします。
大学入学共通テストは2025年度からいくつかの変更点が予定されており、不安に感じている人も多いと思います。科目の選択ミス防止や、出題傾向の分析などの早めの受験対策には、細かい情報収集が重要です。塾では受験のプロである先生による的確な情報収集から、試験の変更点に対応した、それぞれの受験生に合ったアドバイスやサポートが可能です。早めの準備を通して大学入学共通テストの得点アップを目指したい方は、塾を検討してもよいでしょう。
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