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- 自分の学力レベルや大学のレベル、志望大学の合格可能性を確認する時に「偏差値」という言葉を使う高校生は多いと思います。
- しかし、「偏差値」とは何なのかを正しく理解していないと、自分のレベルや志望校の受験対策を見誤ってしまうことがあります。自分に合った志望大学の選択や、偏差値アップのためには、「偏差値」の正しい意味や見方を知ることが大切です。そこで、この記事では、偏差値の大学受験における意味から活用方法について、わかりやすく解説します。
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偏差値とは何か?その意味と見方
- 偏差値は、「自分の得点が他の人と比べてどのくらいの位置にあるか」を示す数値です。具体的には以下のような意味があります。
- 【偏差値とは】
- ・試験の平均点を基準にした数値
- ・試験を受けた集団全体(母集団)の中での自分の位置づけを分かりやすくするもの
- ・通常25~75の値で表示される
- ・数値が高ければ成績が良い
- ・試験を受けた全員の平均点を「偏差値50」として、自分の点数が平均点とどのくらい違うかを数字で表します。
- 自分の点数が平均点と同じ場合⇒偏差値50
- 平均点より高い点数だった場合⇒偏差値は50より上
- 平均点より低い点数だった場合⇒偏差値は50より下
- このように偏差値とは、試験を受けた全員の中での、自分の位置を確認できる指標です。
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なぜ偏差値を使うのか
- 点数や順位だけでは、他の受験者と自分のレベルを正しく比べるのが難しいからです。
- 例えば、模擬試験やテストは毎回難易度が違い、平均点や得点のばらつきも変わりますし、受験する人数自体も異なります。
- 平均点の違い
- 100点満点のテストで80点だった場合
- ・平均60点なら平均より20点高い⇒良い成績
- ・平均90点なら平均より10点低い⇒良い成績とは言えない
- 得点のばらつき
- 平均60点のテストで80点だった場合
- ・得点のばらつきが小さい(全員の点数が60点近くに集まっている)⇒良い成績
- ・得点のばらつきが大きい(90点や100点の人もいるが、0点や10点の人もいる。
- 平均点は低くても自分より高い点数の人が多い可能性がある)⇒良い成績とは言えない
- 受験者数の違い
- 同じ順位であっても、受験者が少ない模試では上位、多い試験では下位と、模試を受けた人数によってその順位の意味するところは変わります。
- これでは、自分の成績が良いか悪いのか、自分が受験者の中でどのくらいのレベルなのかを正確に評価することはできません。
- 偏差値であれば、受験者数、平均点、得点のばらつきを考慮して導き出されるため、点数や順位だけでは判断が難しい成績の変動を、相対的に正しく評価できるのです。
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偏差値の計算方法
- 偏差値=(個人の得点-平均点)÷標準偏差×10+50
- ※標準偏差:受験者の人数や全員の得点、平均点に加えて、得点のばらつきを数値化したもの。一人ひとりの点数と平均点の差である「偏差」を2乗した数字をすべて足して総人数で割り、その平方根を取ることで導き出される数字。100点満点のテストでは15~20程度で表される。
- 自分で計算することもできますが、偏差値の計算には全受験者の得点から割り出した詳細なデータが必要になるので、模試などの成績表で確認することをおすすめします。
- 多くの試験での得点は、平均点近くの点数の人数が最も多く、平均点から離れるほど人数が少なくなる「正規分布」の形になるのが一般的です。受験者数が極端に少なかったり、テスト難易度が高すぎたり、簡単すぎたり、あるいは一部の生徒が極端に高得点や低得点を取ったりなどのイレギュラーケースを除き、偏差値によって自分が最上位からどのくらいの位置にいるかを、次のようなおおまかな割合で求めることができます。
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偏差値 最上位からの割合 80 0.13% 75 0.62% 70 2.28% 65 6.68% 60 15.87% 55 30.85% 50 50% 45 69.15% 40 84.13% 30 97.72%
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偏差値50は平均点を意味するので、最上位から50%の位置、受験者が1,000人なら半分の500人目前後だと想定できます。偏差値70の場合は最上位から22.8人目前後、偏差値30なら977.2人目前後というように、受験者全員の中の自分の位置に見当を付けることが可能です。
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偏差値の種類
- 模試やテストの種類によって、偏差値の意味するところは異なります。大学受験を控える学生に関係の深い、3つの偏差値について違いを見てみましょう。
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全国模試での偏差値
- 全国模試とは、日本全国の受験生を対象に実施される模擬試験のことです。
- ・予備校が主催
- ・受験者数がもっとも多い(母集団が大きい)
- ・大学受験を控える学生全体の中での自分の立ち位置を確認できる
- もっともスタンダードな偏差値と言えますが、大学ごとの特徴や出題傾向までは反映されません。全国模試での偏差値が志望大学の偏差値より高い場合でも、志望校合格率が高いとは言い切れないことに注意が必要です。
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大学別模試での偏差値
- 大学別模試とは、大学ごとの特徴や出題傾向に合わせて作成された模擬試験です。
- ・志望者のみが受験
- ・主に難関大学向けの大学別模試が実施されている
- ・すべての大学に対応しているわけではない
- ・同じ大学を志望するライバルの中での自分の立ち位置を確認できる
- 全国模試が全受験生を対象にしているのに対して、実際にその大学を受験したいと考えている、受験予定の学生が受ける模試です。そのため、大学別模試の偏差値は志望大学の合格率をより反映したものになります。
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高校の定期テストでの偏差値
- 高校の定期テストの偏差値は、学校が独自に算出しているものです。
- ・学校が生徒の評価や指導のために用いる
- ・高校内での自分のレベルや順位が分かる
- 多くの学校からさまざまなレベルの生徒が受験する全国模試や大学別模試と異なり、定期テストの母集団はその高校の生徒に限られます。また、定期テストと模試では、難易度が違うということもあり、仮に高校の定期テストでの偏差値が高くても、全国模試や大学別模試の成績に反映されないことがあります。
- ※高校の定期テストの偏差値のみを志望校大学選択の基準にするのはおすすめしません。必ず全国模試や大学別模試を受験して、「大学受験を目指す学生の中での自分の位置」を知ることが重要です。
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偏差値を活用するメリットとデメリット
- 自分の偏差値と志望大学の偏差値を比べることで、大学合格の確率がどの程度かを判断することができます。自分の学力レベルに合わせて、場合によっては合格可能性の低い大学を選り分けて、安全に冷静に受験先を選べるのが、偏差値を活用するメリットです。
- その一方、偏差値は模試やテストによって変動します。全国模試や高校の定期テストでの偏差値が50以上ある人でも、難関校を目指す人ばかりが受験する模試では40だった、ということも決して珍しくはありません。そのため、自分の志望大学の試験内容を加味した模試を受けて偏差値を評価しないと、正確な選択が難しいこともあります。
- また、偏差値だけに気を取られてしまって、必要以上に自信を失ってしまうことがあるのもデメリットと言えます。偏差値が下がることで、自分の価値まで下がるように感じたり、受験に対しての不安が増したりしてしまうと、受験勉強の妨げになってしまうことがあるのです。
- 偏差値を活用する際は、数値を見て一喜一憂するのではなく、冷静に数値の変化の原因を突き止めて、今自分ができる学習に役立てるという意識が大切です。
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大学受験での偏差値の基準
- 大学の偏差値は、河合塾などの大手予備校や進学塾、模試の作成を担っている出版社などが、さまざまな模試のデータをもとに、個別に大学のレベルを評価するために作成しています。
- 過去の模試を受験した学生に志望大学の合否をヒアリングしたり、その模試での偏差値と合否の相関を調べたりするなどして、独自に算出し、公表しているのです。そのため、同じ大学や学部でも、予備校や塾によって数値が異なることがあります。
- 例として、河合塾とベネッセの模試での大学別偏差値を比べてみます。
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河合塾 ベネッセ 慶應大学文学部 65 79 慶應大学法学部 67.5 79 明治大学文学部 57.5~65 71 明治大学理工学部 55~62.5 65 - このように、調査媒体によって偏差値データには大きな違いがあることを知っておきましょう。
- また、大学偏差値は、学生のレベル・試験科目数や試験回数・学部の統合など、さまざまな要因によって常に変化します。大学の偏差値はあくまでひとつの目安として活用することをおすすめします。
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偏差値に基づく志望大学選びのポイント
- 偏差値は、同じ大学を志望する他のライバルたちと自分の学力の差を測ることに使えます。しかし、偏差値だけで大学を選ぶのは不十分です。志望大学合格のために必要な偏差値の目安を知るとともに、自分の学力レベルだけでなく、大学の雰囲気や教育方針、勉強したい内容を重視するなど、偏差値以外のポイントも押さえた上で志望大学を選びましょう。
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志望大学合格のために必要な偏差値の目安
- 志望大学の評価偏差値は、以下のような意味を示しています。
- 偏差値60:偏差値60以上の受験生が50%の確率で合格する
- このように、「偏差値60以上の受験生が必ず合格する」「偏差値60以下の受験生は絶対に合格できない」というボーダーラインを表す数値ではない、ということに注意が必要です。
- この合格確率50%をA~EのCとして、受験者の学力がどのレベルなのかを分かりやすく示すのが志望校判定です。
- 【志望校判定と大学合格率】
- A判定:80%
- B判定:65%
- C判定:50%
- D判定:35%
- E判定:20%未満
- 大学の偏差値と自分の偏差値が同じ場合はC判定、自分の偏差値が大学の偏差値よりも5以上高い場合はA判定とされるのが一般的です。例えば、偏差値60の大学を志望している場合、自分の偏差値が65以上であればA判定がもらえます。A判定であれば大学合格率が高く、志望大学の試験に対応できるレベルの学力が身に付いていると想定でき、安心できるひとつの目安になります。とはいえ、B判定、C判定だったら合格は不可能ということではありません。偏差値や判定はあくまで目安として考え、今後の学習に役立てることが大切です。
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「偏差値が高い=良い大学」というわけではない
- 偏差値が高い大学を目指すことは悪いことではありませんが、偏差値が高いことと、その大学が「良い大学」であるということは必ずしも一緒ではありません。偏差値はあくまで大学入学基準を満たす学力があるかどうかを見極めるための目安です。大学自体の魅力や、自分に合った学習内容を提供している大学かどうかは、偏差値だけでは分かりません。
- 志望校を選ぶ時は、自分がやりたいことやどんな大学生活を送りたいかを考えることが重要です。
- ものづくりについて学びたい:工業大
- 芸術に興味がある:芸大
- 医者になりたい:医科大
- 社会問題について学びたい:社会学部や人文学部がある大学
- 外国語について学びたい:外国語学科のある大学
- このように、学力以外の特色や、学べる事柄、教育カリキュラムなどが自分の希望に沿っているかを調べ、自分が行きたいと思える大学を選びましょう。また、国公立大学にするか、私立大学にするかで経済的な負担も変わってきます。
- 学力レベルの目安として偏差値を活用しながら、同時に自分の好みや個性を活かせる大学や学部を見つけることが、実りある大学生活につながります。
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大学合格確率を上げるための偏差値活用術
- 偏差値は、自分の学力の測定や評価に役立ちます。志望大学に合った模試を受験することで、ライバルの中での自分の立ち位置を知り、冷静にその後の勉強の対策を立てることができます。
- 例えば、模試の偏差値が前回よりも下がった場合、「得意分野が多く出題された前回は得点が高かったけれど、今回は苦手分野ばかりで得点が伸びなかった」と分析できれば、今後学習に力を入れるべき分野が明らかになります。また、偏差値が横ばいだったとしても、模試の難易度が上がっている、周りの学生の成績が上がっていると分析できれば、それまでの勉強法でしっかりと学力を身に付けられていると評価できます。
- 偏差値の変動だけに一喜一憂せず、模擬試験の後は成績表の分析結果をすみずみまで読み込み、自分の強みや弱みを確認するようにしましょう。得意分野は今まで通り、苦手分野は足りない部分を強化しながら、点数アップに役立てる目安として偏差値を活用しましょう。
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私立大学と国公立大学の偏差値の違い
- 私立大学と国公立大学では、同じ偏差値であっても、対策の難易度が異なる場合があります。
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国公立大学 私立大学 受験科目が多い 受験科目が少ない - 共通試験6~8科目と二次試験2~4科目 - 独自の試験のみ3~4科目 併願不可 併願可能 受験者数が限られる 受験者数は多くなりがち 共通テストを受けた学生が受験 どんなレベルの学生でも受験できる 学力レベルがある程度限定される - このように、国公立大学と私立大学では、科目数や受験者数、受験者の学力レベルに違いがあります。国立大学受験を目指す、一定レベルの学力がある学生を母集団として算出される偏差値60と、受験生の学力レベルにばらつきの出やすい私立大学の偏差値60とでは、国公立大学の偏差値60の方が難易度は高いと言えます。
- しかし、有名私立大学の場合、難関国公立大学の併願として学力レベルの高い学生が受験することが多いため、難易度は上がる傾向にありますし、学部によっても難易度はさまざまです。
- 例えば、大学ごとの学部別偏差値一覧を見ると、私立では早稲田大学は政治経済学部が偏差値80を超えるのに対し、国際教養学部や教育学部は75前後。関西学院大学は総合政策学部の偏差値が55程度であるのに対し、国際学部は65~70となっています。国公立大学では、神戸大学の法学部や医学部は偏差値70を超えるのに対し、海洋政策科学部は60前後など、学部によって偏差値は大きく変わります。
- 単に大学を偏差値だけで判断するのではなく、自分が志望する大学の受験者数や受験者のレベル、学部を考慮した偏差値の見方が重要です。
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偏差値アップ勉強法
- 偏差値は、全科目を合わせたもののほか、科目ごとにも算出されます。
- 地道な勉強による苦手科目の克服と、点数のムラをなくすことが、効率的な偏差値アップの方法です。
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苦手科目の克服
- 偏差値を上げたい場合は、苦手科目の克服が一番の近道です。得意科目の元から高い偏差値をさらに上げるよりも、苦手科目の低い偏差値を上げるほうが簡単だからです。
- 得意科目はもともと理解している内容が多く、正答率も高いため、小さなミスを潰していくだけでは点数が上がりにくくなります。さらなる点数アップを目指すには、より難しい応用や発展問題を解けるようになる必要があります。
- 一方、苦手科目の場合、そもそも勉強できていないことによる理解不足、知識不足が原因で点数が伸びない場合が多いのです。模試の結果を見直し、弱みを見つけて重点的に学習することで、自然と点数とともに偏差値が上がりやすくなります。
- まずはどの科目のどの分野が苦手なのか、模試の結果を読み込んで知ることから始めましょう。苦手分野の不足部分を補うために、基礎からじっくりと学び直すといった地道な取り組みが、偏差値アップに役立ちます。
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点数のムラをなくす
- 一部の科目や問題で高得点を取れていても、他で低得点を取ってしまうと全体の平均点は下がります。点数のムラをなくし全体の得点を安定させることで総得点が高くなり、自然と偏差値も上がりやすくなります。
- 点数のムラがあるということは、特定の科目や問題に弱点があるということです。苦手科目克服の対策を講じることで、全体的な得点の底上げができるでしょう。
- 点数のムラが大きい、すなわち得点を取りにくい科目があるという状況は、精神的なプレッシャーにもつながります。試験のたびに結果がそぐわなかった科目の点数が安定してくれば、自信を持って試験に臨みやすくなります。
- 自分の弱みを補うための学習方法を見つけて取り組むことで、自信やモチベーションを維持し、点数のムラをなくし、偏差値アップにつなげていくことができるでしょう。
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