【東京都立高校入試】最新情報で対策!高校受験の仕組みと合格のためのポイントとは

中学校生活の集大成とも言える高校受験は、男子・女子を問わず、多くの生徒にとって人生で初めての大きな試練です。「都立高校入試ってどんな内容?」「実際の応募倍率はどれくらい?」「いつから、どのような準備を始めるべき?」と、さまざまな不安や疑問を抱えている受験生も少なくないでしょう。受験への漠然とした不安を解消し、自信を持って試験本番を迎えるためには、まず入試制度について正しく理解し、計画的に準備することが不可欠です。

そこで、この記事では、東京都立高校入試に関する最新情報を詳しく解説していきます。具体的な内容としては、入試の実施時期、出願から合格発表までの流れ、各教科の試験内容や配点、内申点の重要性、出題傾向の分析、そして志望校選択のコツまで、受験に必要な情報を網羅的にご紹介します。都立高校入試に向けて万全な準備を整えるために、ぜひ本記事をお役立てください。

東京都立高校入試の実施時期

高校入試の実施時期

東京都立高等学校の入試の選抜方法は、主に「推薦に基づく選抜」と「学力検査に基づく選抜」の2つに分けられます。推薦においては「一般推薦」「文化・スポーツ等特別推薦」「理数等特別推薦」を実施する高校、学力検査においては一次募集・二次募集を実施しています。

令和7年度(2025年度)の東京都立高校の入試時期は以下の通りです。

推薦に基づく選抜学力検査に基づく選抜
(一次募集及び分割前期募集)
志願者情報等12/20(金)~1/16(木)12/20(金)~2/5(水)
入力期間
出願受付期間1/9日(木)~1/16(木)1/30(木)~2/5(水)
※取り下げ2/2(水)
※再出願2/13(木)
実施日1/26(日)・27(月)2/21(金)
合格発表日1/31(金)3/3(月)

なお、二次募集は、一次募集で定員に満たなかった高校で実施され、出願受付は一次募集の合格発表後、3月6日から開始されます。学力検査は3月11日に実施され、合格発表は3月14日に行われます。

 

東京都立高校入試の流れ

令和7年度の都立高校全日制課程における募集人員は、前年度から320人減少し、40,315人(男女合同。うち推薦入学の定員9,407人)となる見込みです。都立高校は学区制が撤廃されたため、東京都内在住であればどの都立高校でも受験することが可能です。
志望校が定まったら、以下の手順で都立高校入試に向けて準備を進めていきましょう。

1. 入試日程の確認(5~6月)
2. 募集人員・試験方法等の入試情報の確認(10月頃)
3. 志願者情報の入力を開始(12月)
4. 受験料支払い
5. 受験票をダウンロード
6. 入試本番
7. 合格発表

東京都教育委員会の公式サイトでは、5~6月頃に入試日程が、10月頃には募集人員をはじめとする入試関連情報が公開されます。12月に志願者情報の入力が開始されるので、志望する都立高校の出願サイトに登録し、必要な情報を入力後、中学校の承認を経て受験料を支払います。支払いが済むと、中学校から高校に出願書類が送付されます。受験票は出願サイトからダウンロードできるため、忘れずに印刷し、試験当日、必ず持参するようにしましょう。

 

東京都立高校入試の時間割

一般入試の一次募集における学力検査は、午前8時30分に試験会場に集合した後、50分間の5教科の試験を、休憩や昼食を挟みながら、午後3時頃までかけて行います。

令和6年度(2024年度)の試験時間割は以下の通りです。例年、時間割はほぼ同じであるため令和7年度も同様と予想されます。

教科時間開始~終了時刻
集合
1時限目国語50分9時~9時50分
2時限目数学50分10時10分~11時
3時限目英語50分 *111時20分~12時10分
昼食60分
4時限目社会50分13時10分~14時
5時限目理科50分14時20分~15時10分

*1:最初の10分程度はリスニングテスト

学力検査が3教科で実施される場合や、実技検査や個人面接などがある場合は、各高校から受験生に対して集合時間や時間割が通知されることになっています。
合否の結果については、東京都教育委員会と各都立高校の公式サイトで発表されます。

 

東京都立高校の入試科目と配点

学力検査に基づく入試では、多くの高校で、国語、数学、英語、社会、理科の主要5教科が採用されています。学力検査の得点は1教科100点の合計500点満点となります。
ただし、芸術や体育に関する専門学科では、実技検査が重視されるため、学力検査が国語、数学、英語の3教科の300点満点となる場合があります。いずれの場合でも、学力検査と調査書の得点を、各高校が定める比率で計算した後、必要に応じて面接、自己PR、小論文や作文、実技検査などの得点を合算し、最終的な総合得点が算出されます。

内申点の算出方法や、その他の試験の配点については、次の章で詳しく解説します。

 

東京都立高校入試の内申点の仕組み

東京都立高校入試において、調査書に記載される内申点は、中3の1学期から2学期までの成績が評価対象となります。
学力検査が国語・数学・英語・理科・社会の5教科で実施される場合、これら主要5教科の評定は1倍で計算されます。その他の、音楽・美術・保健体育・技術・家庭科の実技4教科の評定は2倍で計算され、合計65点満点となります。もし学力検査が国語・数学・英語の3教科で実施される場合は、実技教科が6教科となり合計75点が満点です。

具体例で考えてみましょう。学力検査が5教科で、各教科の評定が以下だったと仮定します。

国語数学英語理科社会音楽美術保健体育技術家庭科
433454534

この場合の内申点は以下のように計算されます。
(4+3+3+4+5)×1 + (4+5+3+4)×2 = 51
したがって、65点満点中51点の内申点となります。

 

東京都立高校入試の内申点の影響度と合否の判断基準について

高校入試の合格祈願

東京都立高校入試では、推薦入試・一般入試ともに、内申点が合否に大きく影響します。この章では、調査書に記載される内申点に加えて、その他の試験における配点や比率についても詳しく見ていきます。

 

推薦入試の場合

推薦入試における入学者選抜は、調査書点・個人面接・集団討論・小論文または作文・実技検査の各点数を合計した成績をもとに決定されます。高校によっては、学校が独自に定める検査が追加で実施される場合もあります。

推薦入試の得点配分と比率【例】

調査書点個人面接小論文満点
集団討論作文
日比谷450200250900
(一般推薦)50.00%22.20%27.70%
雪谷300100200600
(文化・スポーツ推薦)50%16.60%33.30%
西360240300900
(一般推薦)40%26.60%33.30%
豊島5002003001000
(文化・スポーツ推薦)50%20%30%

参照:2025年度入試実施方法一覧

美術・体育などの学科コースがある高校の推薦入試の得点配分と比率【例】

調査書点個人面接小論文・作文実技満点
総合芸術500100なし7001300
(美術)38.40%7.60%53.80%
駒場27090906001050
(保健体育)25.70%8.50%8.50%57.10%
立川500502002501000
(総合理数)50%5%20%25%

参照:2025年度入試実施方法一覧

調査書点の割合は総合得点の50%以内とするルールがあり、どの高校でも50%を下回っています。中には調査書の点数よりも、実技試験や小論文の点数を重視する高校もあるため、志望校の配点については早めに確認しておくようにしましょう。

 

一般入試の場合

一般入試では、学力検査の得点、調査書点、そしてスピーキングテストの結果を点数化したものを合算して、合格者を選抜します。ただし、小論文や作文、実技検査などを実施する学校では、これらの得点も加味して総合成績が評価されます。

学力検査の得点と調査書点の比率は、第一次募集・分割前期募集では原則「7:3」で計算されます。学力検査が3教科の場合や、第二次募集・分割後期募集では「6:4」となります。
学力検査の得点と調査書点の合計は1,000点満点とし、ここにスピーキングテストの結果を点数化した20点を加え、1,020点満点で評価するのが一般的です。

【学力検査の得点と調査書点が7:3の場合】

学力検査の得点調査書点スピーキングテスト結果総合得点
※500点満点※65点満点
700点に換算300点に換算20点1020点

【学力検査:400点、調査書:50点、スピーキングテスト:評価B(16点)の場合】
・学力検査:700点に換算すると560点
・調査書:300点に換算すると230点
・総合得点:560+230+16=806点

総合得点の3割を占める調査書点が、総合得点に大きく影響します。例えば、調査書点が50点から55点に上昇した場合、300点満点換算で230点が253点に増加します。この23点差を学力検査の得点に換算すると約16点に相当し、学力検査のミスを内申点でカバーできる可能性があるということが分かります。
中学校の定期テストで高得点を取る、授業や課題に真摯に取り組むなど、内申点の向上を優先的に考えることが受験の成否に直結するのです。

高校受験の内申点について、さらに詳しい情報を知りたい場合は、「【高校受験】内申点とは?計算方法・評価基準・成績を上げる方法を徹底解説」を参考にしてみてください。

 

英語スピーキングテスト(ESAT-J)とは

東京都立高校入試では、中学3年生を対象とした中学校英語スピーキングテストの結果を、合否判定の資料として活用しています。スピーキングテストは11月に実施され、AからFの6段階で評価されます。
中学校はスピーキングテストの結果を調査書に記載して都立高校に提出します。都立高校側は、提出された6段階の評価を点数化し、総合得点に加算します。

スピーキングテスト結果ABCDEF
点数20点16点12点8点4点0点

2023年度(令和5年度)のテストの結果は以下のとおりです。

評価得点テスト結果分布
A100~8025.3%
B79~6529.2%
C64~5026.0%
D49~3511.9%
E34~16.5%
F01.1%

参照:東京都教育委員会令和5年度中学校英語スピーキングテストの実施状況について

評価C以上の生徒が8割を占めており、12点から20点の加点を得ています。
スピーキングテストを受験しなかった場合、英語の学力検査の得点が同程度、または近い生徒のスピーキングテストの得点の平均点が、未受験者の仮の得点として付与されます。

このように、スピーキングテスト(未受験の場合は英語の学力検査)の結果は、一般入試の総合得点にも大きな影響を与えるため、日頃から英語学習に力を入れるとともに、英語でのコミュニケーション能力を高めておくことが大切です。

 

東京都立高校の中で難関校は?

東京都立高校の中で、特に難関校とみなされる高校は、「進学指導重点校」「進学指導特別推進校」「進学指導推進校」の3つのグループに分類されます。

<進学指導重点校>
日比谷・西・国立・八王子東・戸山・青山・立川

<進学指導特別推進校>
小山台・駒場・新宿・町田・国分寺・国際・小松川

<進学指導推進校>
三田・豊多摩・竹早・北園・墨田川・城東・武蔵野北・小金井北・江北・江戸川・日野台・調布北・多摩化学技術・上野・昭和

以上の合計29校が難関校と定められています。

 

進学指導重点校のメリット

進学指導重点校とは、その名称の通り、大学進学指導に力を入れている高校のことです。大学進学に向けたサポート体制が充実していて、まるで大学受験専門のスクールのような手厚い指導を受けられる点が魅力です。生徒の学習意欲を推進する環境も整っており、難関大学や有名大学の合格実績が豊富です。
また、伝統校が多いことから、様々な業界で活躍している卒業生、OB・OGとの繋がりが強く、地域からの信頼も厚いことから、進路選択において貴重なアドバイスや情報提供を受ける機会に恵まれています。
さらに、目標意識の高い生徒が集まるため、切磋琢磨しながら互いを高め合える、学習効果の高い環境であることも大きな魅力です。

 

自校作成問題について

一部の難関校では、特定の教科において、都立高校共通の問題ではなく、独自に作成した問題(自校作成問題)を使用しています。
※自校作成問題を使用しない教科については都立高校共通の問題を使用

<国語・数学・英語の問題を自校で作成する高校>
日比谷・戸山・青山・西・八王子東・立川・国立・新宿・墨田川・国分寺

<英語の問題を自校で作成する高校>
国際

これらの高校を受験する際には、高校ごとの特色や出題傾向に合わせた入試対策が必須となります。特に国語と英語においては、都立高校共通問題よりも長文読解問題の分量が多くなる傾向があり、試験時間が不足する可能性も考慮し、早めの準備と対策を心がけましょう。

 

東京都立高校入試の出題傾向

英語数学国語理科社会の入試問題の出題傾向

ここからは、都立高校入試での入試問題の出題傾向を科目別に見ていきましょう。

 

英語

都立高校の英語の入試問題では、約650語におよぶ長文と、その問題数の多さが特徴です。読解問題では、長文の内容と一致する文章を完成させる、言い換え表現を考える、人物の気持ちや理由を説明する、といった能力が求められます。また、英語の質問に英語で答える問題も出題されるため、長文を素早く正確に理解する力と、英語での表現力が不可欠です。出題形式は例年ほぼ同じであるため、過去問を積極的に活用し、長文読解のスピードと正確性を高める訓練を重ねておきましょう。
また、「メールの返事を書く」といった、内容を自分で考えて英文で表現する問題も出題されます。日ごろから、自分の意見や理由を正しい英文法を駆使して表現する練習をしておきましょう。

 

数学

都立高校の数学の入試問題では、数と式・関数・図形・データの活用の4分野から、基本的な知識を応用して解く問題が出題されます。また、式や図形の証明問題も出題されています。基礎的な問題が得点の半分程度を占めているため、教科書レベルの問題は確実に解けるように問題演習を繰り返しておきましょう。
図形問題では、線分の長さ・面積・体積に関する問題が例年出題されているため、過去問を分析し、解法をしっかりと身につけておく必要があります。証明問題では、基本的な図形の性質を理解していることに加え、問題文で示された条件を正確に読み取り、図を丁寧に描く力、そして出題者が納得できるような記述力が求められます。合同や相似、角度の関係など、頻出証明問題を繰り返し解いて、解法のパターンを習得することが大切です。

 

国語

都立高校の国語の入試問題では、漢字の読み書きや文法などの基礎知識に加え、3800字程度の説明的文章や小説の読解問題が出題されます。長い文章を短時間で読み進める速読力と、文章全体を正確に理解する読解力が同時に求められることから、日ごろから文章を読むことに慣れ親しんでおくことが重要です。
また、例年200字程度の作文問題が出題されます。文章の内容を踏まえ、設問意図に沿った記述力が必要になります。さらに、複数の異なるジャンルや視点が混ざっている文章を読み解く「融合文」と呼ばれる問題も出題されています。過去問や類似問題を解くことで、ジャンルごとの読み方のコツを掴み、問題に慣れておきましょう。

 

理科

都立高校の理科の入試問題は、地学・生物・化学・物理と幅広い分野から出題されます。基礎知識で得点できる問題が4割程度を占めるため、各分野の基礎をしっかりと押さえておくことが大切です。
物理では電気回路や電力・熱量・物体の運動、化学では中和とイオン・電池、生物では消化吸収や遺伝、地学では地層や岩石・太陽の日周運動に関する出題が多く見られます。
全体的に問題文が長いという特徴があります。各分野まんべんなく出題されているため、バランスよく学習し、苦手分野を放置せず克服しておくことが重要です。

 

社会

都立高校の社会の入試問題は、地理・歴史・公民の各分野からまんべんなく出題され、どの分野においても資料や図を読み解く問題が多いことが特徴です。
地理では、地形図の読解・自然環境・産業・貿易に関する問題が、歴史では、古代・中世・近世に関する問題が、公民では、政治・経済・人権・地球社会に関する問題が幅広く出題されます。基礎知識に加え、資料を正確かつ迅速に読み解く力が求められます。
歴史分野では、出来事の順序を問う問題が例年出題されています。出来事や物事を単独で覚えるだけでなく、歴史の流れとして理解するように心がけましょう。

勉強の効率を上げる方法については、「勉強の効率を上げる自宅学習法6選」で詳しく解説しています。

 

私立併願は必要?選び方のポイント

第一志望を都立高校や公立高校に定めている場合でも、私立高校を併願しておくほうが望ましいでしょう。
私立高校の入試は、都立高校入試よりも先に実施されるため、本番の試験を事前に体験することで、都立高校入試本番で落ち着いて試験に臨むことができます。また、事前に私立高校の合格を得ておけば、心理的な余裕が生まれ、本番の試験で実力を最大限に発揮することにも繋がるでしょう。

併願する私立高校を選ぶ際には、自分が「行きたい」と思える学校を選ぶことが大切です。第一志望の都立高校と偏差値が近い私立高校に合格できれば、自信にもつながります。また、自宅からの距離、部活動、学校の雰囲気が自分に合っているかなど、第一志望校と比べても魅力的な点がある学校を選んでおけば、都立高校入試後の選択肢を広げることにもつながります。

私立高校の併願は、都立高校入試に良い影響をもたらすことが多いため、積極的に活用することをおすすめします。

 

  • 映画『ビリギャル』でおなじみの個別指導塾!坪田塾とは

    坪田塾は中学校1年生~高校3年生、高卒生(浪人生)を対象にした個別学習塾・予備校です。首都圏(東京・埼玉・千葉)、名古屋、大阪、兵庫に22校舎、日本全国に指導を提供するオンライン校を加えて全23校舎を展開しています。

  • 坪田塾では、学力や学校のスケジュールに合わせて勉強できる個別プログラムに加え、9つの性格タイプに合わせた教育心理学に基づく指導によって、子ども一人ひとりを支えて寄り添う、「子」別指導に力を入れています。

  • この科学的に証明された学習法により、多くの受験生の偏差値を短期間で大きく上げて、難関校合格へと導いています。料金も1時間1,530円~と、通いやすい料金体系です。
    「ビリギャル」のモデルにもなった塾に興味がある方は、ぜひ無料体験授業を受講してみてください。
  •  
  • ◆坪田塾の校舎一覧はこちら
    ◆坪田塾オンラインコースはこちら