学校推薦型選抜(公募制推薦,指定校推薦)とは?一般選抜や総合型選抜との違いについても解説(2024年最新)

学校推薦型選抜は、出身高等学校の推薦を条件として出願できる入試方法です。2021年(令和3年)までは推薦入試と呼ばれていました。文部科学省「令和5年度国公立私立大学入学者選抜実施状況」によると、私立大受験者の約4割が学校推薦型選抜で入学を決めています。受験生にとってこの選抜方法は、一般選抜より早く合否を決められるチャンスがあると言えますが、出願するには大学ごとの条件をクリアする必要があります。そのため、定期テストなども含めた早期の対策が重要となります。

本記事では、学校推薦型選抜の基礎知識、選考方法・評価基準から対策まで、受験生に必要な情報を幅広く解説します。

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目次(クリックで開閉)

・学校推薦型選抜(旧推薦入試)とは
 ┗公募制推薦と指定校推薦
 ┗国公立大学における学校推薦型選抜
 ┗私立大学における学校推薦型選抜
 ┗対象者となる生徒の条件
・学校推薦型選抜(旧推薦入試)と一般選抜の違い
・学校推薦型選抜
・一般選抜
・学校推薦型選抜(旧推薦入試)と一般選抜の違い
・学校推薦型選抜(旧推薦入試)と総合型選抜(旧AO入試)の違い
・学校推薦型選抜(旧推薦入試)の選考方法と評価基準
・学校推薦型選抜(旧推薦入試)を受けるための対策
 ┗準備開始は早めに
 ┗書類や試験対策が必要
 ┗落ちてしまったらどうする?

  

学校推薦型選抜(旧推薦入試)とは

推薦入試の面接を受けている高校生

 

大学入試には、学校推薦型選抜、総合型選抜、一般選抜の3つの方法があります。
一般選抜が学科試験の成績を重視する入試であるのに対し、学校推薦型選抜と総合型選抜は多方面から学生を評価して選抜する入試方式です。
文部科学省の調査によると、令和5年度の大学入学者の選抜割合は以下の通りです。

参照:文部科学省「令和5年度国公私立大学入学者選抜実施状況」をもとに作成

 

国立・公立・私立大学によって差はありますが、一般選抜だけでなく学校推薦型選抜による入学者も少なくないことがグラフから見てとれます。これからの大学受験では、学校推薦型選抜も視野に入れて受験勉強を進めることで、大学入学の可能性を広げることができるでしょう。

学校推薦型選抜の最大の特徴は、在学している、または在籍していた高等学校の学校長の推薦があって初めて出願できるということです。高校での学習成績が優秀で、様々な分野で活躍し、大学や学部が指定した出願条件をクリアしている生徒が推薦を受けることができます。

 

公募制推薦と指定校推薦

学校推薦型選抜は、公募制(自己推薦)と、指定校制の2つに分けられます。

公募制

公募制推薦は、大学が指定する出願条件をクリアし、学校長の推薦があれば、全国のすべての高校生が出願できます。大学が定めた卒業時期に該当すれば、浪人生も受験可能です。
公募制推薦はさらに2つに分かれます。

・公募制一般選抜:主に学校の成績を出願条件とする
・公募制特別推薦選抜:スポーツや文化活動での活躍を出願条件とする

公募制一般選抜は、大学が定めた出願資格をクリアできる成績を収めていることを条件としています。一方、公募制特別推薦選抜は、内申書の平均が一定基準に達していなくても、大会やコンテストでの入賞経験、資格や検定の級やスコア、社会貢献での成果があれば出願できる場合があります。
私立大学は6月下旬、国公立大学は7月下旬頃から募集要項が公開され、11月から出願、選考が行われ、合否発表は12月頃です。
なお、公募推薦は倍率によって不合格になる可能性があります。

指定校制

指定校推薦は、大学から指定された高校の生徒のみが利用できる推薦制度です。指定校推薦を行っている大学でも、指定校になっていない高等学校の生徒は出願することはできません。また、出願資格は「高校卒業見込み」の生徒であるため、通常、浪人生は受験できません。
ひとつの高校からの推薦人数が定められているため、学校内で希望者が多い場合は校内選考が必要になります。
指定校推薦は私立大学で多く採用されている制度ですが、国公立大学でも一部の大学や学部で導入されています。校内選考を10月までに終え、選考を10~11月頃に実施し、合否発表は12月頃です。
大学からの指定があるため、合格率はほぼ100%とされています。ただし、進学した先輩の成績や学習態度が、出身高校の後輩の推薦枠に影響する場合もあります。

 

国公立大学における学校推薦型選抜

国公立大学では、約9割の大学が公募推薦の選抜を取り入れており、東京大学などの難関国立大学でも導入が進んでいます。

【2024年度の例】
・東京大学:法学部・経済学部・教育学部・工学部・理学部・医学部など
 https://www.u-tokyo.ac.jp/ja/admissions/undergraduate/e01_26.html
・東京医科歯科大学:医学部・歯学部
 https://www.tmd.ac.jp/admissions/faculty2/system/special1/
・一橋大学:商学部・経済学部・法学部
 https://juken.hit-u.ac.jp/admission/info/guidelines/index.html

この他にも多くの国公立大学が学校推薦型選抜を導入していますが、私立大学に比べて募集人数が少ないうえ、「評定平均4.0以上」など出願基準が厳しいところも多くあります。公募推薦であっても、ひとつの高校からの推薦人数が決められていることがあり、その場合は校内選考が必要になります。
国公立大学の医学部では、医師不足解消のために、大学卒業後に大学がある地域で医師として活躍することを出願条件とする「地域枠推薦」を導入しているところもあります。

 

私立大学における学校推薦型選抜

私立大学では指定校推薦・公募推薦ともに学校推薦型選抜を取り入れているところが多く、私立大学全体で入学者の約4割が推薦で入学を決めています。

【2024年度の例】
・慶應義塾大学:法学部・商学部・理工学部・薬学部など
 https://www.keio.ac.jp/ja/admissions/examinations/recommendation-designated/
・早稲田大学:文学部・法学部・教育学部・理工学部など
 https://www.waseda.jp/inst/admission/undergraduate/system/designated/
・学習院大学:法学部・経済学部・文学部・国際社会科学部など
 https://www.univ.gakushuin.ac.jp/admissions/faculty-exam/recommendation-open/
・上智大学:文学部・法学部・経済学部・外国語学部・理工学部など
 https://adm.sophia.ac.jp/jpn/gakubu_tokubetsu_ad/

私立大学では、成績以外の能力を重視したさまざまな選抜方法も実施されています。

・スポーツ推薦:スポーツが得意な学生を競技成績によって選抜
・有資格者推薦:英検・日商簿記などの資格や技能の所持によって選抜
・課外活動推薦:部活動や生徒会活動・ボランティア・コンクールなどでの活躍や実績をもとに選抜

国公立大学よりも出願条件が緩いことが多く、成績基準を設けていない大学もあります。

 

対象者となる生徒の条件

学校推薦型選抜は主に高校生活での取り組みを評価する入試方式です。高校3年間を通して優秀な成績を収め、真面目に、かつ充実した学生生活を送ってきたかどうかがポイントとなります。

・定期テストの成績を維持し、評定平均を高く保っている
・部活や生徒会、学校行事、地域活動などに積極的に参加している
・資格試験や検定試験にもチャレンジしている

学業成績のみならず、受験生の人柄や課外活動なども含めた総合的な評価が行われます。このように学校推薦型選抜は、高校生活で学業、課外活動ともに力を入れて努力している生徒により向いている選抜だと言えるでしょう。

 

学校推薦型選抜(旧推薦入試)と一般選抜の違い

授業を受けている高校生

学校推薦型選抜と一般選抜では、選抜を受けられる条件と評価方法が異なります。

学校推薦型選抜

学校推薦型選抜では大学指定の出願条件をクリアできなければ学校長の推薦はもらえず、推薦がなければ出願できません。出願に値する学力とともに、高校生活での取り組み、小論文や面接などによって多角的に学生を評価して選抜します。11月~12月に選抜が行われるため、早めに大学進学を決められます。ただし、専願のみの出願が基本であるため、選抜に合格した場合は必ずその大学への入学を決めなければいけません。

一般選抜

一般選抜は、高等学校卒業(見込み)の人や、高等学校卒業と同等の学力を有すると認められた人であれば、誰でも入学試験を受けられます。小論文や面接を個別試験として用いる大学もありますが、主に学科試験の成績を重視した選抜方式です。試験日程が1~3月頃で、併願が可能であるため、複数の選択肢の中から大学を選び、試験を受けることができます。

 

学校推薦型選抜(旧推薦入試)と総合型選抜(旧AO入試)の違い

学校推薦型選抜と総合型選抜はどちらも推薦入試にあたりますが、選考基準が異なります。
学校推薦型選抜は、高校が推薦する学生のみが出願でき、評定平均や課外活動の実績によって、これまでの高校時代の取り組みが評価されます。
一方、総合型選抜は、これから大学で学びたい分野がはっきりしていて、高校時代からそれに向けて探究を続けてきた人かどうかを評価します。

総合型選抜

総合型選抜は公募型推薦の一種で、2021年まではAO入試と呼ばれていました。高校からの推薦は必要なく、大学が指定する条件を満たせば誰でも出願できます。選抜方法は、大学のアドミッション・ポリシーに合致するかどうかなど、大学独自の方法を用いることも多くあります。大学や学部によっては一定以上の成績だけでなく、以下のものを求められることもあります。

・英語の資格保持
・筆記試験
・長い論文を書かせる
・ポートフォリオの提出

このように、学力だけでなく、大学が求めている人物に近い学生かどうかを、様々な方法で詳細に評価します。大学は、受験生が提出する活動報告書や入学希望理由書、ポートフォリオなどの資料を積極的に活用し、受験生の専攻分野に関する学習意欲や、入学後の学びに対する姿勢を重点的に評価し、選考を行います。

総合型選抜は私立大学の8割以上、国立大学の7割以上が実施しており、出願前にエントリーが必要な大学もあります。早いところは6月頃からエントリーシートの提出がスタートし、9月~10月に選抜が実施されるため、学校推薦型選抜よりも早い時期に合格者が決定します。エントリーシート提出後、出願前に課題提出や面談を求める大学もあるため、早めの対策が必要です。

※同じ大学・学部で、学校推薦型選抜(公募制)と総合型選抜の両方を導入しているケースもあります。それぞれの選抜の出願条件や選考基準を確認して、自分に有利な方を見極めましょう。例えば、学校推薦型選抜では評定平均が指定されており、総合型選抜では他の条件で出願できる場合、成績に自信があれば学校推薦型選抜、指定された他の条件に強ければ総合型選抜を選ぶといった方法があります。

 

学校推薦型選抜(旧推薦入試)の選考方法と評価基準

学校推薦型選抜の出願条件には、高校3年間の評定平均が指定されていることがほとんどです。全科目の評定平均が3.5以上という大学もあれば、英語は4.2以上、その他は4.0以上など、特定の科目の評定平均を指定している場合もあるため、学生募集要項などで情報を確認しておく必要があります。

選考方法として最も多いパターンは、書類審査と小論文、面接という組み合わせですが、文部科学省による令和7年度大学入学者選抜実施要項には、「学校推薦型選抜では調査書・推薦書等の出願書類だけでなく、大学入学共通テスト、またはその他の評価方法等のうちいずれか一つを必ず活用する」と記載されています。

・個別学力検査
・大学入学共通テスト
・小論文や面接,実技検査(エッセイ・面接・口頭試問・ディベート・集団討論・プレゼンテーションなど)
・資格や検定試験

大学は、上記いずれかの選考方法によって、学生の個性や意欲、大学教育を受けるにあたって十分な知識や技能・思考力・判断力・表現力を備えているかを評価します。
各大学の選考方法や評価基準の内容は多岐にわたるため、入学試験の資料請求や説明会への参加を通して、大学ごとの違いを早めに確認しておきましょう。志望大学の学校推薦型選抜の合格実績がある塾の先生から情報を聞くのもおすすめです。

 

学校推薦型選抜(旧推薦入試)を受けるための対策

学校推薦型選抜(面接)のスケジュール

学校推薦型選抜は、出身高等学校の学校長の推薦を受けられれば、一般選抜よりも早くに大学入学を決められる魅力的な選抜方法です。早めの準備と、志望大学の出願基準や選抜方法に合わせた対策によって、大学合格の可能性を大きく広げることができます。

 

準備開始は早めに

学校推薦型選抜は、高校1年生から3年生までの成績や活動を評価するもので、出願には大学から指定された数値以上の評定平均が必要になることがほとんどです。高校1年生のうちから、定期テストや授業態度、提出物など、学校での学習にしっかりと取り組み、内申点を高く保っておきましょう。また、勉強だけでなく、部活動や学校行事などに積極的に参加し、高校生活を全力で送るという意識も大切です。

 

書類や試験対策が必要

学校推薦型選抜では出願時に調査書や推薦書などの書類の提出が必須です。高等学校の先生に書類を書いてもらう必要があるため、出願日に間に合うように必要書類を確認し、早めに先生に相談しておきましょう。
また、自分で書く書類の記入方法についての対策も重要です。

・自己推薦書:高校生活で最も力を入れて取り組んだこと
・志望理由書:なぜその大学に行きたいか
・活動報告書:高校生活での取り組みをまとめたもの

この他、面接や小論文においても塾や予備校などを活用した対策を視野に入れることをおすすめします。
また、資格試験や検定などが出願資格とされている場合は、高校3年生までに基準をクリアできる試験対策が必要です。出願資格としてだけでなく、選抜時の加点として利用されることもあるため、早めの準備を心がけましょう。

最近では、学校推薦型選抜に共通テストを利用する国公立大学が増えています。大学によって必要科目数は異なりますが、一般選抜と同様に5教科7科目以上を基準としている場合は、より早めの試験対策が必要になってくるでしょう。

 

落ちてしまったらどうする?

学校推薦型選抜は、11月~12月に選考と合格発表が行われます。(共通テストを選考に利用する場合は2月頃の合格発表になるため注意)
不合格の場合、学校推薦型選抜のピークである11月~12月より後に受験できる他の推薦試験を受けることが可能です。

・公募制推薦の2次募集
・出願期間が遅めの総合型選抜

推薦で大学合格が決まれば受験勉強の期間が短縮されますが、そもそも指定校推薦は校内選考で選ばれない場合は出願できませんし、公募推薦は試験結果によって不合格になることもありえます。その場合、合格発表後に出願できる2次募集や総合型選抜を選ぶのもひとつの手でしょう。しかし、希望の学部の推薦がない、志望校のレベルを下げなければいけない場合、進学後に後悔する可能性はゼロではありません。
学校推薦型選抜を目指す場合、万が一のことに備えて、高校での学習や課外活動に真摯に取り組みながら、併願大の一般選抜のための勉強を同時に進めておくことをおすすめします。

 

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