中学生にとって、高校受験は将来の進路を決める重要なターニングポイントです。 そのため、効率的な学習計画と早めの対策が不可欠となります。
一般的には中学3年生の夏頃から本格的な受験勉強を始めるお子さんが多いとされていますが、「中3からの開始で間に合うのか」「勉強時間が足りるだろうか」といった不安や悩みを抱えているお子さんや保護者は少なくありません。
そこで本記事では、高校受験の勉強開始時期とその理由、学年別・科目別の学習方法、さらに勉強時間確保やモチベーション維持のポイントについて徹底解説します。 また、効率的に志望校合格をつかむための具体的な進め方をお伝えします。
高校受験の勉強はいつ始めるべき?
高校の受験勉強はいつから始めたら良いのでしょうか。 一般的には、中学2年生の終わりから中学3年生の始めが理想的な受験勉強の開始時期とされています。
しかし、適切なスタートのタイミングは、志望校のレベルや個々の学力によって異なり、中学3年生からでは間に合わないこともあります。 特に難関校志望の場合、応用力が求められる入試問題が出るため、対応できる学力を身に付けようとすると圧倒的に時間が足りない、というケースが頻発します。
重要なポイントは、受験を意識し始める時期が早ければ早いほどメリットが大きく、志望校合格の可能性が高まる、ということです。
・入試問題では中1・中2で学習した内容からも多くの出題がある
・内申点として中1・中2の成績を重視する高校がある
・中学の学習は前学年までの内容が密接に関連している
このような理由から、中学入学後、できるだけ早いうちから受験を意識して学習に取り組むことで、より有利に受験勉強を進められます。
また、周りの仲間たちよりも早く勉強を始めておくことで精神的な余裕も生じます。 焦ることなく自分のペースで学習を進めて、落ち着いて受験本番に臨むためにも、高校受験の勉強は早いうちに、可能であれば「今日から」始めることを意識しましょう。
私立高校の受験時期
効果的な受験対策を行うためにも、あらかじめ正確な入試日程を把握しておくことが大切です。 具体的な試験日が分かれば、受験までのおおまかな日数や時間がイメージしやすくなり、残り時間を逆算して効率的な勉強計画を立てることができます。
高校入試の実施時期は、私立・公立別や、一般入試・推薦入試の区分によって異なります。 一般的に、私立入試と推薦入試が先行して実施される傾向にあります。
私立高校の入試は主に1月中旬から2月中旬におこなわれます。
【推薦入試】 1月中旬~2月上旬
【一般入試】 1月下旬~2月中旬
出願については、私立高校の一般入試は早い学校で12月から受付を開始し、1月下旬に締め切られることが多いです。 入試日は学校によって異なるため、各私立高校の公式サイトなどで確認にしてください。
公立高校の受験時期
公立高校の入試日は、私立高校よりも若干遅く、1月下旬~3月上旬が一般的です。
【推薦入試】 1月下旬~2月中旬
【一般入試 】2月中旬~3月上旬
出願期間は1月下旬から始まり、2月の上旬に締め切られるのが一般的です。 入試日は各都道府県によって異なるため、正確なスケジュールは各自治体の教育委員会や対象高校の公式サイトで確認しましょう。
一般的な受験勉強開始時期である中3の夏頃を基準にすると、私立高校受験まで約7ヶ月、公立高校の一般入試までは約8か月の準備期間があります。 この期間を計画的に活用することが重要です。
【中学1年生】高校受験の勉強は基礎固めが重要
中学1年生で学ぶ内容が、そのまま中2・中3の学習の土台となります。 この時期の理解が不十分だったり、苦手分野を払拭できずに放置したりすると、基礎学力が身につかず、上級学年でつまずく原因となってしまいます。 また、中3になって基礎からやり直す必要が生じると、効率的な受験対策が難しくなります。
・真面目に授業を聞く
・宿題や課題、提出物を確実にこなす
・その日に授業内容を当日中に復習する(できれば予習も)
・分からない箇所は先生や友達に質問する
これらのことを中1の段階から心がけて、授業内容を確実に理解して基礎力を養うことが大切です。
また、家での学習習慣を早期に確立しておくことも大きな意味を持ちます。 中3になっていざ受験勉強を始めようと意気込んでも、それまでの家庭学習の経験が少ないと、自分に合った勉強法やペースが分からずに戸惑いますし、量をこなすこともできません。 早いうちから自宅での学習習慣を身につけ、自分に合った学習スタイルを見つけておくことで、無理なくスムーズに受験対策に移行することができるでしょう。
【中学2年生】高校受験準備と部活動の両立
中学2年生でも、やるべき勉強は中1の時と変わりません。 しかし、中2にもなると部活動や委員会活動、学校行事での役割が増えてきます。 練習や準備に時間を取られますし、大会に向けた練習の疲れなどから、家での勉強時間の確保が難しくなることもあります。 とはいえ、疲労を抱えたまま夜遅くまで勉強して体調を崩すのはさけたいものです。 翌日の授業や部活動に支障が出てしまいます。
そこで、以下のように、無理せず勉強できるスキマ時間を意識的に活用して、少しずつ学習を進めていくようにしましょう。
・朝起きて学校に行くまでの時間
・学校から帰って晩御飯までの時間
・学校の休み時間
・通学時間
なお、多くの学校では、定期テストの1週間前から部活動や学校行事の活動が制限されます。冬は部活動の時間が短縮されたり、大会が少なかったりする地域もあります。体力や時間に余裕がある時期を見極めて、集中的に勉強に取り組む計画を立ててみましょう。
【中学3年生】本格的な高校受験対策
中学3年生の夏前までは、部活動の最後の大会や体育祭、修学旅行などの学校行事が続きます。また、最上級学年として後輩の指導も増えるため、思うように勉強時間を確保できないことも多いでしょう。夏以降は部活動も引退し、学習に専念できる環境が整うため、それまでは中2同様、隙間時間をうまく活用することが大切です。
夏休み中は、中1・中2で習った内容の総復習や苦手科目の克服に重点を置き、受験勉強の土台固めを進めます。秋からは過去問を使った実践的な対策や、応用問題のトレーニング、そして受験直前の1~2月は総まとめ、最終確認に充てるなど、計画的に学習を進めましょう。
定期テスト対策と毎日の復習
受験に向けた学習と並行して、定期テストや毎日の授業の復習も疎かにできません。なぜなら、多くの高校で中学3年生の内申点が受験に大きく影響するからです。
1学期、2学期の定期テスト対策をしっかり行い、高得点を獲得することで内申点がアップし、志望校合格の可能性が広がります。常日頃から授業内容の復習を着実に行っていれば、自然と定期テスト対策になりますし、入試の出題範囲である中3の学習内容の定着にもつながります。
なお、内申点には定期テストの点数だけでなく、授業態度や提出物なども影響します。入試対策と併せて、学校の授業・宿題・課題にも真剣な姿勢で臨むことが評価につながっていきます。
内申点については、「内申点とは?計算方法・評価基準・成績を上げる方法を徹底解説」を参考にしてください。
苦手科目の集中的な克服
中3の夏休みなどの長期休みを利用して、1年生・2年生の内容を総復習するとともに、苦手科目の克服に取り組みましょう。入試では、全科目でバランスよく得点することが求められます。仮に得意科目で高得点が取れても、苦手科目の点数が著しく低ければ、総合的な得点アップは難しくなります。
苦手科目を集中的に克服し、10点でも20点でも多く得点を獲得することができれば、大きなアドバンテージとなります。また、苦手を克服できた成功体験は、他の科目の学習にも良い影響を与えます。プレッシャーの大きい受験期に苦手克服という成功を経験することで、入試に向けて精神的な強さを得られ、自信を持って受験当日に臨むことができるようになるでしょう。
一人での学習が難しい場合は、学習塾の夏期講習などを活用して、徹底的に苦手分野の克服を目指すことをおすすめします。
効率よく勉強するには?科目別の学習方法
受験勉強で重要なのは、学んだ知識を使って実際に入試問題を解ける力を身に付けることです。頭の中にインプットするだけでなく、解答をアウトプットして正しく書けるようになるためには、知識の定着と問題演習の両方が不可欠です。
【暗記の場合】
・単語や用語、物事や事象、公式について覚える(暗記)
・覚えた単元の問題を解く(問題演習)
・覚えきれていない用語、物事や事象、公式について覚えなおす(暗記)
・間違えた問題を再度解きなおす(問題演習)
このように、インプットとアウトプットを繰り返すことで、知識が確実に定着し、スムーズに問題を解けるようになります。
これらを踏まえて、各科目別の効率的な勉強方法についてお伝えします。
英語
英語は先に習ったことをもとに、次のレベルの学習に進んでいく、積み重ね教科です。つまずいた箇所があると、その場所まで戻って復習する必要が生じるため、早めの対策がカギとなります。
単語は毎日少しずつ覚えるのがポイントです。1日ごとの目標数を決めて、継続的に復習しましょう。教科書や問題集の英文を声に出しながら和訳し、分からない単語や文法が出てきたらその場で調べながら暗記するのもオススメです。音読することで発音やリズムに慣れ、スムーズに頭に入りやすくなるとともに、リスニング力の向上にもつながります。
英文読解に慣れてきたら、模試や過去問題の長文を、時間を計りながら読む練習を始めます。繰り返し英文を読むことで読解スピードが上がり、限られた時間内で効率的に問題を解く力が身につきます。
数学
数学も英語と同様、中1で習ったことをもとに中2の内容を、中2の内容をもとに中3の勉強を進めていく積み重ね教科です。例えば、中1で習う「正負の数」「文字式」について理解できていなければ、中2の「一次方程式」、中3の「二次方程式」の問題を解くことができないなど、基礎力の充実が特に重要で、早めの対策が肝心です。
学習の順序としては、まず基礎問題の確実な理解を目指します。教科書の例題や、正答率7割以上を目標とする簡単な問題集から始め、標準問題、応用問題と段階的に難易度を上げていきます。
公式は単純な暗記するだけでなく、公式が表している意味を理解した上で問題演習を重ねることで定着します。基礎問題に取り組んでいる間に解答までのプロセスをしっかりと頭に入れておきましょう。
また、計算ミスは得点を落とす主要な原因となります。毎日短時間でも計算練習を行うことで計算力が強化されるため、計算問題を毎日の学習計画に組み込むのもおすすめです。
国語
国語は暗記と読解の両方を求められる科目です。
漢字、四字熟語、慣用句などの暗記項目は、入試本番での大きな得点源です。毎日の目標を設定して語句を覚え、正確に書けるよう練習しましょう。1週間単位で反復演習を行うことで、確実な知識の定着が図れます。古文・漢文は、文法の基本を押さえながら現代語訳と合わせて読むことで内容理解が深まります。
読解力強化には、多様な文章に触れることが欠かせません。教科書や問題集に掲載されている説明文、評論、小説など、様々なジャンルの文章を積極的に読むようにしましょう。読む際に、主題や筆者の意図を考えるクセを付けると、より読解力が向上しやすくなります。また、読めない漢字や意味の分からない語句があれば、その都度調べて書き留めておきましょう。頻出の熟語や言葉の意味を覚えておくことで語彙力強化につながり、受験に有利に働きます。
理科
理科は暗記のみで得点が取れる問題と、実験や現象の考察問題、化学式や物理の計算問題が出題されます。
人体、植物、生態系、物質の性質、地層、気象などの暗記項目は、単に単語を見るだけでなく、教科書のイラストや図を活用した学習がおすすめです。頭の中でイメージを膨らませながら、現象の原理や仕組みを覚えていくことで、より深い理解と記憶の定着が期待できます。また、図やグラフは書いてあることを隅々まで見て、その意味を理解する訓練が重要です。
力学、電気、溶解度、化学反応式などの計算問題では、関連する公式の意味を理解した上で、どの公式を使うのかを素早く判断できるよう、問題演習を繰り返して解き方を定着させましょう。
社会
社会は暗記の比重が大きく、効果的な暗記方法の確立が高得点につながる教科です。
理科同様、イラスト、資料、年表、地図などを活用するようにしましょう。歴史的出来事や地理データ、時代背景など、関連する内容をまとめて覚えることで、記憶に定着しやすくなります。
また、自作の暗記ノート作成もおすすめです。図表、年表、グラフなどを書き込み、視覚的に情報を整理しながら要点を簡潔にまとめることで、自然と理解が進みますし復習もしやすくなります。
暗記しづらい年号や用語は語呂合わせなども活用しましょう。スキマ時間に一問一答形式の問題集で反復練習を行うなど、自分に合った暗記法を見つけることが大切です。
高校受験の勉強時間を確保するためにできること
勉強時間の確保は、受験勉強における重要テーマです。しかし、学校、部活、委員会活動などで忙しい子どもが、「1日3時間は必ず机に向かう」といった目標を立てても、「予定より時間がとれなかった」「疲れて寝てしまった」など、計画倒れになることも少なくありません。
まずは毎日の生活パターンを紙に書き出してみて、勉強に充てられる時間がどこにあるかを視覚化してみましょう。食事、入浴、睡眠といった生活に欠かせない時間の他、通学や部活などの時間もできるだけ詳しく書き出し、比較的余裕のある曜日がないか、空いている時間帯がないかどうかをチェックしてみましょう。
毎日の生活リズムを整える
日々の生活の中から勉強時間を確保するうえでは、規則正しい生活リズムの確立が不可欠です。
起床時間や就寝時間、入浴、食事の時間が毎日バラバラなようでは、空き時間を割り出すことはできません。同じ時間に起きて同じ時間に寝る、食事や入浴の時間をある程度固定する、といったことを意識してみましょう。
毎日同じリズムで過ごすのが難しい場合は、曜日ごとにパターンを決めるのも一案です。規則的な生活により、「朝の15分」「夕食前の30分」など、勉強に充てられる時間が自然と見えてくるようになります。
スキマ時間をうまく使う
生活リズムが整い勉強に充てられる時間を割り出せたら、次はスキマ時間を見つけて、日々の生活に勉強習慣を組み込んでいきます。
・朝起きて15分
・電車を待っている間の5分
・学校の休み時間の10分
こうした時間には、短時間で効率的に知識を積み重ねられる勉強がおすすめです。単語帳や赤シートを使って、10分で英単語を10個覚える、15分で社会の一問一答を15問解くなど、目標を定めて暗記にトライしてみましょう。一度に多くの情報を覚えようとせず、適度な量に分けて覚える、似た意味や関連のある項目をまとめて覚えるのがコツです。
さらに、覚えた内容を忘れないように、定期的な復習日を設定し、時間をあけて見直すことで、記憶が長期的に残りやすくなります。
高校受験に向けてモチベーションを維持するためのポイント
高校受験の勉強においては、開始時期や時間確保とともに、モチベーションの維持も大変重要なテーマです。やる気が学習効率や集中力に大きく影響するため、モチベーションを保つことができれば継続的な学習と成績アップが可能になります。
ここからは、受験勉強のモチベーションを維持するためのコツをいくつか紹介します。
目標を設定してからスケジュールを立てる
学習スケジュールを立てるその前に、まずは目標を明確にしましょう。志望校が決まれば必要な学力レベルが分かり、学力レベルが決まれば自ずと具体的な学習計画が立てやすくなります。中1・中2で志望校が絞り切れない場合でも、おおまかな高校のレベルを決めて、合格に必要な学力到達に向けた勉強を割り出しましょう。
最終目標が設定できたら、可能な限り具体的な小目標に分解していきます。定期テストで全教科80点以上、模試での偏差値5アップ、苦手教科で10点アップなど、結果が目に見えて分かる目標を立て、ひとつずつ達成していくことで、成長を実感でき、やる気を保ちながら受験へ向かうことができるでしょう。
具体的な勉強計画の立て方については、以下の記事も参考にしてください。
「勉強計画の立て方を知って効率アップ!挫折しないための6つのポイントも紹介」
家族のサポートを活用する
家族からお子様への支援は、モチベーション維持に大きな効果があります。
静かな学習環境の整備や、必要な学習用具・資料の準備など、勉強に集中できる環境づくりのサポートをもらったり、気分転換やリラックスの時間を一緒に過ごしてもらったりすることで、ストレス軽減とともに学習効率も向上します。また、具体的な目標を言葉にして伝えておいたり、達成時の励みとなる約束を交わしたりすることで、やる気アップを図ることもできるでしょう。
自分の努力を見守ってくれる身近な存在をうまく活用し、効率的な受験勉強に役立てましょう。
自分なりのストレス解消法を見つける
高校受験は人生の大きな節目のひとつであり、その結果が進学先や将来に影響するため、多くの受験生がプレッシャーを感じています。「常に努力を続けなければ」「諦めるわけにはいかない」という思いから精神的負担が増し、勉強を続ける気力が削がれてしまうことも。
必要以上にストレスをためないよう、自分なりの気分転換やリフレッシュ法を見つけておくことも大切です。好きな映画や動画、テレビ、ゲームなど、自分の心が癒されて回復しやすい活動を探しておきましょう。リフレッシュばかりになって肝心の勉強が疎かになっては困りますが、定期的に、適度なストレス解消の時間を挟むのは大いに大切なことです。「また頑張れる」という気持ちが湧いて、前向き・ポジティブな気持ちを保ちながら勉強に取り組むことができるでしょう。
勉強へのモチベーションの上げ方については、以下の記事も参考にしてください。
「勉強のモチベーションの上げ方とモチベーションを維持する方法」
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映画『ビリギャル』でおなじみの個別指導塾!坪田塾とは
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