多くの中学生にとって、高校入試は人生の大きな転換期です。「入試ってどんなもの?」「倍率はどのくらい?」「いつから、何を準備すればいいの?」と、不安や疑問を抱くのは当然のことでしょう。しかし、心配はいりません。受験への不安を少しでも解消し、自信を持って本番に臨むためには、入試制度に関する情報を正確に理解し、計画的に準備を進めることが何よりも大切です。
そこでこの記事では、兵庫県公立高等学校(県立高校)入試の最新情報を詳しく解説します。実施時期から入試の特徴、流れ、入試科目や配点、出題傾向、さらには併願校選択のポイントまで、安心して本番を迎えられるよう、入試情報を幅広くお伝えします。
兵庫県の高校入試の実施時期
まず最初に、兵庫県の私立高校と公立高校の入試日程を見てみましょう。
兵庫県の私立高校入試の日程
兵庫県のほとんどの私立高校は、同日一斉に入試(1次入試)を実施します。
1次入試の合格発表後には、募集人数は少ないものの2月中旬頃に「1.5次入試」、そして公立高校の一般選抜の合格発表後に「2次入試」を実施する学校もあります。
公立高校のすべり止めとして私立高校を併願する場合は、注意が必要です。
<令和7年度(2025年度)の私立高校入試日程>
出願期間 | 1月中旬~下旬 |
---|---|
学力検査 | 2/10(月) |
合格発表 | 2/11(火)~13(木) |
1.5次入試 | 2月下旬 |
2次入試 | 3月下旬 |
専願と併願がありますが、専願の場合は公立高校の受験はできません。
兵庫県の公立高校入試の日程
兵庫県公立高校入試の最もスタンダードな形式は「学力検査による入学者選抜」です。さらに、「学力検査によらない入学者選抜(特色選抜)」、「推薦入試」の3つに分けられます。
令和7年度(2025年度)の兵庫県公立高校の入試時期は以下の通りです。
推薦入試・特色選抜 | 学力検査に基づく選抜 | |
---|---|---|
入学志願承認申請手続き | 1/10(金)~1/31(金) | 1/10(金)~2/20(木) |
願書受付期間 | 2/3(月)~2/5(水) | 2/25(火)~2/27(木) ※志願変更2/28(金)~3/4(火) |
実施日 | 2/17(月) ※一部は2/18(火)も実施 | 3/12(水) |
合格発表日 | 2/21(金) | 3/19(水) |
単位制による課程(多部制)を設置している一部の高校では、入学者選抜を1~3部ごと、Ⅰ~Ⅳ期に分けて実施しています。
兵庫県公立高校入試の特徴
兵庫県の公立高校入試には、学区制、複数志願制度、志願先変更制度などの特徴があります。
学区制
兵庫県公立高校の普通科、総合学科は学区によって分けられており、自分の居住する学区の高校を進学希望先として選択するのが通常です。
第1学区 | 芦屋市・淡路市・神戸市・洲本市・南あわじ市 |
---|---|
第2学区 | 尼崎市・伊丹市・猪名川市・川西市・宝塚市・丹波市・丹波篠山市・西宮市 |
第3学区 | 明石市・稲美市・小野市・加古川市・加西市・加東市・多可町・高砂市・播磨市・西脇市・三木市 |
第4学区 | 相生市・赤穂市・穴栗市・市川町・上郡市・太子町・神河町・佐用町・たつの市・姫路市・福崎町 |
第5学区 | 朝来市・香美町・豊岡市・新温泉町・養父市 |
居住区が神戸市北区・神戸市西区・西宮市・三田市・明石市・淡路市・三木市・高砂市・姫路市・神河市・朝来市の場合、隣接区域ある高等学校を出願することも可能です。
複数志願選抜制度
全日制普通科・総合学科の学力検査による一般入試は、複数志願選抜で実施されます。その他は単独選抜で行われます。
複数志願選抜とは、志願者が第一志望校以外に第二志望校を志願できる仕組みです。学力検査は原則として第一志望の高等学校で受験します。その際、第一志望校の試験結果に学区によって定められた20~30点の点数が加点され、その得点をもとに上位の者から合格者が決定されます。
学区ごとの第一志望加点は以下の通りです。
第1学区:25点
第2学区:20点
第3学区:25点
第4学区:30点
第5学区:30点
第一志望校の合格が決定している場合、第二志望校の合否判定は行われません。
志願変更制度
全日制の公立高校は、決められた期間内であれば出願後に志願先を変更できます。志願変更の条件は以下の4つです。
・単独選抜実施校から単独選抜実施校への志願変更
・複数志願選抜実施校から単独選抜実施校への志願変更
・単独選抜実施校から複数志願選抜実施校への志願変更※同一学科での志願変更のみ。第2志望は不可。
・複数志願選抜実施校間の第2志望校の志願変更
複数志願選抜実施校を第一志望校にしていた場合、別の複数志願選抜実施校に第一志望校を変更することはできないため、注意が必要です。
志願変更期間は2月28日(金)から3月4日(火)となっており、中学校の校長を経て、当初出願した高等学校校長宛てに志願先変更を申し出ます。提出書類返還の後、変更先の高等学校長に再提出することで、志願先の変更ができます。
兵庫県公立高校入試の流れ
令和7年度(2025年度)の兵庫県公立高校全日制課程の募集定員は、令和6年度(2024年度)から760人増の29,880人(男女合同)です。
志望校が決まったら、以下の流れに沿って入試の準備を進めていきましょう。
【共通選抜の流れ】
1. 願書受付
2. 志願変更
3. 学力検査
4. 合格者発表
書類・入学考査料を期日までに、中学校長を経て志願先高等学校へ提出します。中学校から提示される提出日をチェックし、期日までに必要書類を準備できるようにしておきましょう。
郵送による提出も可能ですが、配達日を指定した簡易書留が必須であるため、注意が必要です。
令和7年度入学者選抜のインターネット出願は、モデル校(県立宝塚北高等学校、県立姫路東高等学校)を指定して一部運用を開始しています。アカウント登録及び出願のテストランを実施後、2月の推薦入試を実施することになっています。
推薦入試
兵庫県公立高校の推薦入試は、全日制課程の以下の学科について実施され、募集定員の50%以内で入学が許可されています。
【推薦入試が実施される学科】
農業・工業・商業・水産・家庭・看護・福祉・理数・体育・音楽・美術・国際・演劇・環境防災・学際領域・地域社会・STEAMに関する学科
その他、自然科学系コース・健康福祉系コースを設置しているコースや、普通科単位制や総合学科を設置しているいくつかの高校でも、推薦入試を実施している場合があります。
基本的に学力検査は実施されません。ただし、一部の高校で、普通科コースの適性検査は、「英語」「数学」「理科」の中から2教科以内、総合学科の適性検査は「国語」「数学」「英語」3教科のペーパーテスト方式で実施しています。
また、実技検査として、英語の「聞く」「読む」「話す」「書く」等の領域、理科の「観察・実験」の領域において試験を実施している高校もあります。
以上の学科への推薦入学を第一志望とする生徒を対象とし、中学校の校長を経て提出された推薦書、調査書、その他必要な書類、面接、適性検査、実技検査等の結果を総合して、合否判定を実施しています。
合格発表は2月21日(金)です。合格できなかった場合、学力検査による選抜を実施する高校へ新たに出願することも可能です。
特色選抜
兵庫県公立高校入試では、各高等学校の募集定員の20%以内(最大40人)を、特色選抜で選抜する高校があります。志願する学校を第一志望とし、志願校の教育内容を理解して学習に励む強い意志を持っている生徒が対象となります。
学力検査は実施されず、面接、必要に応じて実技検査・小論文(作文)を実施することがあります。これらの検査と内申点を総合して、合否を判定しています。
合格発表は推薦入試と同様2月21日(金)です。合格できなかった場合は、学力検査に基づく選抜を実施している高校への出願が可能です。
学力検査に基づく選抜
学力検査による入学者選抜は、50分ずつ5教科の試験を行い、20分の休憩や50分の昼食時間を挟みながら、午後15時頃に終了します。学力検査の時間割りは以下の通りです。
<令和7年度(2025年度)時間割>
教科 | 時間 | 開始~終了時刻 | |
---|---|---|---|
集合 | ~8時30分 | ||
注意 | 8時40分~8時50分 | ||
1時限目 | 国語 | 50分 | 9時10分~10時00分 |
2時限目 | 数学 | 50分 | 10時20分~11時10分 |
3時限目 | 社会 | 50分 | 11時30分~12時20分 |
昼食 | 50分 | ||
4時限目 | 理科 | 50分 | 13時10分~14時00分 |
5時限目 | 英語 | 50分 *1 | 14時20分~15時10分 |
*1:開始10分は聞き取りテスト
学力検査の得点と内申書の得点、どちらも250点満点の1対1で計算され、合否判定が行われます。
※志願資格や、定時制・通信制などの詳しい情報については、兵庫県教育委員会「令和7年度兵庫県公立高校入学者選抜要綱・様式集について」を参考にしてください。
兵庫県公立高校の入試科目と配点
兵庫県公立高校入試の学力検査は国語・社会・数学・理科・英語(聞き取りテストを含む)の5教科で実施されます。各教科100点の500点満点です。
学力検査の得点を0.5倍して250点満点とし、内申点の250点と合計した得点を用いて、合否判定を行います。
単独選抜実施校においては、特別活動・部活動等に関する特別取り扱いを実施している高校があります。この場合、特定の運動部・文化部・特別活動・学校外活動に参加している生徒は、各高校の合否判定のボーダーラインの得点から10%を減じた点数を合格ラインとして、合否判定が実施されます。
兵庫県公立高校入試の内申点の仕組み
兵庫県公立高校入試では、中学3年生の9教科の成績のうち、国語・数学・英語・理科・社会の主要5教科の成績を4倍、技術家庭科・保健体育・音楽・美術の副教科4教科の成績を7.5倍にして、250点満点で算出します。
国語 | 数学 | 英語 | 理科 | 社会 | 技術家庭科 | 保健体育 | 音楽 | 美術 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
中3 | 3 | 5 | 4 | 5 | 2 | 3 | 4 | 4 | 4 |
【上記の評定の場合】
主要5教科:(3+5+4+5+2)×4=76点
副教科:(3+4+4+4)×7.5=112.5
よって、250点満点中、合計188.5点が合否判定に用いる最終数値となります。
3年生の成績は2学期までのものが反映されます。なお、理科・社会においての最終的な調査書の内申点は、中学1年生・2年生の成績も参考に記載されることがあります。(各単元の内容が異なるため、単元ごとの成績を考慮する)。
また、1年生、2年生の成績も調査書に記載されるため、高校によって、推薦入試や特色選抜でこれらの成績を参考にしている場合があると予測されています。
兵庫県公立高校入試では、推薦入試・特色選抜の内申点の配点についての記載はなく、どの程度内申点が入試に影響するのかは不明です。
なお、学力検査に基づく選抜においては、内申点の比率が高いと言えます。
内申点についてより詳しく知りたい方は、「【高校受験】内申点とは?計算方法・評価基準・成績を上げる方法を徹底解説」を参考にしてください。
兵庫県公立高校の中で難関校は?
兵庫県公立高校で、相対的に偏差値が高い高校を以下に紹介します。
長田・姫路西・兵庫・神戸・宝塚北・加古川・小野・明石北・西宮市立西宮
これらの高校は兵庫県公立高校の中でもトップクラスの高校とされています。
兵庫県公立高校入試の出題傾向
ここからは、兵庫県公立高校入試の出題傾向を科目別に見ていきましょう。
国語
漢字の読み書きや説明的文章、小説、古典や国語の知識や日本語の文法の他、詩などの表現や会話文の問題が毎年出題されています。普段解く機会が少ない、会話文から「発言の意図や効果について答える問題」については、特別な対策を立てて慣れておく必要があります。
また、問題文の文字数が多く、2,000字以上の説明的をはじめ、入試問題全体の文字数は10,000を超えることや、小問数が多いため、素早く文章を読んで内容を理解する力が重要です。日頃から様々なジャンルの文章をたくさん読む訓練をしておきましょう。
古典や漢文などにおいても、返り点などの基礎知識を問う問題だけでなく、主題をとらえるなどの読解力が必要な問題が多いため、出題頻度の高い作品に数多く触れておくことが力になるでしょう。
数学
数と式、関数、図形問題、データの活用などの分野から、まんべんなく出題されています。計算問題や関数・図形などの分野から出題される基本的な小問が2割以上を占めており、その他の分野でも基本問題が多く出題されるため、教科書や基礎レベルの問題集を活用して問題を繰り返し解き、基礎をしっかりと理解しておく必要があります。また、近年、関数の問題が2つの大問となって出題されているため、丁寧に対策しておくことが重要です。
また、文章題においては文章量が多いのが特徴的です。文章に加えて、グラフや表などを読み取る力も求められるため、何を問われているかを的確に整理できるようにしておきましょう。
ここ数年、関数や平面図形の分野からの出題が多く見られます。基礎問題だけでなく、応用問題まで解けるよう、より多くの問題に触れておきましょう。
社会
地理・歴史・公民それぞれの分野から幅広く出題されています。標準的な符号選択問題が多いのが特徴的ですが、選択肢の数だけでなく、選択肢の文章量が多く、「適切でないもの」を選択させるなど、注意深く文章を読む必要がある問題が多数出題されています。過去問などを活用して、問われている内容を素早く正しく理解して正答する力を鍛えておきましょう。
また、統計資料・文書資料、グラフなどを読み取る問題に加え、地形図に関する問題が多く出題されています。教科書に載っていない資料が出てくることもあるため、複数資料と正しい知識を照らし合わせた解き方に慣れるまで、何度も問題演習を繰り返すことが大切です。
理科
物理からは電気回路と電力や熱量、物体の運動について、化学からは化学変化や水溶液・気体について、生物からは生物のつながりや消化吸収、遺伝・細胞について、地学からは天気や季節の変化、太陽系、地球の公転や星の見え方について、各分野25点ずつ、まんべんなく出題されています。
基本的な内容を問う問題から難易度の高い問題まで、様々です。近年は、「エネルギーの移り変わり」や「台車を使った実験の問題」、「光合成・呼吸・蒸散」から出題されることが多いため、十分に対策を練っておきましょう。
符号問題が多く、文章記述問題がないことがほとんどです。しかし、問題文が多く、グラフや表・図などが多数掲載されるため、多くの情報を見逃さずに素早く理解して正解を導き出す力が必要になります。計算問題が多く、1問の中で複数の計算を求める計算問題などが出題されるため、時間配分に注意して解き進める力を身に付けておきましょう。
英語
英語では、リスニング、単語の穴埋めや単語を適切なものに変える問題が出題される他、長文読解の問題数が多いのが特徴的です。近年は、300語~500語の対話文・物語文・スピーチ文が大問5門中3つも出題されているため、素早く英文と設問を読んで理解し、正しく答える力が重要になります。
リスニングの形式毎年約2割程度の配点になっています。毎年形式に変化はなく、・対話に続く応答を選択する・会話を聞いて質問の答えを選択する・説明を聞いて質問の答えを選択する問題が出題されています。放送は1度のみ、選択肢も放送のみとなるため、聞き逃しをしないために集中して取り組みましょう。
効率的な勉強計画の立て方については「勉強計画の立て方を知って効率アップ!挫折しないための6つのポイントも紹介」を参考にしてください。
私立併願は必要?選び方のポイント
公立高校を第1志望とする場合は、私立併願をしておくことをおすすめします。
私立高校入試は、多くの場合、公立高校入試よりも先に実施されます。入学試験を受ける経験を実際につんでおくことで、試験の独特の緊張感に慣れ、本番の公立高校入試本番に落ち着いて臨むことができるでしょう。また、公立高校入試前に別の学校に合格しておくことで、心に余裕が生まれます。この余裕はプレッシャーを和らげ、本番で力を最大限発揮するうえで必ずや助けとなるでしょう。
併願する私立高校は、自分が通いたいと思える高校選びをすることが重要です。第一志望の公立高校と偏差値が近い私立高校に合格することで、自信を深めるきっかけになります。また、自宅から通いやすい場所にある、チャレンジしたい部活動があるなど、第一志望校とは別の魅力がある学校を選ぶことで、将来の選択肢をより前向きに広げることができるでしょう。
ただし、兵庫県の私立高校入試は同日一斉に行われています。すべり止めとして併願校を決める場合、万が一不合格となってしまい、公立高校入試が一発勝負になってしまわないよう、慎重に決めることを心がけましょう。
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