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国立大学と公立大学はどう違う?それぞれの共通点とメリット・デメリットを解説

国立大学と公立大学は、それぞれ設置主体や教育方針、学費、入試制度などに違いがあります。進学先を選ぶにあたっては、知名度や立地だけでなく、自分の将来像や学びたい内容に合った環境かどうかを見極めることが大切です。

本記事では、国立大学と公立大学のそれぞれの特徴や違いを整理し、大学選びに役立つ情報を分かりやすく解説します。

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目次(クリックで開閉)

・国立大学と公立大学の違いとは?
 ┗①大学の数
 ┗②運営元
 ┗③入試制度
 ┗④試験日程
 ┗⑤大学の規模
・国公立大学に共通するメリット
 ┗メリット①私立に比べて入学金や学費が安い
 ┗メリット②教員1人に対する学生数が少ない
・国立大学のメリット
 ┗メリット①研究環境や教育の質が高い
 ┗メリット②学部選びの自由度が高い
 ┗メリット③全国から学生が集まる
・公立大学のメリット
 ┗メリット①地元企業への就職に有利となる
 ┗メリット②3科目で受験できるケースがある
 ┗メリット③校舎がきれいな大学が多い
 ┗メリット④学費の割引制度を利用できる大学がある
・ 国公立大学に共通するデメリット
 ┗デメリット①難易度の高い大学が多い
 ┗デメリット②受験のチャンスが少ない
 ┗デメリット③私立に比べて施設が古い場合が多い
・国立大学と公立大学どっちを選ぶべき?
・【まとめ】学びたい分野や進路に合わせて大学を選ぶことが大切

国立大学と公立大学の違いとは?

国立大学と公立大学は「国公立大学」として括られることが多いものの、設立母体や運営体制、入試制度などに明確な違いがあります。

ざっくりと両者の違いを表にすると、以下のとおりです。

国立大学公立大学
大学の数(令和6年時点)86校101校
運営元国立大学法人公立大学法人
入試制度6教科8科目必要な場合が多い3〜5科目で受験できる場合もある
試験日程・前期日程:2月下旬~
・後期日程:3月上旬〜中旬
※公立大学と共通
・前期日程:2月下旬~
・中期日程:3月上旬(一部)
・後期日程:3月上旬〜中旬
大学の規模大規模小~中規模

それぞれの違いを詳しく確認していきましょう。

 

①大学の数

令和6年時点で、日本には国立大学が86校、公立大学が101校存在しています。全国の大学全体で見ると、約600校以上を占める私立大学に比べて、国公立大学は少数派です。

国立大学は1校あたりの在学生数が多く、全国から広く学生を受け入れているのが特徴です。

それに対して公立大学は、地域に密着した小規模大学が多く、地域貢献を目的とした学部・学科編成になっているケースもよく見られます。

 

②運営元

国立大学は国(文部科学省)が設置し、国立大学法人が運営しています。一方で、公立大学は都道府県や市などの地方自治体が設置し、公立大学法人が運営しています。

そのため、国立大学は国全体の教育水準の向上や学術研究を担う役割が強いのに対し、公立大学は地域の課題解決や人材育成に力を入れている点が大きな違いです。

両者とも法人化されているため、一定の自主性をもって運営が行われています。

 

③入試制度

国立大学も公立大学も、大学入学共通テストと個別試験(2次試験)を組み合わせて合否を判定します。

国立大学では多くの学部で6教科8科目の共通テスト受験が必要で、幅広い科目の対策が必要です。公立大学は3〜5科目で受験できる場合もあり、国立大学に比べると比較的負担が軽いといえます。

ただし、必要な科目数や配点は大学ごとに異なり、同じ公立大学でも学部によって要件が変動することもあります。推薦型選抜や総合型選抜を実施する大学も増えており、一般選抜のみならず多様な入試方式が用意されている点も特徴です。

志望する大学の募集要項を確認し、事前に戦略を立てましょう。

 

④試験日程

国立・公立ともに一般選抜は、1月中旬の共通テストを受けた後、各大学の個別試験(2次試験)に進むのが基本的な流れです。

個別試験は2月下旬の「前期日程」から始まり、3月上旬〜中旬に「後期日程」が実施されます。公立大学の一部では、3月上旬に「中期日程」という独自の試験日を設定しています。

前期で合格し入学手続きをすると、中期・後期の合格権利は失われます。

なお、前期日程の入学手続き締め切りは中期・後期日程の合格発表前に設定されているため、複数の大学の合格結果を見比べて進学先を選択することはできない点に注意が必要です。

 

⑤大学の規模

大学の規模感をイメージするには、在学者数を見るのが分かりやすいでしょう。

令和6年度時点では、国立大学には86校に約60万人が、公立大学には101校に約16万人が在籍しています。単純平均すると、国立大学は1大学あたり約7,000人、公立大学は約1,700人です。国立大学のほうが、規模の大きい大学が多いといえます。

国立大学は大学院生の比率が高く、附属病院などの大規模施設を持つ大学が多数のため、研究・医療拠点としての役割も規模の大きさに影響しています。

一方で、公立大学は小〜中規模の大学が中心で、地域密着型の学部構成や分野特化型の教育が特徴的です。

 

国公立大学に共通するメリット

国立大学と公立大学には、共通する以下の大きなメリットがあります。

  • ①私立に比べて入学金や学費が安い
  • ②教員1人に対する学生数が少ない

 

それぞれ詳しく見ていきましょう。

 

メリット①私立に比べて入学金や学費が安い

国公立大学の大きな魅力は、私立大学と比較して、入学金や学費を大幅に安く抑えられる点です

国立大学の学費は、入学金が28万2,000円、年間の授業料が53万5,800円と文部科学省で標準額が定められています。これをもとに計算すると、4年制学部を卒業するまでの総額は約243万円、医歯薬などの6年制学部では350万円ほどになります。

参照:国立大学等の授業料その他の費用に関する省令

公立大学の費用は自治体ごとに差がありますが、おおむね国立大学と同水準で、4年間の総額は250万円前後が一般的です。

私立大学では、文系学部でも4年間で平均約400万円かかります。理系や医歯系ではさらに高額になり、医歯系では6年間で3,000万円を超えるケースも珍しくありません。つまり、文系学部で比較すると、国公立大学は私立大学よりも約160万円安くなる計算です。

進学先を検討する際は、初年度の支出だけでなく、卒業までの総額を見据えておきましょう。

 

メリット②教員1人に対する学生数が少ない

教員1人あたりの学生数は、大学での指導体制の質を表す重要な指標の1つです。

大学の種類別に、教員1人あたり学生数を比較してみましょう。

大学の種別教員1人あたりの学生数(令和2年度)
国立大学9.3人
公立大学11.3人
私立大学19.4人

参照元:文部科学省│教員に関するデータ①

上記の表を見ると、国立大学では教員1人あたりの学生数が「9.3人」、公立大学では「11.3人」となっており、私立大学の「19.4人」と比べて半分程度であることが分かります。

このように、国公立大学は教員1人あたりが受け持つ学生数が少ないため、学生への目が行き届きやすい環境が整っています。 授業やゼミ、研究、進路相談などでも、より丁寧で手厚い指導を受けやすい点は大きなメリットです。

 

国立大学のメリット

国立大学は、国全体の教育・研究の拠点として長い歴史と実績を持っています。

ここでは、国立大学ならではのメリットを3つのポイントに絞って解説します。

  • ①研究環境や教育の質が高い
  • ②学部選びの自由度が高い
  • ③全国から学生が集まる

 

それぞれのメリットを、詳しく見ていきましょう。

 

メリット①研究環境や教育の質が高い

国立大学は、国からの支援が手厚く、研究資金や教育体制が充実している点が大きな特徴です。

文部科学省によると、国からの研究費の採択件数・配分額ともに国立大学が大部分を占めており、研究者や学生が最先端の研究に取り組みやすい環境が整っています。複数学部にまたがる共同教育プログラムが整備されていることもあり、学びの幅を広げられる仕組みも魅力的です。学部の垣根を越えて履修できる科目や、学際的な研究プロジェクトへの参加機会も豊富です。

このように、国立大学では研究活動に触れる機会が多く、学問の探究や専門性の向上に適した環境といえるでしょう。

 

メリット②学部選びの自由度が高い

国立大学の場合、入学時に細かな学科や専攻を決めず、「大学単位」や「学部単位」で大まかに募集を行うケースがあります。

たとえば東京大学の「進学選択(進振り)」は、入学後の1年半の成績をもとに、3年次から進学する学部・学科を決定できる仕組みです。入学後に様々な学びに触れながら、自分の興味・関心に応じて専門分野を選べるため、進路に迷いがある受験生にとっては嬉しい制度といえます。

ただし、すべての国立大学がこのような制度を採用しているわけではありません。志望校ごとの進学制度を事前に確認しておきましょう。

 

メリット③全国から学生が集まる

国立大学には、地域を問わず全国から優秀な学生が集まります。さまざまな価値観や考え方に触れる機会が豊富にあり、自然と視野が広がります。特に知名度の高い大学や、専門性の高い学部・学科を有する大学では、その傾向がより顕著です。

地域の枠をこえて築いた人間関係は、キャリア形成など卒業後の人生においても貴重な財産となるでしょう。

公立大学や地域の私立大学では得られにくい、全国規模のつながりを形成できる点も、国立大学のメリットといえるでしょう。

 

公立大学のメリット

ここでは、「公立大学ならでは」のメリットを、以下の4つのポイントに沿って紹介していきます。

  • ①地元企業への就職に有利となる
  • ②3科目で受験できるケースがある
  • ③校舎がきれいな大学が多い
  • ④学費の割引制度を利用できる大学がある

 

それぞれ見ていきましょう。

 

メリット①地元企業への就職に有利となる

公立大学は、地方自治体によって運営されており、地域との深いつながりが大きな特徴です。大学自体が、地元の産業振興や人材育成を目的として設立されているため、地域社会や地元企業との強固な連携体制が築かれています。

そのため、公立大学では地元企業との共同研究、インターンシップ、地域密着型のキャリア支援などが充実しており、地元での就職に有利に働くことが多いのです。

たとえば北九州市立大学では「就職支援パートナーシップ制度」を導入し、地域企業とのつながりを活かした就職支援を展開しています。

 

メリット②3科目で受験できるケースがある

公立大学の中には、共通テスト3科目のみで出願できる学部・学科を設けているところがあります。たとえば、2026年度入試の例として釧路公立大学の経済学部では、「英語・国語」に加え、「数学」「地歴・公民」「情報」の中から1科目を選ぶ、合計3科目での受験が可能です。

また、静岡県立大学でも、学部や入試日程によっては3科目で出願できるパターンが用意されています。

※要件は年度によって変動するため、最新の募集要項をご確認ください。

受験科目を絞り、得意科目に集中して効率的に勉強したい受験生にとって、3科目で受験できるのは大きなメリットです。

ただし、すべての公立大学が3科目型を採用しているわけではないため、希望する大学・学部の募集要項を必ず確認しましょう。

 

メリット③校舎がきれいな大学が多い

公立大学の中には、比較的新しく設立された大学や、近年キャンパスを移転・新設した大学が多く見られます。校舎や設備が新しく、清潔感のある快適な学習環境が整っている点は、大きな魅力の1つです。

また、公立大学は地元自治体が設置・運営しているため、地域の発展やイメージアップを目的として、大学施設の整備に力を入れているケースも少なくありません。

デザイン性に優れた校舎や最新の学習設備を備えた講義棟を持つ大学もあり、地域のランドマークとして親しまれているケースも見受けられます。

 

メリット④学費の割引制度を利用できる大学がある

公立大学の中には、地域住民を対象にした割引制度を設けているところがあります。その地域に住む学生が進学しやすい環境を整え、地域を担う人材の育成や定着を図ることが目的です。

たとえば大阪公立大学では、大阪府内に在住している場合、授業料が最大で無料となる地域優遇制度を導入しています。条件を満たせば、入学から卒業までにかかる費用を大幅に抑えられる可能性があります。

 

国公立大学に共通するデメリット

国公立大学には、学費の安さや教育の質など多くのメリットがありますが、一方で私立大学と比べた際のデメリットも存在します。

  • ①難易度の高い大学が多い
  • ②受験のチャンスが少ない
  • ③私立に比べて施設が古い場合が多い

 

それぞれのデメリットを詳しく見ていきましょう。

 

デメリット①難易度の高い大学が多い

多くの国公立大学では、共通テストで6教科8科目を課されるケースが多く、私立大学に比べて受験科目数が多いのが特徴です。さらに、個別試験(2次試験)は難易度が高く、記述式・論述式の問題が中心となるため、知識だけでなく思考力や表現力も高いレベルで求められます。

このように国公立大学の受験は科目数が多く、難易度が高いという二重の負担があるため、綿密な学習計画と早期からの準備が得策といえます。

 

デメリット②受験のチャンスが少ない

国公立大学の一般選抜入試では、前期・中期・後期の日程でそれぞれ1校ずつしか出願できません。中でも、募集人数の多い「前期日程」は、多くの受験生にとって本命校をかけた事実上の一発勝負となるため、厳しい戦いとなります。

「後期日程」も用意されているものの、後期日程は募集人員が前期日程よりも大幅に少なく、競争率が高くなる傾向にあり、受験のチャンスは限られているのが実情です。

 

デメリット③私立に比べて施設が古い場合が多い

国公立大学の中には、設立から長い年月が経っている歴史ある大学も多く、校舎や研究施設、学生寮などの設備が老朽化しているケースが見られます。キャンパスの改修や設備の更新には国の予算が必要であり、その調整に時間がかかることから、新しい施設の整備が私立大学に比べると進みにくいのが実情です。

ただし、近年は校舎の建て替えやキャンパスの再開発が進められている国公立大学もあり、施設面でも私立大学に引けを取らない環境を整えているところもあります。

「きれいなキャンパスで学びたい」と考えるなら、事前に志望大学のホームページなどで情報を集めておきましょう。

 

国立大学と公立大学どっちを選ぶべき?

国立大学と公立大学には、それぞれ異なる特徴・魅力があります。

国立大学は研究施設や大学院が充実しており、全国から学生が集まるため刺激的な学びの機会が豊富です。一方、公立大学は地域とのつながりが深く、地元からの通学や就職、生活に適した環境といえるでしょう。

入試日程や科目数にも違いがあるため、「自分の得意科目を活かせるか」「受験時期は合っているか」といった点も比較のポイントとなります。

学びたい内容や進路の希望に応じて、自分に合った大学を見極めましょう。

 

【まとめ】学びたい分野や進路に合わせて大学を選ぶことが大切

以上、国立大学と公立大学の違いや、それぞれのメリット・デメリットを解説しました。

「どちらがよいか」ではなく、「自分にとってどちらが合っているか」を考えることが大切です。学びたい分野の指導・研究環境や、将来のキャリアプランに合わせて、自分にぴったりの大学を選びましょう。

この記事で紹介したポイントを参考に、ぜひ納得のいく進路選びにつなげてみてください。

 

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