みなさんこんにちは!オンラインコース講師の山田です。
夏期講習も終わり、特に来年に入試を控えているみなさんは
「僕の成績は伸びているのだろうか…」
「私はちゃんと勉強できていたのだろうか…!?」
と不安になる時期でもあります。
不安に駆られ、手が止まる時期でもありますよね。
こういうときの対処法として「ライバルの存在を意識する」ようにアドバイスしています。
「レッドクイーン理論」をご存じでしょうか?
もともとは進化生物学の用語で、「赤の女王仮説」と呼ばれていました。
「生物は常に進化していないと絶滅する」という仮説です。
ルイス・キャロルの小説『鏡の国のアリス』で、赤の女王が言った
「同じ場所にとどまるためには、絶えず全力で走っていなければならない
(It takes all the running you can do, to keep in the same place.)」
という台詞にちなんで、生物学者リー・ヴァン・ヴァーレンが「赤の女王仮説」と名づけました。
「生物は常に進化していないと絶滅する」というのはどういう状態でしょうか?
例えば、獲物を捕まえようとする動物(捕食者:ライオンなど)と、
そこから逃げようとする動物(被食者:シマウマなど)との関係で考えてみましょう。
捕食者は相手を捕まえるために速く走れるようになるほど、生き延びることができます。
一方で、被食者は素早く逃げる能力を身につけると、生き延びることができます。
被食者が素早く逃げられるようになると、
捕食者はこれまでよりもさらに早く走れるようにならなくてはいけなくなります。
そうすると被食者はより一層、素早く逃げられるようにならなくてはいけなくなり…… と、
これが繰り返されます。
つまり、お互いが競争しあうと、どちらも成長しあう(共進化)のです。
最近ではこの考えが経営学に応用され、「レッドクイーン理論」という用語で有名になりました。
レッドクイーン理論は、ライバルを意識することで受験勉強にも応用できると思います。
ライバルとはどういう人なのか?
たとえば
①仲の良い同級生や仲間の中で探す
(例)学校で、めちゃくちゃ頑張っている同級生
②自分の中で目標の人物を決める
(例)SNS上で勉強記録を共有している見ず知らずの受験生すでに大学に合格した先輩とか
こういう人たちを目標にするのも一つの方法です
「私がなにもやってないこの時に、あの人は単語を覚えているかもしれない…」
「今日はやる気が出ないけど、ライバルのあの人はこの瞬間も勉強しているはずだから少しは勉強進めてみようかな…」
などと、自分が動き出すきっかけになるかもしれません。
…ただ、
大学入試は点数が基準です。「合格最低点を超えること」を目標とすべきなので
相手が何点取ったかは、気にする必要がありません。
実は、
ライバル設定をするときに、最善の相手がいます。
それは
自分自身
です。
「昔の自分は、△△をこれだけ頑張ったのだから、今日はそれを超えてやる!」
「前に自分は、○○を××個解いたのだから、今日はそれを超えてやる!」
と、過去の自分を超えようとすると、
「それを超えようとした自分」が、未来には「過去の自分」になるので、
セルフ・レッドクイーン効果
を生み出します!
これって最高の状態ではないですか?
この結果、自分自身、いろいろなことができるようになり、
気が付くと、ありえないほどの成長を成し遂げていることになります!
ただ、自分自身をライバルとするために必要なことがあります。
それは、
記録を取る
ということです。
「何を」「いつ」「どこで」「どうやって」「どれくらい」やったかを、
記録に取っていきましょう。
例えば、
勉強しているノートの上部に、日付や時間を測定しておく
その時取り組んだ問題の感想や、
「なぜ間違えたか」「どうすれば正解したか」を
ノートに残しておくことで、
「未来の自分」がこれを見返したときに、
「当時の自分はこういう風に思っていたのか…」と
振り返り、基準にすることができます。
なんとなくの「感覚」を基準にしないことが
セルフ・レッドクイーン効果のコツになります!
ぜひみなさんも勉強の方法を工夫しながら、
どうすればベストパフォーマンスになるかを研究しつつ、
入試本番に向かって突っ走っていきましょう!
参考文献
・入山章栄(2019)『世界標準の経営理論』ダイヤモンド社.
・垂水雄二(2008)「赤の女王仮説」『知恵蔵』朝日新聞出版.