こんにちは!大森校の神保です。
気温が上がり、蒸し暑い季節になってきましたね。
感染症対策でマスクをしている時間も長いですし、熱中症には十分お気をつけください。
さて、今回は昔から多くの人が悩んできたであろう、
とあるテーマについてお話をさせていただきたいと思います。
それは……
「子どもに”ご褒美”をあげるのは良いことなのか?」
です。
あ、生徒のみなさんも、
これを読むと保護者様にご褒美の約束を取り付けやすくなるかも知れないので、
ぜひ最後まで見ていってくださいね(笑)
さて、みなさまどうでしょうか。
子どもの頑張りに対してご褒美をあげる、ということに対しては、様々な考え方があると思います。
「ご褒美目当てに頑張るのは良くない」とか、「頑張るきっかけ作りには良いのではないか」とか。
当然お子さんの性格や状況にもよるので、「絶対的な正解」を出すのは難しいのですが、
このテーマに対して感情論ではなく、
データを元に研究した結果をわかりやすく書いてくれている本があります。
こちらの本の中では、「やる気」を引き起こす要因となるもののうち、
ご褒美などの外から与えられるものを「外的インセンティブ」、
好奇心や関心などの内から生まれてくるものを「内的インセンティブ」と呼んでいます。
しっかりとした説明は本を読んでいただくとして、
この本はまず「外的インセンティブ(ご褒美)」が
「内的インセンティブ(好奇心)」を失わせてしまうという根拠はない、
つまり
「ご褒美のせいで子どもが勉強の本当の楽しさを見失ってしまうわけでない」
という研究結果を元に、
「ではどんなご褒美のあげ方、褒め方が良いのか?」ということにまで触れています。
そして、その「正しいご褒美のあげ方、褒め方」は、
「結果ではなく過程や努力に対してご褒美をあげる、褒める」ことだというのです。
つまり、「テストで100点をとったのか!偉いね!(じゃあご褒美をあげよう!)」ではなく、
「テストのために10時間も勉強したのか!偉いね!(じゃあご褒美をあげよう!)」の方が良い、
ということです。
なぜなら、「テストで〇点をとる」というのは、
狙ってそれを行うのが難しく(もちろん狙って学習はしてもらいたいですが)、
「××をしたから〇点がとれた!」という因果関係もわかりにくいからなんですね。
さらには、良い点がとれなかった時に、
結果だけを見て「この点じゃ褒めてもらえないし、怒られるかも知れないから隠してしまおう」とか、
「どうしても〇点以上がとれないから自分には才能がないんだ」とか、
ネガティブな思考になりがちです。
一方で、過程や努力を褒める場合、「テストのために〇時間勉強する」とか、
「本を〇冊読んで内容を文にする」とか、誰でも繰り返し行うことが出来る上に、
因果関係がわかりやすくなります。
また、仮に良い結果が出なかった時も、努力や過程を認めてもらい続けてきた子どもは、
「もしかしてもっと努力を増やせば点数が上がるかな?」とか、
「もっと頑張ればもっと褒めてもらえるかな?」という方向で考えやすくなります。
もちろん、最終的には「成績UP」「志望校合格」といった「結果」が目標になっていくのですが、
そのためにはまず子どもに自分から勉強する行動力をつけてもらうことがとても大切です。
勉強して知識を増やすことは、本質的には人間にとって「楽しい、面白い」行為です。
最初は賞賛やご褒美を目的に勉強していた子どもでも、「学びたいこと」が見つかれば、
そこからは自分で学習を進めてくれるはずだと、私は考えます。
最後まで読んでくれた生徒のみなさんは、まずは「努力」をしつつ(ここ重要です)、
保護者様にこの記事を見せて、お小遣いやご褒美の交渉を頑張ってみてくださいね。
参考文献
中室牧子『「学力」の経済学』ディスカヴァー・トゥエンティワン、2015年.